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月あかりの予感

藤子不二雄、ミュージカル、平原綾香・・・好きなこと、好きなものを気の向くままに綴ります

エスパー魔美DVDレビュー (5) どこかでだれかが

2006年09月04日 05時25分29秒 | エスパー魔美DVDレビュー
スタッフデータ

サブタイトル:どこかでだれかが
原作:コロコロ文庫(1) くたばれ評論家の巻(部分)
コロコロ文庫(1) どこかでだれかがの巻
脚本:富田祐弘
演出:パクキョンスン
絵コンテ:原 恵一
作画監督:富永貞義
作画監督補:堤 規至
原画:シンエイ動画
木村陽子/若松孝思/柳野龍男/原佳寿美
声の出演:
魔美:横沢啓子高畑:柴本広之
パパ:増岡 弘コンポコ:小粥よう子
水谷先生:村山 明陰木:京田尚子
明の母:江森浩子男A:菅原正志
男B:梅津秀行生徒A:柏倉つとむ
生徒B:山寺宏一
地上波放送日:1987年 5月 5日(藤子不二雄ワイド枠内)
関連商品:
(Amazon.co.jp)
コロコロ文庫 エスパー魔美 (1) (小学館)
エスパー魔美 DVD-BOX 上巻 (ジェネオン エンタテインメント)
※お願い: スタッフデータに誤りがある場合は、コメント欄でご指摘ください。

みどころ

なるべくストーリーは書かないようにしていますが多少のネタバレはあります

前回、画像を使いすぎて前後編になってしまいましたが、今回からは出来る限り画像はセーブしていきたいと思います。編集にも時間がかかりますし(^^);

クシャミで一度は消えてしまった友情が、ウソが嫌いな高畑の素敵なウソで復活した後のお話。おそらく第4話の翌日のエピソードでしょう。

原作では、その後の話は「くたばれ評論家の巻」なのですが、アニメでは、先に魔美の思考波についての話を入れておこうとしたのか、原作では少し後(第9話)で描かれている「どこかでだれかがの巻」を、第5話に持ってきています。

でも、テレポーテーション・ガンを受け取る話がないと、物語が作れませんから、原作の「くたばれ評論家の巻」から、そのエピソードだけをアニメ化しています※。そのため本話では原作が2話あるものとして、上のリストでは表記しています。

※「くたばれ評論家の巻」そのものは、かなり後の第94話で、別にアニメ化されています。当然このときは原作のテレポーテーション・ガンの話は割愛されています。

さてアニメ第5話の冒頭。高畑がいきなり英語を話し出す!!・・・と思ったら、魔美が前日の高畑との会話を回想しつつ、英語の授業を受けてるというシチュエーションなのでした(^^);

原作の「くたばれ評論家の巻」の冒頭では、わりとあっさりうち解けちゃってる感じがありますが、アニメの方では、このあたり、ちょっとした気まずさを表している演出で、どことなく原さんらしいなという感じがします。CDの原さんが絵コンテを描いたのは第1話に続き、これが2本目ですが、どことなく漂う青臭さがあって、それがまた、この作品が醸し出す青春の味わいに良い効果を与えています。熟成ワインよりも、ボジョレー・ヌーヴォーという感じですか。(ワインなんて飲まないくせに)

冒頭で少しノンちゃんが登場しますが、声が違います(笑)。後に幸子役をやることになる江森浩子さんが担当しているようです。今回は「明の母」という太めのおばさん役で出演。プロの声優はどんな役だってこなしてしまうもんですね(^^); ともかく、まだノンちゃんと幸子がレギュラーキャラとして固まってなかったことが窺えます。

今回も実質的な作画監督は、前回に引き続き堤さんだと思います。

さて、これが「テレポーテーション・ガン」です。
高畑のお手製。魔美のイニシャルハート型にデザインしたという、高畑らしからぬ洒落たことを(笑)
中にスプリングとビーズが仕込んであります。
裏はこんな感じ。

