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日本の本当の宝「安来鋼」を外資に売り飛ばした日立グループ

2021年05月23日 | 未分類
 私は若い頃から刃物に興味を抱き、一時は研ぎ屋をやっていたこともある。
 関の刃物卸商とのつきあいから、たくさんの刃物と触れて、日本の刃物の優秀性を思い知らされた。

 今、私が日常的に使っている刃物といえば、調理用には「白紙2号」という安来鋼が使われた包丁だ。1号の方が、はるかに硬くて刃持ちが良いが、研ぎやすさというバランスを考えて料理人の多くが2号を使う。靱性が強く、欠けにくいことも大きい。
 木工の仕上げなどに多用するのは、青紙スーパーという鋼を使った小刀だ。これは、私が世界最高の刃物鋼と確信している。刃が本当に長持ちするのだ。これは超高級ハサミにも使われる。

 手術用メスは、手術中に欠けて体内に取り残されては困るので、硬度を犠牲にしてでも、強力な靱性のあるHRC60以下の鋼材を使う。安来鋼を使う場合は、銀紙3号を使う。このクラスだと、かなり無茶な使い方をしても粘りが強く、欠けることはほとんどない。その代わり研ぎの回数は増える。
 https://mitusaburo.com/togisho/houtyokankei/393.html#:~:text=%E9%8A%80%E7%B4%993%E5%8F%B7-,%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%A3%BD%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E6%97%A5%E7%AB%8B%E9%87%91%E5%B1%9E%E5%AE%89%E6%9D%A5%E5%B7%A5%E5%A0%B4%E3%81%8C%E7%94%9F%E7%94%A3%E3%81%97,%E3%81%A8%E7%A1%AC%E3%81%8F%E5%88%87%E3%82%8C%E5%91%B3%E3%82%82%E8%89%AF%E3%81%84%E3%80%82


 これまで使ってきて経験的に信用がおける刃物には、ほとんどの場合、日立金属安来鋼が使われている。ほとんどの安来鋼の硬度はHRC60以上(HV= ビッカース硬度換算で700程度)で、青紙スーパーの硬度はHRC67(HV=900)を超えるから工具用鋼やハイス、切削用超鋼に匹敵している。

 おそらく人類が作り出した刃物鋼の最高峰で、他の鋼材にない靱性も兼ね備えている。硬くするだけならダイヤモンド焼成材や超鋼、粉末ハイス鋼はHV2000を超えるものもあるので、はるかに上だが、残念ながら靱性が伴わず、少しいびつな力が加わると容易に崩壊してしまう。

 安来鋼の長所は、この硬度と靱性のバランスが世界最高峰だということで、近年の和食ブームに乗って、今や青紙スーパーや白紙1・2号の包丁は、世界の料理界を席巻している。一流の料理人は、ゾリンゲンではなく安来鋼を使うのだ。
 その代わり、ずいぶん高価になり、一本3万円がザラで、もう私には手が出ない。

 包丁の切れ味からいうと粉末ハイス鋼が最高だが、やはり靱性・粘性の問題から、骨切り、カボチャ切りで欠けることがあり、料理に残るリスクを考えれば超一流料理店は使わないかもしれない。
たぶん、料理に残るかも知れない「刃欠け」を気にする店は白紙2号包丁を使うだろう。

 日本の刃物工業界では、安来鋼は比肩するもののない巨人であり、スウェーデン鋼も、ハイス鋼も極めて優秀なのだが、玉鋼の伝統を継承した靱性の高い安来鋼に匹敵する鋼は他にない。使う側でも、安来ブランドの信頼性は絶対的なものだ。
 その玉鋼は、日本刀に使われる、これまた世界最高峰の伝統鋼だが、これを生産できる技術を持っているのは、日立金属安来工場しかない。
 https://www.hitachi-metals.co.jp/tatara/nnp0305.htm

 戦前、島根鳥取県境の歴史的タタラ地帯で、安来鉄鋼合資という企業が作られ、安来綱のブランドが高速度工具鋼に用いられたが、日立金属が買収した後も「安来鋼」という鋼ブランドの巨人が消えることはなかった。
 戦後は、ますます安来鋼のブランドが一人歩きして、絶対的な信仰を集めている。

 工場のある安来市は、出雲大社にも近く、おそらく奈良時代に朝鮮半島から、たたら製鉄技術が渡来した、最初の拠点であるだろう。「もののけ姫」に出てくるタタラも、おそらく安来市がモデルになったにちがいない。
 安来鋼というブランドは、「日本の誇り」といってもいいかもしれない。

