肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『眉山-びざん-』、観ました。

2008-02-11 19:56:24 | 映画(は行)





監督:犬童一心
出演:松嶋菜々子、大沢たかお、宮本信子、円城寺あや、山田辰夫

 『眉山-びざん-』、観ました。
東京で働く咲子は、母の入院の知らせを受け、久しぶりに徳島に帰郷する。母子
家庭で育った咲子は、気が強く何でも一人で決めてしまう母に寂しさを感じていた。
ある日、母の友人から箱を手渡される。中には、死んだと聞かされていた父から
毎年届いていた手紙の束が入っていた。隠された母の恋を知った咲子は、東京に
戻り、両親の思い出の場所を訪ね歩く‥‥。
 このところ、コンスタントにクオリティの高い作品を発表し続けている犬童一心監督
にしては、あまり芳しい評判が聞こえてこなかった映画だけど、ボクは如何にも
彼らしい安定した演出で十分及第点は挙げられる作品には仕上がっていると思った。
“母娘の絆と葛藤”を正攻法から描いた人間ドラマの《佳作》‥‥。いや、あえて、
そこに欠点を探すとすれば、あまりにオーソドックスな母子の再生物語と、誰もが
安心して観られる内容がゆえに、インパクトに欠ける映画に映ってしまうのかも
しれない。また、そのクライマックスシーンでは、実際の阿波踊りの映像に映画の
ドラマを絡めていく“編集の手腕”も見所のひとつ。その効果は、彼女らにとっての
“特別な一夜”を現場の臨場感共に強く印象付け、その一夜に“母子の30年”が
凝縮されたかのように観る者の胸に迫ってくる。こういう表現法って、小説や
他の文学では出来ない、映画ならではのものだと思うし、今回の犬童監督はそこに
原作との違いを見出そうとしたではないだろうか。
 さて、これが自身2作目の映画化となるさだまさしの小説は、前作の『解夏』と
同じく、不治の病の直面することでこれまでの自分の人生を見つめ直し、周囲の
支えによって目の前の現実へ立ち向かっていくというもの。ただ、普段の持ち歌
からして、故郷趣向が強いさだまさしのこと、“郷愁感”の溢れる本作の方が
“より彼らしい作品”と言えるかもしれない。それでも、これは原作の欠陥なのか、
それとも映画の欠陥なのか、ヒロインと小児科医師に特別な感情が芽生えていく
過程が(当初は衝突していたのに)あまりにアッサリしていること。結婚する
当てのない相手に隠し子を作って、自ら別れてしまう男の責任感や、2歳の子の
記憶にしては鮮明過ぎる回想シーンなど、観ていてやや御都合主義的な部分が
感じられたのが気になった。それにしても、宮本信子の迫力は、ヒロイン松嶋
菜々子嬢の美しさを終始圧倒し、映画全体を通して“強烈な存在感”を示している。
実力の世界とはいえ、その引き立て役に回される松嶋菜々子嬢の心中を察するに、
気の毒で仕方無い(笑)。





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