9月、新学期の始まりですね。当教室の夏期講習も終わったわけですが、毎年のことながら、受験生はみんなよく頑張っていました。もちろんそれに応える講師陣も真剣そのもの。みなさんご苦労さまでした。
やっと終わった一休み、といきたいところですが、ふと気が付いてみると大学センター試験まであと4ヶ月半、中学入試も5ヶ月を切ってしまいました。
やれやれやっと秋らしく、涼しくなったなどと世間がほっとしている一方で、徐々に緊張感が高まるのが受験生ですから、ゆっくり本を読む時間もなかなか確保できないでしょう。
いったいなんでこんなに勉強するの(させられるの) と思っている諸君におもしろい一冊を紹介しましょう。書名通り、女性がどのように学問と関わってきたかについて言及した本です。
歴史学者が書くと小難しい研究書になりそうなテーマですが、著者の杉本苑子氏は言わずと知れた歴史小説家。吉川英治氏氏に師事しており、直木賞など多くの賞を受賞していますね。
想像力を駆使して、日本史や国文学に興味がない人でも楽しく読める書に仕上げています。配列は年代順ですが、章ごとに違う人を取り上げているので、興味のある章から読むことも出来ます。
目次です。
第1章 女王ヒミコは、外国語がペラペラだった?嘘ォ、信じられないわ。
第2章 女帝は飛鳥・奈良朝の専売にあらず。江戸時代にもいましたよ。
第3章 いよいよ花ひらいた女帝の世紀。そしてその、明と暗。
第4章 時代の生証人ケヤキの厨子。しかし彼は黙して語らず。
第5章 猛勉強した光明皇后。その師はなんと、則天武后!
第6章 漢詩が得意な内親王、坊さんキラーの皇太后など、世はさまざま。
第7章 女がひっぱる女の足。本箱は壁に向けて置くのが安全よ。
第8章 娘に着せる正月小袖、生首一つで買えるかなあ。
第9章 女の子の教育はおッ母さんの受け持ち。子供は遊ぶひまもない。
“女がそんなに勉強してどうする” というような親ごさんは、今ほとんどいなくなったと思います。申し上げるまでもなく、女性が学ぶことは、現代では当たり前ですが、日本の教育制度がととのって、「教育を受ける権利」 が保障されてから、わずか半世紀ほどですよね。
しかし、さらに歴史を振り返ると、三世紀半ば頃、きっとまだ日本独自の文字のなかった時代に邪馬台国の女王・卑弥呼は、民衆の上に君臨し、なんと隣国・魏の言葉に堪能だったとか。本当でしょうか。
あの聖武天皇の皇后・光明子は、中国の女傑・則天武后の著した書物を、そして紫式部は漢籍を読んでいたらしい。女性と学問の通史とでも言えば良いのでしょうか。
受験に役立つ一冊というのではありませんが、秋の夜長に想像力をかりたてられる、楽しめる良書だと思います。
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女性はどう学んできたか―卑弥呼から江戸庶民の女まで (集英社新書) 杉本 苑子 集英社 詳細を見る |
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この目次、良い意味でですが、週刊誌の見出しみたいですね。非常にとっつき易い。
さて、私はどう学んできたのでしょう?いや、学んでない?つい、このタイトルに自問自答してしまいました。
なるべく更新しますのでよろしくお願いします。