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うがちすぎの心理学的解釈

2006-07-11 23:06:36 | 視角と判断

 左上の図形は円筒形に見えますが、これは中央が明るく両脇が暗いので、中央部分がせり出してくるように見えるためです。
 右側の図形も、やはり真ん中が膨らんでいるようには見えるのですが、左側の図形に比べると湾曲が弱く見え、やや平たく見えます。
 右側の図形は赤い光があたっているように見えるのですが、明るいところと暗いところの明暗差が左の図に比べると少ないので湾曲が弱く感じるのです。
 中央部分がせり出し、両脇部分が後退して見えるので奥行き感を感じるのですが、明るいところを見るときと暗い部分を見るときでは、無意識のうちに目の焦点距離を変えています。

 ここで二つの図形の真ん中にある×印に注意を向け、この一点を両眼で見続けていると両側の円筒形は平たい四辺形に見えてきます。
 縦長に見えていたものが、正方形に見え、右側の赤い部分は鮮明さがなくなります。
 これは真ん中のx印に焦点をあわせたので、両側の図形を同時に見ることになり、光る部分と暗い部分を同じ焦点距離で見ているためです。
 x印を注視するのではなく、目の力を抜いてx印の奥の遠くを見るようにしても、やはり二つの図形は奥行き感を失い、平たく、正方形かやや横長の四辺形に見えてきます。
 要するに眼を動かさず、両方の図形を同時に見れば光と影の部分による奥行き感が得られなくなるということが分かるのです。

 下の図は小さい円に囲まれた左側の円のほうが、右の大きな円に囲まれた円よりも大きく見えるのですが、これも二つの円を同時に見ないで、無意識のうちに眼を動かし、焦点距離を変えて見るためです。
 二つの円は同じ大きさですから、同時に見るならば網膜に映る像の大きさは同じです。
 網膜に映る像が同じ大きさなのに、周りの円の大きさとの比較で脳が勝手に大きさが違うと判断するという解釈もありますが、そういう心理学的解釈はうがちすぎです。
 そのように強引に解釈しなくても、視線を動かさないで二つの円を同時に見て確かめればよいのです。
 
 この場合も間にあるx印を注視すれば両側の二つの円を同時に見ることは簡単にできます。
 もちろん、両眼の力を抜き遠くを見るようにすれば、左右の二つの円は同じ大きさに見えます。
 もともと同じ大きさなので、同じ大きさに見えるのが当たり前なのですが、眼を動かすときに焦点距離を無意識のうちに変えるので大きさが変わって見えるのです。
 ものを見るとき視界に入るものすべてに注意を向けて見るわけにはいかないので、特定の範囲に注意を向けてみることになります。
 大きな円に囲まれた円と、小さな円に囲まれた円を見比べるときには、それぞれを別のグループとしてみています。
 二つの円を一つのグループとしてみる(たとえば何かの顔の二つの眼とみなしたりする)ことができれば同じ大きさに見えます。
 それが難しければ×印を注視するやり方のように、二つを結果的に同じグループとみなすようにすれば同じ大きさに見えるのです。

 


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