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気まぐれ読書・映画・音楽の記録。本文に関係のないコメントについてはご遠慮させていただきます。

北尾トロ「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」

2009-03-18 | 新書・社会

裁判長が制してもぼくの興奮は抑えられない。


裁判員制度を語る前にナマの法廷に足を!

ワイドショーも小説もぶっとぶほどリアルで面白いのがナマの裁判だ。しかもタダで誰でも傍聴できる。殺人、DV、詐欺、強姦、強盗、覚醒剤…。。突っ込みどころ満載の弁明や、外見からは想像できない性癖、傍聴席の女子高生にハッスルする裁判官。

東京地裁で繰り広げられるドロドロの人生ドラマから、実際に傍聴した著者が印象深かったものをピックアップ。『裏モノJAPAN』連載の書籍化。

ふとした興味から、裁判所の傍聴席に初めて座った北尾氏。殺人・強姦・詐欺・離婚にDV...。傍聴する北尾に、赤の他人の赤裸々な人生が垣間見える──。時には被告に同情し、また時には検事の論理に頷く北尾は次第に法廷の傍聴に魅せられて行く。そこには紛う事無い、リアルが有った。裁判員制度を考えるに読みたい一冊。

 

北尾 トロ
1958年、福岡県生まれ。オンライン古本屋「杉並北尾堂」の店主であり、ライターとしても様々な分野で活躍。型にはまらない執筆出版活動を展開している

 

裁判は戦い。ワイドショーなどど比較にならないリアルさ。

双方の代理人である弁護士と検察官の、刑期をめぐるプロ同志の駆け引き。

また、被告の弁明や開き直り、時には後半のナガレを左右する証人の証言。裁判所で繰り広げられる赤裸々な人間模様。裁判官の判決の落としどころも注目。

検察側の求める刑に対し、裁判官はどう出るのか。被告の事情を汲んだ温情判決を下すのか。犯人・被害者にとって納得のできる裁きはどの辺りか。見所満載。

 

だが、傍聴先の自分と、被告席にいる男と、実は誰ほどの違いがあるのか、ひとつ歯車が狂えば自分だって犯罪者として裁かれる可能性はあるのだ。

 

離婚裁判を見ると、夫婦というものが、赤の他人同士がくっついたものにすぎないことを再確認できる。金銭か子供の奪い合いをしているかで特徴はお互いの言い分に隔たりがある。

物事なんて、見る角度によってまったく違うように見えるということ。

一方にとっては冗談交じりの発言の積もりでも、相手が深刻に受け止め傷つけば「ひどい言葉を浴びせかけられた」ことになる。酔いつぶれサウナに宿泊するも、無断外泊に違いない。普段それが問題にならないのは夫婦間がうまくいっているから。愛情だとか、信頼感とか、目に見えないものに支えられて、表面化しないで済んでいるのである。

 

被告ファッションの9割はスウェット姿。被告の置かれた経済状況から反省の度合い、生き方のポリシーがスウェット一着に凝縮される。

ところが…、人をひき殺した男がドクロマーク入りトレーナー。

相続争いで兄の殺人をチンピラに依頼し殺害。このうなだれたチンピラのTシャツには真っ赤な文字で<Love&Peace>

殺人罪で起訴されたヤクザの背中でひょうきんなポーズを取ってしるシンプソン・ファミリーのキャラクター。

傷害致死で訴えられた男の白いスウェットの背中でミッキーマウスがポーズを決める

ヤンキーのあんちゃんのジャンバーの背中はギラギラ光る登り龍で金の刺しゅう入りスウェットは定番。

スウェット1つで出所後の立場が変わったりするのかもしれんが、彼らは周囲に配慮して服装を選んだりしない。見事に欺かれるオレ流に触れる度戸惑うばかりの僕は自分の平凡さを思う。

 

裁判所の女たちの美形度は一般レベルより数段高い。ダークスーツに身を固め姿勢正しく自信に満ちあふれた態度で闊歩する美女がウヨウヨいる。点は二物を与えるのだ。

この美女軍団に水商売関係らしい一派、ヤンキー、ヤクザ関係と思われる姐さんなど派手な女たちが彩りを添える。

 

肉親殺害から、窃盗未遂まで、様々な事件を追いながら、裁判所で織りなされるドラマを北尾さんの素人っぽい率直な視線から捕らえるとなんとも、不思議な裁判入門書であると言える…。

5月から、裁判員制度がいよいよ始まる。

一般人が傍聴人ではなく裁判員としての冷静な目を持つ事ってできるのか? 

タイトルがあまりにも興味深く、手にとりましたが…

それにしても、事実は小説をはるかに上回るサスペンス劇場だ。

 

 

 



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