出演:サッソン・ガーベイ, カリファ・ナトゥール
『迷子の警察音楽隊』、観ました。
1990年代のイスラエル。空港に水色の制服に身を包んだ男たちが降り立った。
彼らはアレクサンドリア警察音楽隊。文化交流のためにエジプトからやってきたが、
何かの手違いか出迎えが来ない。自力で目的地へたどり着こうとした彼らは、
間違えて一文字違いの別の小さな町に着いてしまう。途方にくれる彼らに助け舟を
出したのは、カフェの女主人ディナだった。やがて、国や宗教を超えた交流が
始まるが…。
いきなり、映画の内容とはカンケイないところで、かねてからオイラがひっそり
胸に育(はぐく)んでいた妄想を書かせてもらうので、興味のない人・時間のない人は
飛ばして読んでもらっても構わないよ。どうぞ、どうぞ、ご遠慮なく。そうだなぁ、
そういう人はだいたい7行目くらい後から読むと丁度イイと思うゼ。うん。では、書きます。
もしも、オイラが監督になれたら、まず一番最初に“こういう映画”を撮りたいと思って
たんだ。もしくは、ジョージ・ルーカスが若い頃に監督した『アメリカン・グラフィティ』
みたいなやつ。いわゆる、ワンナイトだけに限った群像劇――、とある一夜に
起きた出来事を背景に、そこにいる人たちの、隠された“本当の姿”が見えてくる。
で、その長い夜が明けて朝になった時、どこか昨日までとは違う自分に気付けたら
なお結構、みたいなの。というワケで、長らくオイラの妄想に付き合ってもらって
ありがとさんデス。以上、終わりデス。ただし、この両作品、互いにそのバック
グランドに“音楽”があるのは同じだけど、若干、微妙なところで違いがあります。
「何も考えずに生きていたあの頃、オレ達は若く、輝いていた」、の『アメ・グラ』。
そこには若者らの、紛れもない“現在(いま)”があったのに対し、この『迷子の~』では、
もはや“栄光”とは名ばかりの忘れられた警察音楽隊が舞台。もう若くない彼らは、
どこかに不安を抱え、(只一人、一番若い部下を除いて)現在を避けて生きているように
みえる。心ここにあらず、ってカンジだ。
と、ここまで書いちゃうと、かなり暗くて重い内容かなって思うんだけど(まぁ、その内の
“重い”って方は否定しませんが)、意外と“シュールな笑い”とかあって笑えちゃうんだ。
いや、数ヶ所では腹を抱えて大笑いしちゃったゼ、ホント。『アメ・グラ』って、確かに
明るいけど、笑えるとこは無かったよね。オッと、あれは笑えなくても全然オッケーな
映画だけど。とにかく、本作の“笑いのセンス”を、アメリカ人にも見せてあげたい。
笑いに肥えてるといわれる我ら日本人にも、全く問題ないです。全然通用しちゃいます。
(※以下、ネタバレ)さて、ここからがレビューの本題です。つまり、これまでのは
前置きです。長過ぎました。すんません。本作の味わい深さのひとつに感じるのが、
例えば、“なんかの都合”で映画のラスト20分しか観れなった人がいたとします。
仕事で残業??、その後、上司にしつこく誘われ、飲みに付きあわされた??、更に、
やっとたどり着いた自宅の玄関前で、お喋りな隣りの奥さんにからまれた?、など、
何でも良いです、理由は適当に考えましょう。映画終盤、もう若くない主人公と
マダムとの関係に、女好きの若い部下が入ってきて、気が付きゃ。部下とマダムは
肉体関係に。それを見てしまって、ハートブレイクな主人公のシチュエーション。
そのシーンだけ観れば、その若い部下の節操の無さに呆れ、マダムの裏切りに腹を
立てるでしょうが、でも、真実(ほんとう)は違うんだよなぁ。それまでの(物語の)
展開から分かるのは、確かに部下が無類の女好きであるのは間違いないが、別の
一面では、近くに困っている人をみれば、身を犠牲にして手を差し伸べてあげる
“気遣いの男”でもあるのだよ。一方、マダムの方も、気丈そうに見える外見は、
耐え難い孤独と己の弱さを隠すための“仮面”に過ぎない。女の孤独と男の同情が
交錯し、その隙間を埋め合うように、ベッドでもつれ合う2人の姿は、思わず見ていて
息が苦しくなる。パッと見た目の外見とは違うところで、まるで積み木を一段ずつ
丁寧に積み重ねていくように描かれる“人物の心の内”――、その“行間を読むこと”が
映画の醍醐味だとしたら、この映画には確実に“それ”があると思うゼ。
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