少年

　僕はまだ少年のままでいようと思う
　いつの間にか大人になってしまう前に、まだやり残した事がいっぱいある。そんな気がするのだ。
　でも何をやり残したのか、何をすればいいのかわからない。音もなく呼吸するまでもなく、ただひとつひとつ変わっていく。手をのばしても何もつかめない。耳をすましても何も聞こえない。目を見開いても何も見えない。頭で考えても何も考えられない。
　自分に出来る事は何なのか。将来は何をしてるのか。明日の自分、一年後の自分、十年後の自分。それからの自分。
　なんだか考えるだけで時間が無くなってしまいそうで、少し怖い
　今考えても答えは出るわけでもなく、ただ目の前の出来事に流される他に何もない。流れのままに生きてみるのもいいのかもしれない。
　でもなんだかそれでは面白くない。かといって、これといってやりたい事があるわけでもない。手も足も何も出ないのである。
　日々変わっていく日常にぼくはまだ少年のままでしかいられないのかもしれない。

　ただいつのまにか積み上がった知識と、踏み固められた言葉と、気がつけば追い越していた父の背中と、野太くなった声と生えてきたヒゲとともに。
　いつか大人になる日を求め、ぼくはまだ少年でいようと思う。




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いそがしく

忙しく花から花へ飛び回る
ぼくがカメラをかまえるのも気にせずに
暖かな春の日差し
その慌ただしさに春の短さを知るようで