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4枚カード問題の問題

2006-02-26 00:07:48 | 視野とフレーム
 「表がKならば裏は偶数である」という規則が成り立っているかどうかを調べるには,最低どのカードとどのカードをめくったらよいか。
「4枚カードの問題」という心理学や論理学などで見かける問題です。
正解は「K]と「7」をめくるというのですが、「K]と「4」と答える人もいます。
 「表がKなら裏は偶数である」ということは「裏が奇数なら表はKではない」ということなので「K]と「7」をめくるのが正解と考えるべきだと論理学ではなっています。
 この問題の正解率は20歳代と比べると40歳代はかなり低くなるとかで、年をとると推理能力が落ちてくるなどといわれています。
 ソンナふうな事を聞けば答えを間違えた人は、「年のせいで考える力が落ちたのかな」などと落胆するかもしれません。

 市川伸一「考えることの科学」によれば、大学生を対象にして正答率を見ると欧米の場合は10%足らずで日本の大学生は文科系で30~50%、理科系で70~90%だということですが、高校数学で形式論理を勉強した影響があるかもしれないとしています。
 そういわれれば40歳から正答率が低くなるのも形式論理を習わなかっただけで考える力が落ちたとは限らないのかもしれません。

 それはそうとして、この問題を間違える人が多いのはなぜなのでしょうか。
 人間は勉強しなければ論理的に考えることが難しいということなのでしょうか。
 常識的に考えるということは非論理的で、間違いが多いということでしょうか。
 
 ②は同型の問題の内容を変えたもので、「両親が天才ならば、子供は天才である」ということが成り立っているかどうかを調べるにはどれとどれをめくればよいかという問題です。
 普通の人は「天才両親」と「天才少年」をめくるでしょう。
 形式論理なら「天才両親」と「凡才少年」をめくるのが正解ということになるはずなのですが、「ヘンダナ」と思うはずです。
 「凡才少年」をめくれば大抵「凡才両親」となるはずですから、この法則が否定はされなくても確かめる有力材料とはいえません。
 「天才少年」をめくってその裏が「天才両親」であれば、やはりそうかと思うし、「凡才両親」であれば、そういうこともあるかと思う程度です。
 「両親が天才であれば子供は天才」というような法則を(もしあるとして)確かめる場合、実例を探すのが普通で、凡才の両親が凡才であるという例をしらみつぶしに探すというようなことはしないでしょう。

 「タバコをすいすぎると癌になる」ということを確かめるという場合でも、「タバコをすいすぎている人」かあるいは「癌になった人」を調べるのが普通で、「癌になっていない一般人」を調べることはないでしょう。
 普通何らかの法則が成立するかどうか確かめるときは、まず実例を探すもので、該当しない例を一つ一つあたるというようなことはあとまわしです。
 詐欺は特殊な実例をあげてさも一般的なことのように信じ込ませようとするのが常套手段ですが、新しい法則や規則の発見が実例のを確かめることから始まることが多いのも事実なのです。

 

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