肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『輪廻(りんね)』、観ました。

2006-08-09 20:56:59 | 映画(ら・わ行)

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 『輪廻(りんね)』、観ました。
35年前、観光地のホテルで狂気にとり憑かれた大学教授が、自分の家族、宿泊客、
従業員の合わせて11人を惨殺。この事件を映画化しようと監督・松村は若手女優・
杉浦渚をヒロインに抜擢する。だが、不気味な幻覚が渚を襲い始める‥‥。
 観てもないのに「ホラー映画」と聞くだけで眉をひそめる奴がいる、オイラの
ワイフもそのひとり(笑)。ちなみに昨夜も開口一番「怖いだけの映画なんて
悪趣味ね」と切り捨てた(笑)。勿論、オイラとしても、根っからの“ホラー
支持者”ではないのだけどね。ことこの清水崇監督に限っては、例えば、背後から
「ワッ」と大声を上げて怖がらせる(驚かす?)“ショッカー演出”はほとんどなく、
暗闇から何者かが一歩一歩、音を立てずに忍び寄ってくる、日本の“怪談”的な
恐さっていうのかな。で、今作でもそのスタイルはしっかりと守られていて、
仮に“生粋(きっすい)のホラー映画ファン”じゃなくとも結構楽しめるはず。
それにしても、性懲りもなくというべきか、相も変わらずというべきか、清水崇
監督の“アイドル好き”はスジガネ入りで(笑)、今作でも平気で“優香”を
ヒロイン役に抜擢する。こいつは単なる職権乱用?、あるいは興行面を狙ったのかは
定かじゃないが、群像ドラマ的な『呪怨』ならともかく、恐怖映画としては
スタンダードなこの作品で…、ましてや「癒し系」が代名詞となった優香に、
主役を任せるには少々荷が重いように感じた。せめて、同じアイドル系を使うに
しても、もう少し“女優さん”寄りのカワイコちゃんを使うとかしないと、
心ならずも殺されていく者の無念さ、それから霊となり、この世をさ迷う者の
悲しみと憎悪が伝わってこない。奥行き感のない“平面的な恐怖”っていうの
かしら。これだとワイフに「怖いだけの映画」って言われても反論出来ないね。
 次に、物語の展開についてはネタバレが付きまとうので、今オイラがここで
軽々に、下手なことは言えますまい、書けますまい(笑)。だが、参考までに
言わせてもらうと、オイラは映画の中盤、優香が自室のベッドにて“あるもの”を
見付けた時に、おおよその結末が読めちゃいました。映画は観る側に“先入観”を
持たせ、“ミスリード(誤誘導)”を誘ってはいるが、きっと“本当の真相”は
こういうことなんだろうとね。まぁ、オイラが気付くのが早かったか遅かったかは
別問題として、あの有名なホラー映画『?????』以来、応用に応用を繰り返し、
さすがにもうこの手のオチがきてもあまり驚かなくなったなぁ。