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漢字カタカナひらがな交じり文

2007-12-03 22:49:35 | 文字を読む
 「サイタ サイタ サクラガ サイタ」というのが明治時代の小学校の教科書の内容です。
 なぜか最初にひらがなを教えようとするのではなく、カタカナを教えようとしていたようです。、
 江戸時代の寺子屋ではひらがなと漢字を教えていたのですから、カタカナを最初に教えるのが伝統だったわけではありません。
 寺子屋の読み書きは、活字ではなく毛筆の筆記体の読み書きだったのですが、これを否定しようとしたのかも知れません。
 漢字とカタカナを使う文章が正当である、という意識が役人の中にあったためなのでしょうか、明治になってから作られた法律などは「漢字カタカナ交じり文」で作られています。

 ところが読む側からすると、「漢字ひらがな交じり文」に比べると、「漢字カタカナ交じり文」はかなり読みにくいものです。
 上の図のような簡単な文章でも、「漢字カタカナ交じり文」のほうは、視線が滑らかに進まず引っかかりがちです。
 「漢字ひらがな交じり文」のほうは漢字が直線的、ひらがなが曲線的なため、自然と単語の区切りが示され、文章の構造が把握しやすくなっています。
 「漢字カタカナ交じり文」のほうは、単語の区切りが見えにくいのでつい狭い範囲に注意が集中され、視野が狭くなりがちです。
 そのため逐次読みになり、意味が分かりにくくなるのです。

 カタカナは漢字の一部分を取り出したものなので、外見的には漢字と同じように直線的で、ひらがなよりむしろ漢字に近い形です。
 そのため漢字カタカナ交じり文は、同じような形の文字が並ぶことになり、ごちゃごちゃした感じで単語が見分けにくくなっています。
 カタカナはカナではあっても、形状は漢字の親戚なので、図の三行目のように漢字をカタカナに変えれば、それなりに読みやすくなっています。
 「ちきゅうがじてんしているのでたいようがひがしからのぼる」とか。「チキュウガジテンシテイルノデタイヨウガヒガシカラノボル」といったように、ひらがなばかりとか、カタカナばかりの文章に比べればはるかに読みやすいのです。

 ひらがなだけとかカタカナだけとかの文は、分かち書きをしないと読みにくいのに対して、「漢字ひらがな交じり文」は分かち書き的な効果があります。
 ところがカナだけの文章でも、「カタカナひらがな交じり文」は、上の例で見たように、分かち書きの効果があります。
 そのため外来語をカタカナで書いた場合も、カタカナ部分が準漢字となってひらがなと区別されるので、「漢字カタカナひらがな交じり文」が読みやすい形になって自然に普及しているのです。

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