
漢字は千分の一秒というほど瞬間的な表示でも認識できるといわれています。
たとえばスクリーン上に白い四角を映し、次にその上に漢字を映した後、千分の一秒後にその上に白い四角を映します。
スクリーン上には千分の一秒間しか表示されないのに、その映された漢字がなんと言う漢字かを読み取ることが出来るというのです。
もちろんその漢字を知らなければ読み取れないわけですから、読み手が良くその字を記憶していなければなりません。
また視力が悪かったり、表示される文字が小さかったり、表示される文字のスクリーンに対するコントラストが十分でなければ、読み取れなくなるので、どんな場合でも瞬間的にわかるというわけではありません。
ごく短い瞬間的な表示でも読み取れるといっても、これは漢字が神秘的な力を持っているということではありません。
漢字でなくても平仮名でもローマ字でももちろん読み取ることが出来ます。
平仮名やローマ字のほうが読み取りやすいのですが、漢字は形が複雑であっても読み取ることが出来るということなのです。
ところで真ん中の図のように、同じ場所に連続的に文字が表示されたらどうなるでしょうか。
表示の間隔が10分の一秒程度ならなんとかすべての文字を読み取れますが、50分の一秒程度になると文字が重なって見えて、読み取れなくなります。
一番最後の文字だけは何とか読み取れても、間の文字は見えなかったり、判別できなかったりします。
速読術などで、本をビュッと一瞬の内にめくって文字を読み取るという話が出てきますが、時々眼に飛び込む文字があったとしても、たいていの文字は重なったり、見えなかったりするので、読み取れるという表現は不当です。
連続して同じ場所に100文字以上も表示された場合、一秒間であれば各文字の表示時間は100分の一秒で、こうした場合はほとんどの文字が読み取れず、時折眼に飛び込んで認識できる文字があるという程度です。
右の図のように文字でなく色の場合はどうなるかというと、文字のように記憶と照合する必要がないので、それぞれの色を見分けることが出来そうな気がします。
ところが表示時間を20分の1秒程度であっても色は混ざり合ってしまって、一つ一つの色は見分けられません。
交じり合った結果の色は、表示する色の順番によって変わりますが、いずれにせよ個々の色は切り離しては見えません。
視覚の時間分解能はあまり高くないので、速いスピードで目に入った場合は一つ一つの映像を個別に処理することが出来ないのです。
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