ともやの映画大好きっ!

鑑賞した映画の感想やサウンドトラックなどの紹介、懸賞や日々の戯れ言などをのほほんと綴っていこうと思っています。

ハンニバル・ライジング

2007年04月23日 | 映画(は行)
(原題:HANNIBAL RISING)
【2007年・アメリカ/イギリス/フランス】劇場で鑑賞(★★☆☆☆or★★★★☆)


「刑事グラハム/凍りついた欲望」(1986年)、「羊たちの沈黙」(1990年)、「ハンニバル」(2001年)、「レッド・ドラゴン」(「刑事グラハム/凍りついた欲望」のリメイク作品・2002年)に続く、「ハンニバル・レクター」シリーズの映画化第5弾。
原作はトマス・ハリス。
音楽や絵画といった芸術をこよなく愛し、精神科医にして人喰いの連続殺人鬼ハンニバル・レクター博士の幼少から青年期を描いた物語。

1944年のリトアニア。名門貴族であるレクター家は戦争のためレクター城を離れて、山奥にある山小屋にて避難生活を強いられることになる。しかし、人里離れた山小屋にソ連軍が現れ、それを追ってきたドイツ空軍と激しい戦闘が繰り広げられてしまう。この戦闘で長男ハンニバル(アーロン・トーマス)と妹ミーシャ(ヘレナ・リア・タコヴシュカ)は、両親を失ってしまう。ハンニバルはミーシャノ世話をしながら山小屋で生活を続けたが、そこへナチスの残党グルータス(リス・エヴァンス)、コルナス(ケヴィン・マクキッド)、ミルコ(スティーヴン・ウォーターズ)、ドートリッヒ(リチャード・ブレイク)がやってくる。やがて、山小屋の食料は無くなり、彼らは飢えに苦しむことになる。我慢の限界を超えたグルータスらは、ミーシャに手をかけることに。それから8年後。レクター城はソ連軍の故事収容所として使われ、成長したハンニバル(ギャスパー・ウリエル)もこの施設に収容されていた。ミーシャの事件以来ショックで口が聞けなくなり、毎夜悪夢に悩まされるハンニバル。やがて、ハンニバルは施設を脱走し、叔父を訪ねてフランスへ向かうことになる。しかし、叔父は1年前に死去しており、そこにいたのは叔父の妻だったレディ・ムラサキ(コン・リー)と料理人だけだった。ハンニバルは叔母のレディ・ムラサキと一緒に生活をすることになり、そこで剣道や日本の武将が敵を倒した後に首を晒す風習があったことなどを学んでいく。ある日、市場でレディ・ムラサキに失礼な口の利き方をした男(チャールズ・マックイグノン)を、ハンニバルは日本刀で惨殺する。事件の捜査に乗り出したポピール警視(ドミニク・ウェスト)は、ハンニバルが怪しいと思うが証拠がないために逮捕することができない。勉強の末に医学生になったハンニバルは、今もミーシャを殺した男たちに復讐したかったが、相手の顔しか分からずに手をこまねいていた。そこで手に入れた自白剤で自らの記憶の封印を解き、彼らの認証タグが山小屋にあることを思い出す。ハンニバルは復讐を開始するために、リトアニアの山小屋へ向かう…。



これは評価が微妙な作品です。
ハンニバル・レクターの物語でなければ、★★★★☆でしたが、ハンニバル・レクターの誕生を描いた物語として観るならば、★★☆☆☆です。
何故かというと、ここで語られるハンニバルは、「刑事グラハム/凍りついた欲望」や「レッド・ドラゴン」で遠隔殺人を行ったハンニバル・レクターにも、「羊たちの沈黙」でクラリスにトラウマを紐解いていくハンニバル・レクターにも、「ハンニバル」でクラリスを自分のフィールドに引き込もうとするハンニバル・レクターにも繋がっていかないんです。



確かにこの作品でハンニバルは、妹を食べた男たちに復讐をして、彼らの頬肉を喰らいます。
でも、それは目的ではなく方法でしかないんですよね。
劇中で『目には目を』『肉には肉を』という台詞が何回か出てきます。
妹を喰われたから、仕返しに奴等を喰う。
ただそれだけなんですよ。
そういう出来事があって、ハンニバルは確かに人肉を食べたかもしれない。
でも後の作品に続くような【人喰いハンニバル】には結びつかないんです。

何故頬肉を食べるのか?
それはレディ・ムラサキの料理人に、『魚でも動物でも頬肉が一番旨い』と言われたから。
劇中でその味に取り憑かれていく描写があったら、少しは印象が変わっていたかもしれません。





そして【ハンニバル・レクターのルーツは日本にあった】と宣伝してますが、叔母さんが日本人だったというだけで、必然性がまったく無いんですよね。
一応、レディムラサキから剣道を習ったり、日本の武将は敵を倒すと生首を晒し者にするということを教わります。
実際に殺した相手の頬肉を喰らい、生首を晒すのは最初の2人だけ。
一貫した美学や気品、狂気みたいなモノが感じられないんです。
このハンニバルからは。
(まだ若いからと言ってしまえばそれまでなんですが)



ワインの味がちょっとは分かるみたいなエピソードもありますが、ただそれだけ。



何だかんだと言ってますが、ハンニバル・レクターの物語として観なければ非常に面白かったです。
ギャスパー・ウリエルの笑い方が怖いんですよ。
左頬に浮かぶ三日月型のえくぼが怖いんです。
エンディングも結構好きな終わり方でしたし。

何故ハンニバルが人肉を嗜好するようになっていったかは、この映画ではまったく語られていません。
他の作品は、原作を読んでから映画を観たんですけど、今回は原作を読まずに映画を観ました。
原作ではキチンと描かれているのかなぁ。
それとも、もう1本「ライジング」を作る気なのかなぁ。

監督はピーター・ウェーバー。

2007年4月21日公開
公式HP:ハンニバル・ライジング


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