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一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『千と千尋の神隠し』、観ました。

2005-09-25 15:33:59 | 映画(さ行)
千と千尋の神隠し (通常版)

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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 『千と千尋の神隠し』、観ました。
両親と引越し先へ向かう途中、千尋は不思議な町に迷い込んでしまう。
魔法で豚に変えられた両親を救うため、千尋は湯婆婆の湯屋で働く事に
なるのだが‥‥。
 史上最高の興行収入をマークした作品ですが、少なくとも「宮崎駿の
ベストムービー」ではないと思う。“郷愁感”たっぷりに描かれた『トトロ』、
環境破壊による“痛み”を感じた『ナウシカ』、未来への“夢”を見た
『ラピュタ』と比べると、心動かされるほどの感動は少ない。
それでも、さすがに宮崎駿! 少女の“精神的な成長”を描きながら、
子供から大人まで誰が観ても楽しめる抜群のエンターテイメント作品に
仕上がってます。
 トンネルの向こうにあった“バブル期の町の残骸”‥‥
ヒロインの千尋は“その廃墟”を歩きながら、不思議の町に迷い込む。
そこには美味いものばかり食べ続けて“豚になった 両親”がいた‥‥。
 “富”をばら撒き、周りからもてはやされ、有頂天になったカオナシは
たった一度の歯車が狂っただけで、飲み込んだものものをすべて吐き出し、
下降線を止める術(すべ)も知らない‥‥。
そう、この映画で見え隠れしているのは、紛れもなく《バブル期の日本》なのです。
 では、この映画で“宮崎駿が伝えたかったメッセージ”とは?? 
現代っ子で苦労を知らない千尋に湯婆婆は一つのルールを教えた。
「お家に帰りたい」とか「もう、イヤだ」とか、そんな泣き言を言ってはダメだと‥‥。
今の我々が口癖のように言う言葉、「(バブルだった)あの頃は良かった」や
「あの時代に帰りたい」では、 いつまで経っても“今の日本”は進歩しないんだよね。
“現実”を直視して、“今後の日本が進むべき道”を考える。
バブルは終わったんだ‥‥、もう昔には戻れない‥‥。
これからの時代こそ、本当の“日本の真価”が問われるのです。


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