肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ハンニバル・ライジング』、観ました。

2007-09-05 21:38:12 | 映画(は行)





監督:ピーター・ウェーバー
出演:ギャスパー・ウリエル、コン・リー、リス・エヴァンス

 『ハンニバル・ライジング』、観ました。
1944年リトアニア。名門家の血を引くハンニバル・レクターは、ドイツ軍の爆撃により
両親を失い、幼い妹とともに山小屋でひっそりと暮らしていた。そこへ、脱走兵の
グルータスらがやって来て、妹を連れ去ってしまう。終戦後、ハンニバルは孤児院へ
送られるが、厳しい制裁から逃れるため、唯一の血の繋がりを頼りに叔父の住む
パリへと逃亡。そこで彼は美しい日本女性レディ・ムラサキとの出会いを果たす‥‥。
 映画の作りに“致命的な欠陥”は見当たらない。スリラーのセオリー通りに進む
展開と、要所で(殺害シーンなど)見せ場を入れた構成は、誰もが安心して観られる
作品には仕上がっていると思う。ただ、どうなんだろう。例えば、1作目の『羊たちの
沈黙』では、狭い牢獄に隔離されながらも、鉄格子を通して尚放たれるハンニバル・
レクターの“鋭い殺気と圧迫感”みたいなもの…。一転、2作目『ハンニバル』では、
血生臭いサイコホラーでありながらも、追う者と追われる者との間に生まれる
“甘味で、奇妙な愛の絆”みたいなもの…(ちなみに、ボクは2作目が一番好きで、
これはサイコ映画の形を借りた“究極のラブストーリー”だと思っている)。しかし、
それが続く3作目と今作では、猟奇的な殺人の異常性を見せるだけで、これといった
特徴のない“並のサスペンス”に成り下がってしまった印象を受ける。勿論、シリーズが
回を重ねる毎に、初代ヒロインのジョディ・フォスターが抜け、ついに本作からは
シリーズの顔だったアンソニー・ホプキンスまで居なくなったせいもあるのだろうが、
作品全体から“近寄りがたいカリスマ”が消えつつあるのが残念だ。
 さて、映画は、今や“現代の怪物”と化したハンニバル・レクターが、それ以前に
何が起こり、如何にしてそうなったのか、その人生を紐解いていく。そして、その
シリーズを象徴する“悪のキャラクター”の若き日に戻って、今に至る経緯を描いた
内容は、先のスターウォーズ最終章『シスの復讐』にダブって見える。勿論、本作では
“ライジング”と、一方、スターウォーズでは“ダークサイドに堕ちる”との、対照的な
表現の違いこそあれ、愛の深さゆえに、それが引き裂かれたとき人格が破壊され、
“絶望”の中から“憎悪”が生まれてくるのは両作品に共通する。ただ、本作が
『シスの逆襲』と比べて見劣りしてしまうのは、憎悪とか復讐心の奥底に眠る“深い
哀しみ”がみてとれないこと。そういう意味からして、『シスの復讐』でアナキン・
スカイウォーカー(のちにダースベイダー)には共感できた人でも、この映画の若き
ハンニバル・レクターには、そうでなかった人がほとんどだったのではあるまいか。
 それから、日本人の側から見て一つ気になったのは、今作で“日本に関連する
事柄”がたびたび登場するのだが、それが特に“日本である必然性”が見当たらない。
それらすべてを西洋の文化に置き換えても十分に成り立つし、むしろ、これまでの
シリーズの経緯を考えれば、何を今さら日本に対してどうこう言われてもね~。
チョット…、いや、これってかなり、話の持っていき方が強引過ぎやしないか(笑)。



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