このボタンを押すことでビーズが発射され、魔美に当たりそうになることを利用して、テレポートが出来るという仕組みです。
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

そもそも、急速に接近する物体のエネルギーがテレポートのエネルギーに転換されるというのが、高畑理論によるテレポートです。それを応用したということなのですが、ある程度、魔美の身にとって危険な物体が接近しなければ駄目なのでは?という疑問もなくはありません。ビーズが魔美に接近する程度の小さいエネルギーで大丈夫なのかどうか・・・でも、魔美はテレキネシスとか、特に外からのエネルギーがなくても超能力が使えるので、簡単な火花程度のエネルギーさえあれば、それをトリガーに、あとは魔美自身の力でテレポート出来るということなのでしょう。たぶん(笑)。

ちなみに原作では、ビーズではなく仁丹です。
さすがに 1987年に仁丹を持ち歩く中学生は少なかったと思いますので(笑)、少しお洒落に、ビーズに変更されています。私も祖父が仁丹を持っていたのは見たことがありますが、自分自身で持ってたことはないです・・・調べたら「口中清涼剤」らしいので、今でいえばフリスクとか、そういうものですかね。(参考: 森下仁丹歴史博物館

受け取った魔美は大喜びで思わず高畑に抱きつきます。
今回、高畑はしょっちゅう抱きつかれます(笑)

というか、高畑の顔が、新聞4コマにでも出てそうな変な表情になってますけど(^^);
魔美はパパにアルバイトを頼まれてたので急いで帰る必要があるといいます。それ試してみたら?と高畑に言われて、さっそく使うことに。
緊張の一瞬です。
「なんだか・・・ワクワクするわ」
「ぼくもさ!」
「ねぇ、かけ声かけて!」
「よし!じゃ行くよ! 1、2・・・」
3!!
高畑、興奮しすぎです(笑)
でもテレポートは大成功。高畑は大喜び。

ここ、原作の高畑はわりとクールなんですがね(^^);
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

(メモ)
魔美のテレポート距離:最大600メートル (この時点で)
佐倉家と高畑家の距離:600メートル以上1.2キロ以内

既にハイペースで画像を使っちゃってますので、この先は飛ばします(^^);

第5話では、テレポート・ガン、後に出てくる思考波の他に、もう一つ作品にとって重要な要素が初登場します。そう、魔美が絵のモデルを実際に務めているシーンです。

左は、魔美が何か超能力を使っている・・・わけではなく、パパとモデル料の交渉をしているシーンです(笑)。

魔美の要求額・・・1時間3千円・・・結局2千円で妥結。
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

このシーンをアニメでもしっかりと描いたというのは、やはり英断だったと思います。雑誌等に掲載されている漫画ならともかく、テレビというのは子どもが一人で読むわけではありません。家族そろって見る家庭もあるのです。ヌードモデルを務める少女が画面に映るというのは、お茶の間を凍り付かせるのに充分な力を持っているでしょう。我が家だって凍り付きました(笑)。当時は恥ずかしくて家族では見られませんでした。

ただ、これについて、当時のスタッフ・・・原監督だったか、プロデューサーだったか忘れたのですが、雑誌か NEO UTOPIA かのインタビューで、女性の裸が画面に出るということに対して、特にクレームはなかったと述べていました。(そのインタビューを探したのですが・・・どの本だったのか今わかりませんでした。わかれば追補します)

何というか、実におおらかな時代だったんだなと思います。いま「エスパー魔美」を地上波で流せないのは、一部で児童ポルノ法との絡みを指摘する声もありますが、今の時点では、そういうことよりも、過敏な視聴者のクレームを恐れてというのが一番の理由なのではないかと思います。

魔美は確かにヌードモデルをやっていますが、だからといって、これに何か卑猥さを感じるかと言えば、そんなことはないと思います。これほど、明るく健康的なヌードシーンは他の作品にはないんじゃないでしょうか(笑)

