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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『メガバンクの誤算』 箭内昇

2006年04月03日 | ビジネス書・マスコミ関連
 
ここのところ株価は大幅に動いています。かつては公的資金の投入などで、倒産までうわさされたメガバンクは完全に立ち直ったように思えます。小泉改革の成果か、竹中さんがすごいのかわかりませんが、塾の卒業生の就職も改善され、金利も上げられるような経済情勢になったことは喜ばしいことです。

本書はまだ、銀行が不良債権を隠していた頃、かの木村剛氏が『(銀行は健全だと主張する)柳沢大臣(当時)がまず読むべき本』だとコメントをして少しだけ話題になりました。少し前の本ですが、忘れられない一冊ですのでご紹介します。

著者は元長銀の出世頭として、取締役まで登りつめたあと、数年前、経営方針をめぐって長銀首脳陣を批判、役員総退陣を迫りました。しかし聞き入れられず、自分の方から辞表をたたきつけました。「このままでは死んでも死に切れない」と、その当時の銀行の問題点をあらゆる側面から論じています。筆者の要求を無視した長銀の顛末は、ご存知のように破綻、外資へ売り渡されましたね。

責任を取らない財務省、それにくっつく銀行、唾棄したくなるほど腐りきった癒着の構造、アメリカの金融との比較、デリバティブなどの仕組み、グローバリズムのわな、不良債権の隠し方、銀行員給与の実態、頭取の退職金などなど、話題は尽きません。

自らもMOF担(銀行の財務省対応係)から、役員まで経験した著者が述べるだけに説得力を持ちます。「はずかしながら」と述べつつ、自分の給与の額の推移すべてを公開して“こんなにもらっていますよ、ごまかされないで”とでも言いたげです。今でなく、銀行が厳しい時期に書かれたものだからこそ本書の価値があります。勇気のいる告発になるわけですね。

やがて、長銀に続いて、メガバンクの一角、りそな銀行が危うくなり、政府が公的支援を実施しました。その後、もちろん役員は退陣、行員は全員ボーナスゼロで、一律30%くらいの給与カットのように記憶しています。どう再生するのか見ものだったのですが、筆者に、りそな再生の白羽の矢が向けられました。今も社外取締役です。

他のメガバンクはともかく、りそなの再生は厳しいと言われ、証券アナリストからの評価もとても低く、株価も低迷していましたが、私はこの本を読んでいたため、証券マンの制止を振り切り、きっと再生すると信じ、箭内氏に対する応援の意味で、最悪倒産覚悟で、リソナの株、12・3万円(今の1株単位)ほどを購入しました。

それがなんと!今日の株価では41万円ですよ!やはり箭内氏はやってくれた!
あ~、ずっと持ってりゃ良かった(笑)。

http://tokkun.net/jump.htm
メガバンクの誤算―銀行復活は可能か

中央公論新社

詳  細


『メガバンクの誤算』箭内昇
中央公論新社:284P:861円


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1 コメント

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はじめまして (tsukiko)
2006-04-07 02:34:56
こんばんは。 3日にTBしていただいた者です。 タイトルに「株も・・」などとあるのに、すっかり株から離れてしまいました。  

読書三昧です。 

私は小説ばかりですが、また覗きにきて下さいね。
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