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『フェルマーの最終定理』サイモンシン

2006年03月24日 | ノンフィクション

『xの2乗+yの2乗=zの2乗』という式は中学で習う三平方の定理で、ピタゴラスの定理とも呼ばれるものです。似ているものに

『xのn乗+yのn乗=zのn乗(nは3以上の自然数)を満たすような自然数x、y、zは存在しない』

というフェルマーの定理というものがあります。

一見この方程式は中学生でも理解できそうなわかりやすい数式ですが、『では証明して下さい』となると大変です。実際、これまで世界中の多くの天才数学者が挑んでも頑として証明を拒み続け、史上最大の難問と呼ばれるに至り、なんとその期間は350年もの長きに渡りました。

これが証明されたのは1995年のことで、アメリカの数学者アンドリューワイルズが成し遂げました。その証明は何と200ページを超える長さで、正しいかどうかを判定する数学者が6人がかりで取り組んでも、数ヶ月を要するという化け物論文です。

もちろん素人が読んでも理解できるはずもなく(実際、世界に数人しか理解できないとも)本書では、数式は極力省き、そこに至る歴史をわかりやすく、ドラマチックに描き出します。数学者で今話題の藤原正彦氏も数学をドラマにしていて、おもしろいのですが、サイモンシンはまるでNHKスペシャルのように派手に描きます。(わかりにくいですね)

うれしいことにその偉業に力を貸した日本人数学者が数人いて、彼ら抜きでは証明は不可能でした。7年かけて証明し、いったん公表したものの、間違いを指摘されてしまい、失意のどん底に突き落とされ、あきらめかけたワイルズに決定的な助け舟となる理論を与えたのも、日本の岩澤理論と呼ばれるものでした。理系、文系にかかわらず、感動の物語、サイエンスノンフィクションをぜひお読みいただきたいと思います。

フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで

新潮社

詳細


http://tokkun.net/jump.htm

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まさにNHKスペシャル… (chura)
2006-03-24 01:09:11
はじめまして。トラックバックをありがとうございました。この本は、まさに”NHKスペシャルのよう”…な本ですね。 なんとぴったりな表現でしょう(^^)… 私は数学が苦手なほうだったのですが、この本はとても興味深く読むことがでいました。またこれからもいろいろな本のお話を楽しみにお邪魔させていただきます。
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NHKスペシャル (VIVA)
2006-03-24 02:12:48
でよいのでしょうか?ぴったりとおっしゃっていただける方が、たとえお一人でも、数万の味方を得た気分です(笑)。(別に敵はどこにもおりませんが)

コメントいただき恐縮です。
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トラックバックありがとうございます (NOMA)
2006-03-26 00:15:44
トラックバックありがとうございます。



小川洋子 著「博士の愛した数式」(新潮文庫)にも、参考文献

の一つにあがっていた、サイモン・シン「フェルマーの最終定

理」は読んでみようと思います。

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コメント (VIVA)
2006-03-26 14:56:16
ありがとうございます。ぜひぜひお読み下さい。感動のドキュメンタリーです。
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Unknown (まりママ)
2006-03-31 04:24:50
TBしていただき、興味ある本のご紹介、ありがとうございました。

早速注文いたしました。
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こちらこそ (VIVA)
2006-03-31 14:24:43
コメントいただきありがとうございました。もしお読みになりましたら、ご感想をお聞かせいただければ幸いです。
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TBありがとうございます (小林毅)
2006-07-27 00:19:37
「フェルマーの最終定理」のすごさは、算数が嫌いでも、ミステリが好きで、歴史が好きで、ドラマが好きな人なら、きっと面白く読めること思います。私のブログにも書きましたが、専門知識、スリル、わかりやすさ、ストーリーテリングのバランスが絶妙です。

さらに、本書をはじめ、「暗号解読」「ビッグバンー宇宙論」というサイモン・シン作品のタイトルの何の気負いも衒いもないシンプルさにも好感がもてます。こけおどしの邦題をつけなかった新潮社に敬意を表しますが、「これなら中身で勝負できる」という同社の自信が垣間見えますね。
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小林毅様 (VIVA)
2006-07-27 12:37:41
実名で、拙ブログなどにコメントいただけるとは光栄です。本当に【フェルマーの定理】というより、【サイモン・シン】が好きでしたので、先生のようなプロフェッショナルなレビューに大きく劣りますが、恥をしのんで、コメントさせていただきました。



おっしゃるように翻訳の青木さんにも注目すべきということが、わかりました。

誠にありがとうございました。
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