60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

部分を補って読む

2008-05-12 23:54:49 | 文字を読む

 よく使われる漢字熟語は記憶に深く刻まれていて、一部分が見えなくても全体を想起することができます。
 図は四字熟語の例ですが、一番上の行では一字が隠されていますが、「弱肉強食」「旗幟鮮明」「起死回生」と考えなくても自動的に熟語の全体が思い出されます。
 隠されているのが一字でなく二字であっても「先客□□」であれば「千客万来」、「不言□□」なら「不言実行」と前の二字から後の二字が続いて自動的に引き出されてきます。
 三行目の例のように、文字の間に隠された文字が入っている場合でも、「面目躍如」「自画自賛」「疑心暗鬼」のように思い出されるのは、これらの四字熟語が一つのまとまりとして記憶されていて、間に空白があってもほぼ重なり合うという印象があるためです。
 
 このように文字を読むときには、文字情報が100%与えられなくても読取が可能なのですが、これは見慣れていてすぐに記憶と照合しやすいためです。
 見慣れているということは、普通に考えるとよく知っているということで、細かなところまで目が行き届いていると考えがちですが、実際は自動的に確認をするので注意を払わなくなります。
 千円札に印刷されている人物は誰かと聞かれても、多くの人は答えられませんし、野口英世だと知っていても、ひげを生やしていたかとか、髪型はどんなかと聞かれても答えられません。
 それでもちらりと見ただけで千円札だということが分りますし、じっくり確かめないで使っています。

 四行目の例では特定の文字が隠されているのではなく、文字列の下半分とか上半分あるいは中間が三分の一が隠されているので一つ一つの文字は単体では確認が困難です。
 それでも四字熟語として全体的に見ると「年功序列」「難攻不落」「独断専行」と読むことができるのです。

 ところがCのような例になると「二□三□」は「二人三脚」「二転三転」「二束三文」などと複数の該当例があるので自動的に当てはめることはできません。
 文脈から「がらくたばかりで、、」とあれば「二束三文」「ころころと、、」とあれば「二転三転」、「息があって、、」とあれば「二人三脚」という風に思い出されます。
 「七□□□」のように三文字も隠れている場合でも、「苦しくて、、」という意味なら「七転八倒」、「何度も起ち上がる、、」なら「七転八起」、「困難が多く、、」なら「七難八苦」というふうに思い出されます。
 文字を全部確認しなくても、文字情報の一部分とか文脈などからも文章の意味を引き出すことができるのです。