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経験論の右脳

2006-10-29 22:27:11 | 脳の議論

 上の質問はクリス.マクナス「非対称の起源」にあるもので、左右の脳の働きを見るためのものです。
 電気ショックで脳の片側を一時停止した場合、左脳にショックを受けて右脳しか使えなかった人は「私はザンビアに行ったことがないので、国旗については何も知りません」と答えたそうです。
 質問Aは普通の人にとっては「ハイ」というのが当たり前の答えで、簡単な論理の問題ですが、右脳には単純な三段論法が通じないようです。
 右脳だけで考える場合は経験の範囲だけで考えようとするので、ザンビアのことを知らないから分からないと答えてしまうというのです。
 
 それに対し右脳にショックを受けて左脳しか使えなかった人は「各国家は国旗を持っていて、ザンビアは国家だと書いてあるので当然国旗を持っています」と答えたそうです。
 左脳だけで考えると、現実とは関係なく言葉の論理だけで考えるようです。
 普通の人の答えも同じではあるのですが、何か変な質問だなというとまどいがなく、表面的な論理を追うだけのようです。
 そこで、左脳で考える人はBのような質問にもためらいなく「ヤマアラシは猿だと書いてあるからそりゃ木に登りますよ」と答えるようです。

 ところが右脳だけで考える人は「ヤマアラシですって、そんなものが木に登るもんですか、そりゃ間違いでしょう」と答えたということで、ヤマアラシについての知識があるために憤慨して否定するのです。
 左脳は抽象的な論理で考えることは出来るけれども、右脳は具体的な経験に基づいて考えるという違いがこのような例で分かります。
 左脳も右脳も使う普通の大人であれば、Bのような質問には(変な質問だな、ヤマアラシが木に登るわけはないが、論理だけで言えば木に登ることになる。どう答えることを要求しているのだろうか)などと迷いながらも、質問に対する文字通りの答えとして「木に登る」と解答するでしょう。

 普通の大人には簡単な三段論法なので戸惑いはあっても「木に登る」と答えるのですが、幼児の場合はそうとは限りません。
 5,6歳の幼児に「ハイエナは笑います。レックスはハイエナです。レックスは笑いますか」とか「猫は吠えます。レックスは猫です。レックスは吠えますか」とかいう質問に答えさせると正解率は低いそうです。(ウーシャ.ゴスワミ「子供の認知発達」)
 それに対し「猫はニャーと鳴きます。レックスは猫です。レックスはニャーと鳴きます」といったような質問には正解するので、三段論法で答えるとは限らないのです。
 ところがおもちゃの犬や猫やハイエナを使って笑ったり、吠えたり、鳴いたりして見せた後テストをするとほぼ正解するそうです。
 
 遊びでハイエナが笑ったり、猫が吠えたりしているのを見れば、仮の世界ではハイエナが笑うとか猫が吠えるということが頭に入り、言葉だけの論理が分かるということでしょうか。
 経験を離れて言葉だけを操作する能力は後から出てくるもので、子供のうちは右脳のほうが優勢なのかもしれません。
 


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