 そんな神格化された日立金属を、日立グループ本社が、外資ファンドに売り飛ばすというのだ。

  https://aki88ra.com/hitachi-metals-restructuring/

  日立金属、ベイン連合が買収 日立は保有株を3820億円で売却 2021年4月28日
 https://jp.reuters.com/article/hitachi-sale-idJPKBN2CF0N0

  [東京 28日 ロイター] - 日立製作所は28日、保有する日立金属株の売却先を、米投資ファンドのベインキャピタルが主導する日米の企業連合に決定した。保有株全てを3820億円で譲渡。ベイン連合は株式公開買い付け(TOB)で日立金属の全株式取得を目指す。買収総額は8000億円程度になる見込み。

 ベイン連合は1株2181円で日立金属株を買い付ける。TOB後、国内投資会社の日本産業パートナーズ(東京都千代田区)とジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(同)がそれぞれ運営する2つのファンドが出資する。日立金属は上場廃止となる見込み。

v日立はグループ事業の再編を進めており、日立電線は2013年に日立金属と合併。日立化成は20年に昭和電工へ売却した。一方、今年に入り、システム開発を手掛ける米グローバルロジック(カリフォルニア州)をおよそ1兆円で買収することを発表している。

 日立は日立金属株の53.45%を保有。日立は2022年3月期の連結決算に、事業再編等利益約1140億円を計上する。同期の個別決算には株式売却益3280億円を計上する。
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 なぜ、アメリカ・ユダヤ金融資本の代表的なハゲタカファンドに、日立は「日本の誇り」を売り飛ばすのか?
 それは以下の事情だ。

 日立は英子会社ホライズン・ニュークリア・パワーを通じてアングルシー島に原子力発電所を建設する計画だったが、出資者集めなどが難航し、2019年に事業の凍結を発表した。 これに伴い19年3月期連結決算で約3000億円の損失を計上した。2021/02/07
 https://biz-journal.jp/2019/01/post_26345.html

 日立金属を売り飛ばした金額、3000億円と、英国における原発損失の3000億円が同じ金額であることを見れば、この愚かな売却が、日立グループ経営陣の英国における大失敗の対価であることが分かる。
 経営陣は、決算を黒字にしておかないと、自分の退職金が受け取れなくなるので、世界の宝といっていい安来金属を犠牲にしたわけだ。

 なぜ、日立は英国の原発に馬鹿げた投資を行ったのか?

 日立が英国で原発建設を凍結(1)英国は世界唯一の「原発民営化市場」:日本・中国・フランスの三つ巴 2019/1/18
 https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20190118-00111542/

日立製作所が17日、取締役会を開き、英国で進めている原子力発電所の建設計画の凍結を正式に決めた。
 日立は英中西部のアングルシー島に原発2基を建設し、20年代前半の運転開始を目指していた。

 事業費は約3兆円。安全対策の強化により、当初予定の1.5倍に膨らんだ。設備の減損処理で約3000億円の損失を計上する。このうち、原発子会社の資産の減損が2800億円を占め、これまでの投資は、土地などを除き、ほぼ価値がなくなるというのだ。

 そして設計や工事準備費では、月数十億円も費用が流出していた。しかも今後、取引先との契約解除に約200億円が必要になるという。

 なぜこれほど、損失ばかりの丸裸状態になるのか。それは、英国の原発が民営化しているからである。つまり日立がしていることは「投資」なのだ。英国政府は原発を買ってくれない。英国政府がすることは、買うのではなく、総事業費3兆円超のうちの、約2兆円の「融資」である。つまり、日立は(利息をつけて)2兆円を返済しなければならないのだ。(残る約1兆円は、日英の企業などが出資する計画だった)。

 「そんなばかな」と、一般の日本人は思うだろう。なぜなら、日本の原発は違った。日本側が主にアメリカのメーカー、GE(ゼネラルエレクトリック)やウエスティグハウスにお金を払って買った&作ってもらったのだ。
 そして福島原発事故が起きても、GEが損害賠償を払ったなどと聞いたことがない。原発とは、国家が責任をもって外国メーカーにお金を払って作ってもらうビジネスーーそう思っているだろう。

 しかし、英国は世界の例外なのだ。ここでは、原発は民営化しており、電力市場も形ばかりではなく本格的に開かれて市場競争の原理が働いているという、世界で唯一の国と言っていいのだ。

