池谷祐二「怖いくらい通じるカタカナ英語の法則」によると、日本人の英語はアメリカ人には通じないと言われるけれども、英文をカタカナで話すと通じるといいます。
題名だけから想像すると、いわゆる日本で使われているカタカナ英語が通用するように思ってしまいますがそうではありません。
たとえば、日本で使われているカタカナ英語なら、数のことを「ナンバー」というのを「ナンボ」、「アニマル」(動物)を「アニモウ」のように発音すると通じると言うのです。
「ホスピタル」(病院)は「ハスペロウ」と発音すればよいというので、日本人が使っているカタカナ英語とはかなりの違いがあります。
アメリカ人に聞かせれば「ハスペロウ」という発音は「病院」の意味と受け取られ、「ホスピタル」では理解されないと言うわけですが、日本人にはどう聞こえるのでしょうか。
アメリカ人が「hospital」と言ったとき、日本人の耳には「ホスピタル」と「ハスペロウ」のどちらが似て聞こえるかと言うと、「ハスペロウ」のほうが似ているのです。
「Thank You」は従来の日本のカタカナ語では「サンキュウ」ですが「テンキュ」と日本人の耳には聞こえるので、しゃべるときも「テンキュ」と発音したほうが通じると言うのです。
もともと成人した日本人は日本語用の発音に固まっているので、英語の発音ができなくなっていますから、英語らしく発音しようとしてもうまくいきません。
耳も日本語を聞き取るように特化しているので、英語の音を正確に聞き取る能力もないわけです。
それならアメリカ人の発音を日本語耳で聞こえたとおりに、日本語式の発音で話すほうが似て聞こえるということになります。
幕末にアメリカに漂流したジョン万次郎の英語と言うのもこのようなものであったらしく、「cool」は「クール」でなく「コール」、「Sunday」は「サンデー」でなく「サンレイ」と発音したそうです。
つまり日本語耳に聞こえた音を日本語音で発音しているのですが、このほうが通じたと言うのは、聞こえたとおりに発音しているからです。
ちょうど下手な絵は何を描いたかわからない場合があっても、カメラなら解像度が低くても何を写したかわかるようなものです。
発音はなまじ発音記号を見て覚えるより、聞こえたままに発音したほうがかえって通じるというのですが、この聞こえたままをカタカナ表記にするという方式が今後流行するのかというのは気がかりな問題です。
現在のカタカナ語はほとんどが英語の綴りをローマ字式か、辞書に載っている発音記号を日本式に読んだものです。
普通の日本人にとってはアメリカ人に通じるカタカナ語でなくてもよいのですが、通じるカタカナ語というので新しい読み方が台頭してくると混乱するでしょう。
漢字を中国人と違った発音でつかっていて、中国式に発音すべきだという主張はこれまでなかったのですが、英語については話すことも重視されつつあるので、カタカナ語の表記にも影響がでてくるものと思われます。
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