ⅩⅩⅩⅣ「四時半病」
愛しさが溢れる現象を「恋患い」というように
虫の知らせのように
その時刻に為ると覚醒を促され
黒暗の孤塁に放り出される日々の事を
僕はひそかに
「四時半病」と名付け
その都度嬉々としたり
辟易としたり、したり顔を作ったり
偶に舌打ちを加えて
その病の起因や病状や治癒の仕方を探って
もの書きになる
*
「幽けさ計」
ほんの僅かな重みの違いを察知して
微かに何方かに振れる幽けさを計る機器
その僕の裡に現存するたった一つの
これ以上ない精緻な天秤の差配のように
僕は何時でも
その微量の重みの受け皿に乗って
その”かそけさ”の意味や由来や
動機や仕組みやの彼是を解き明かし
書き残すために
虫の息の気配もない静寂に
イノチの滴を落としてゆく
*
「誰でもが太子には」
ときおり立ち止まっては
振り返ったり足許を見詰めたり
今日の続きを確認したりしてみる
何やかやと煮詰まり
それが縺れ合ったりして
少し息苦しさを感じるようになると
一度、間をおいて並びを点検してみる
己の立つ位置や
その情勢やを正しく認知する為の
幾らかの時間が必要になる
人は誰でもが太子には成れないので
三つか四つ重なっただけで
その順列を整頓しなければ直ぐに混乱してしまう
其々の事柄が持つ重要度にもよるが
中には
髭剃りの時期とか
洗剤や湿布薬やホカロンの補充や
スティックシュガーの買い付けや
寒肥を施す日にちと云った
取るに足らない項目も含まれていて
時々は、その煩雑事項を
交差点のお巡りさんのように
脳信号を駆使して鮮やかに捌いてゆかねばならぬ
*12/12 06:03:50 万甫
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