 そんな理解しがたいところに、日立と東芝が進出していたのだ。そして大火傷を追った。それでも筆者は嬉しい。原発を稼働することなく事実上撤退したのだから。筆者は、もし福島原発事故クラスの事故が、英国で日立や東芝の建設する原発で起こったらどうするのだろうと、本気で心配していたのだ。最悪の事態を免れたという思いでいっぱいである。本当に良かった。日立の方々、決断してくれてありがとう。

 以下の原稿は、2014年に岩波書店で筆者が発表したものである。日立や東芝が進出した英国の「原発民営化市場」という奇っ怪な状況とはどういうものだったのか、なぜこうなったのか。千年単位で欧州の厳しい外交にもまれてきたドイツ、スペイン、スウェーデン、スコットランドすら英国からは手を引いたのに、日本は彼らが去った後に乗り込んでいったのだ。
 それがどんなに無謀なことだったかーーちょっと古い原稿ではあるが、知って頂きたい思いで公表する。
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 電気会社を自由に選べる社会ーー日本では、電力システム改革を3段階で進める改正電気事業法が、昨年2013年11月13に成立した。 2016年には電力小売りの参入を全面自由化、2018~20年には電力会社が自由に価格を決められる社会を実現しようとしている。

 人々が電気会社を選べる社会をいちはやく実現しているのが、英国だ。しかし、自由市場なのに原発は存在する。現在、2基原発の新設が確定している。つくるのは、フランス電力の英国法人である。この理解し難い市場に、日本の日立と東芝ウエスティングハウスが進出している。

 なぜ自由化した市場に原発が存在できるのだろう。

 英国の25年は、いかに原発を民営化するかの闘いの歴史であった。それはそのまま、原発をどうするのかーー原発を新設したい人々と、阻止しようとする人々との闘いの歴史だった。

 この先進性は、英国が西側で初めて商業原発を稼動したことと関係あるだろう。そして アメリカにもソ連にも頼らない英国の独自技術の原発をつくってきた(一基のみ例外)。

 日本で一番最初につくられた原子炉は、東海村の英国製マグノックス炉だった。だからこそ、核のゴミと向き合ったのも、英国が世界に先駆けていたといえるだろう。それに、これから日本が迎えるであろう状況は、英国の2001年以前の状況に大変似るに違いない。

 自由市場にある民営化した原発とは一体どんな姿だろうか。そして日本企業がおかれているのは、どのような状況だろうか。
 電気会社を選べる社会
 まず、電力市場が自由化した社会とはどのようなものかお伝えしよう。

 英国では人々は、どの旅行会社のどのパックにするかを選ぶような感覚で電気供給会社を選んでいる。大手は6社だが、準大手も含めると20社ほど、そのほかに地域型も存在する。さらに自家発電設置などのエネルギー供給会社は約1500ある。

 ネット上には、どれが一番安いか検索できるサイトがたくさんある。試しに、ロンドンの日本人が多く住む西部地域の郵便番号で検索してみた。

 あるサイトでは16社38プランが紹介された。別のサイトで13社が表示されたが、前のサイトには載っていなかった会社もあった。もちろん、再生可能エネルギー専門の会社を選ぶこともできる。電力会社の切り替えやプランの変更はサイトで簡単にできるため、サイト間の競争も激しい。値段は細かい設定によって、もっとバラエティが出てくる。ただ、電気代はこの7年間ほどでおよそ2倍に値上がりしてる。

 ドイツも英国と似たような競争社会である。対して日本とフランスでは、いまだほとんど選択肢がない。

 そして市場自由化が進んだことで、外資が参入している。自由化したなら避けられない状況だ。ビッグ6と言われる発電と供給の両方をもつ大手は、4社が外国の企業である。英国の企業は、ブリティッシュ・ガスのブランド名を使うセントリカ、スコティッシュ・サザンエナジー社の2社。そのほかドイツのE-ONとRWE、フランス電力、スペインのイベルドローラの6つである。
 英国で運転中の原発は、1基をのぞいてすべて英フランス電力が所有している。なぜなら、英国政府が運転中の改良ガス冷却炉の原発を全部、フランス電力に売ってしまったからだ。2008年のことだ(完了は2009年)。

 当時すでに、原発を新設するための土地を新たに確保することは大変厳しくなっていた。そのため、「既に原発のある敷地に、新しい原発を建設する」という政府の方針だった。つまり「古い原発と新設の権利の抱き合わせ」販売だったのだ。より古い世代のマグノックス炉のほうは早々に民営化をあきらめて、英国の「原子力廃止措置機関」の管理のもとにある。現在、1基をのぞいて、すべて運転が終了した。