現在放送中の「ドラえもん」では、大山ドラ時代は普通に使われていた、しずかちゃんの入浴シーンは、ことごとく抑制された表現に留められています。のび太の裸ですら、自主規制されているのは、むしろ滑稽にさえ見えます。

確かに許し難い犯罪が増えているご時世だとは思います。児童ポルノや児童売春など、絶対に廃絶しなければならないことだと思います。しかし、それと藤子アニメのような作品に登場する、たいして毒気のないお色気をごちゃ混ぜにして、全てのそういう描写をひとまとめに排除してしまえというのは、ちょっと行き過ぎのような気がしてなりません。(今のところは制作者サイドの自主規制に留まっていると思いますが)

いずれ書くつもりでしたが「きちがい」というような、古い時代では当たり前に使われていた言葉を、精神障害者への差別として使用されているわけではないような使い方(「野球気違い」など)まで、ひとくくりに排除しようとする「言葉狩り」に少し似ています。ちなみにATOKでも、しっかり変換自体が出来ないように対応されているようです。

ただ、世界的な風潮として過剰規制の動きが強まっている以上、「エスパー魔美」という作品が、いかに内容的に優れた作品であるといっても、この描写を残した形では、今後のリメイクや再放送は難しいんじゃないかなと思います。残念な話ですが・・・

あくまで憎むべきは現実の児童の権利を搾取するような非道行為であって、漫画の表現、しかも児童漫画、少年漫画にまで対象を広げて論議するとすれば、ちょっとおかしい気がしています。(いわゆる成人コミックの規制とは別の問題ですから)

えー、話がかなり脱線してしまいました(^^);
ちなみにこのブログでは、魔美のヌードシーンの画像は、今後も一切使用しません。作品の本質を歪めるようなサイトなどに転載されたりしては困るためです。

魔美がモデルを務めている間、なんと3度も不思議なベルの音により呼び出されます。チンピラに絡まれる青年、物置に閉じこめられた少年、木に登って降りられなくなった猫です。それぞれ画像を用意してたんですが、字数制限がヤバいので省きます(^^);

あまりに何度も呼び出されるので、困った魔美は高畑に相談します。そこで、私が原作で読んだとき、トラウマとなったシーンが登場します(^^);

・・・・・・怖いです(泣)
これの原作のシーンって小学生のとき本気で怖くて、この部分を見たくないために、その巻だけ恐る恐る開いていました(^^);
高畑の祖父が、戦争で南方戦線へ行ったとき、ちょうどその祖父が死亡した時間に、高畑の祖母と父親が、祖父の幽霊を見たという話です。
もちろん魔美もこの通り(笑)
めっちゃヤバい顔をしていますが、これは私があえて特に変な顔をしたコマを選んだためです(^^);
本当に高畑・・・今回は抱きつかれすぎ(笑)
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

この心霊現象について、科学的な高畑も決して否定せず、やはり科学的に説明を加えます。

「死ぬ瞬間、おじいさんの思いが、思考波となって届いたんだろうね」
「思考波?」
「そう。大昔、人が半ば獣に近い頃のことだけど、危険に遭った人間は、おそらく必死に思考波を送って、仲間に救いを求めたんだろうね」
「うーん・・・」
「男たちに絡まれた人も、物置の子どもも、仔猫も同じなんだと思うなぁ。彼らは別に君に向けてベルを鳴らしたわけじゃない。切羽詰まった気持ちが空中に放射され、たまたまエスパーだった君が、ベルの音という形でキャッチしたんだ。」

高畑・・・というか、F先生って、こういう説明が本当に上手いんですよね。
それが本当かどうかはともかく、なるほどと思わせてしまうチカラ、説得力があるんです。

そんな感じで、魔美は今後、この「思考波」により呼び出され、人助けをするという、作品の基本ラインが第5話で出来上がりました。これから魔美の活躍が本格的にスタートします。


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