日経ビジネス誌2018.12.3号の特集は、「残念な商品の法則 物はいいのになぜ売れない」。
楽しく読みました。
モノが売れない時代のマーケティング・・・本当に難しい。
マーケターやコピーライターがアタマをひねればひねるほどクチビル寂しい状況になっていきます。
同誌が名付けた「空気コピー」。
あってもなくてもいいコピーです。
むしろ、「余計なことを言うから」、ますます売れなくなります。
「和製〇〇」は大成しない・・・そのとおりです。
「日本のベニス」こと富山県内川 観光客数26.6%ダウン
「日本のマチュピチュ」こと兵庫県の竹田城跡 観光客数31.0%ダウン
「日本のグランドキャニオン」こと青森県深浦町 観光客数9.5%ダウン
同誌ではその理由として三つあげています。
1.オリジナリティがない 二番煎じ宣言
2.本家と比べられる がっくりリスク
3.実は「日本版」以外に特徴がない
そういえば、日本の政府も「日本版CCRC」とか「日本版IR」、「日本版DMO」とか、やたら「日本版」を使っていますが、ほとんど訴求力がありません(笑)。
さらに、同誌は続けます。
「こだわりの」は危険 商品を沈めるキャッチコピー
そういえば、「こだわりの~」も空気コピーです。
和食店の事例で説明されていました。
・心づくしの野菜のおひたし
・旬の魚のお造り
・本日の厳選素材の握り
・こだわり抜いた特選和牛のステーキ 極上のソースを添えて
・伝統の技で仕上げた炊き込みご飯
・丹精込めて育てられた果物
真心を込めておもてなし致します 店主
日頃、何の疑問もなく流れているどこにでもあるような文章・・・。
よく考えれば、「心づくし」「旬」「厳選」「伝統の技」「丹精」「真心」・・・商売するんなら当たり前ですよね。
ホント、笑ちゃいました。
当たり前のこと、言わなくていいこと、触れなくていいことを、とつとつと並べること。
コピーの世界では、「絵解き」「字解き」はタブーとされていますが、この空気コピーもその一種です。
さらに、日経ビジネス誌は、大学業界について空気コピーが溢れていることを指摘します。
日本の大学は「未来」を「拓く」のが好き
●主な大学のキャッチコピーやスローガン
「世界へ、そして、未来へ」
「つなげよう世界へ」
「自分、世界、そして未来へ拓く」
「自分を超える、未来をつくる」
「ここに集い、世界へ旅立つ」
「世界をつなぎ、未来へ」
これらのキャッチコピーやスローガンは、何も伝えていません。
新設校や今後学生を増やす必要がある大学が同じことをしても埋没してしまいます。
ランク下位の大学の半分以上が空気コピーを使っていると指摘します。
「未来」「夢」「豊かな●●」「世界」「伝統」「磨く」「輝く」・・・
学長の挨拶や建学精神などにも頻出しています。
そう言えば、ここ近年、グローバルやキャリアといった横文字学部、何でも「国際」といった学部が増えているようにも思います。
す。
そんな中、マグロや「早慶近」などのコピーで志願者数トップに立った近畿大学のマーケティングというのはお見事としか言いようがありません。
「空気コピー」が氾濫する世の中、モノを売るためにはエッジの効いた鋭い切り口のホンネトークが一番効くように思います。