監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、サシャ・バロン・コーエン
『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』、映画館で観ました。
19世紀ロンドン。フリート街で理髪店を営むベンジャミン・バーカーは愛する妻と
娘と共に幸せに暮らしていた。しかし、美しい妻に恋をしたターピン判事の陰謀で、
バーカーは無実の罪を着せられ、投獄されてしまう。15年後、バーカーは
スウィーニー・トッドと名前を変え、フリート街に戻って来た。そして、パイ店の
店主ミセス・ラペットの協力を得て、ターピン判事への復讐を始めるが‥‥。
いつか誰かに聞いたことがある、化学的にみれば涙の成分は“血液”と同じだと…。
まさかティム・バートンが、それを承知でこんな“血まみれの内容”にしたのか
どうかは定かじゃないが、観ていて心が痛くなる…。ティム・バートンらしい“毒”と
“ユーモア”を散りばめつつも、復讐に生きるしかなかった愚かな男の末路に、
胸が切なくなる…(涙)。恐らく、この映画でティム・バートンの試みは、観る側に
不快な印象を抱かせることなく“血の洪水”を挿入し、そこに男が受けた“心の
痛み”を血の色の《赤》として表現することではなかったか。まぁ、その辺の
感じ方云々(うんぬん)については個人差があって、人によっては罪のない人が
惨殺され、パイの肉になって食べられてしまうことに抵抗があるのかも。ただ、
ひとつ言えることは、本作を含めたこれまでのバートン作品を観る限り、彼に
とっては、何が“善”で、何が“悪”かなんてどうでもよく、むしろ、誰が“強者”で、
誰が“弱者”であるかの方に重きを置き、そして、常に“弱者の視点”に立って
描かれていることに気付かされる。ゆえに、一般的なモラル論を持ち出せば誤解を
受け易く――例えば、今作でも主人公が妻を殺された“夫”としての復讐だけで、
自分の子に会いたいという“父”としての感情が描かれていなかったりする――、
又その一方で、今作みたくグロをグロとして感じさせない“彼だけの世界観”が
存在する。そう、そこに広がる世界は、ダークでありながら、心優しく温かみに溢れ…、
残酷でありながら、どこか切なく胸締め付けられる…、《輝ける闇の世界》とでも
いうのかな。ほとんどがファンタジーとSFばっかり撮ってて、未だにこの地位を
キープしてるんだから、ある意味、大変な監督さんだと思うよ、ホント。
最後に、女性ファンが興味のあるところで、今年こそジョニー・デップが念願の
オスカー像(主演男優賞)を獲得できるか否か‥??、まぁ、こればかりは他の
ライバルたちとの兼ね合いもあるので、軽々に「絶対取れる」とか「多分取れそう」
とかは言えないが、映画を観る限り、そのチャンスは大いにある。過去に悲劇から
錆び付き、動かなくなった時計の針と、氷のように冷たくなった心…、多くを
語らずとも、その胸に付いたキズの深さをうかがい知る。確実に“それ(オスカー)”に
相応しい演技はしている。ファンの人は吉報を期待して待っていて良いと思う。
むしろ、組合のストで授賞式が中止になることの方が心配だなぁ。
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