 日立が建設しようとしている原発は、マグノックス炉原発がある2つのサイト(Oldbury とWylfa)である。「原子力廃止措置機関」は、古いマグノックス炉があるサイトに原発を新設する権利を企業に売った。2009年にドイツのE-ON社とRWE社が共同で「ホライズン・ニュークリア・パワー」社を設立し、原発を新設する予定だった。

 しかしドイツ政府は、福島原発事故をうけて脱原発を決定。英国のすべての原発計画から撤退した(フランスのアレヴァとの共同事業も撤退した)。この撤退した後を買ったのが、日立だったのだ。

 もう一つの東芝ウエスティングハウス社も同様である。やはり「原子力廃止措置機関」の管轄にあるセラフィールドに原発を新設する権利を、Nugenという会社がもっていた。この会社は、スペインのイベルドローラ、スコティッシュ・サザンエナジー、フランス・ベルギーのGDFスエズ社の3社が株をもっていた。
 しかし、福島原発事故を受けて、スコティッシュ・サザンエナジーが撤退、残り2社が株を購入、半々ずつ保有していた。しかし、スペインのイベルドローラも撤退してしまった(スペインに原発は8基あるが新設計画はない)。持ち株を東芝ウエスティングハウス社に売ったのだ。よって現在の株主は、東芝ウエスティングハウスとGDFスエズだ。

 このように日本の企業は、福島原発事故の後に、英国の原発市場から撤退したドイツ、スコットランド、スペインの企業の株を買って、英国に原発を新設しようとしているのだ。

 ここまでで既に頭が混乱してしまうのではないか。原発という国のエネルギー問題に関わることなのに、しかも大変な危険物を扱うのに、まるで車の会社が売られるかのように売買されている。これだけでも、英国の原発市場の特殊性が伝わったのではないかと思う。

 でもそれだけではない。問題は、英国政府は建設に一銭もお金を出さないということだ。新興国では、その国の政府が外国の企業に原発を発注し、お金を払う。責任も引き受ける。かつて日本もそうだった。でも英国は、民間企業が自由化した市場で自由に経済活動をしているのだから、建設の費用など一銭も出さないのだ。これは企業の投資である。そのせいで先陣をきる英フランス電力は、大きな問題を抱えた。日立や東芝WHにも関わってくる問題だ。

 フランスの反撃と中国の投資

 改良ガス冷却炉を買収したフランス電力にとって、大きな誤算は福島原発事故が起きたことだ。
 英国に建設する原発の費用はかさみにかさんで、2基で160億ポンドとなった。繰り返すが、英国政府は建設に一銭も出さない。これは投資である。

 160億ポンドを払いきれないフランス電力は、中国国有の原発企業である二社を投資に誘い、英国政府、中国政府、英フランス電力の三者によって合意がなされ、昨年2013年10月中旬に発表された。

 比率は、フランス電力が45-50%、アレヴァが10%、中国国有二社が30-40パーセント、残り最大15%は他の投資家向けである。

 中国国有二社とは、北京の中国核工業集団公司と、広東の中国広核集団である。フランスは広東の集団と30年以上も交流がある。中国の原発をリードしてきたのは、フランスの技術で「勉強」をしてきた広東の集団だった。

 しかし近年、両者は熾烈な主導権争いを展開し、北京の公司が逆転し始めている。なんといっても原発庁と呼べる存在だし、軍事面も管轄している。2010年に広東の集団のトップが北京の公司のナンバー2となり、共産党の中心部に入りこむことになった。 一党独裁の国では、大会社の中心部にいる人物たちの動きを操縦するための、古典的なやり方であると言われる。

 このことが、フランスの中国戦略にも大きな影響を与えた。その上、ここ1,2年、フランス電力と広東の集団とは「秘密の合意文書」の暴露などでスキャンダル続きである。内容が内容である上に中国の閉鎖性もあって、結局何の合意なのかはっきりしないが、フランス電力のトップ、アンリ・プログリオは「フランスの技術を中国に売り渡している」「中国にこびすぎだ」と散々に非難されている。背景には、35基を新設予定の中国市場に多くの国が名乗りをあげ、競争が激化していることがある。

 これらの暴露は広東の集団を怒らせたと報道されるが、それでも英国の原発投資に広東と北京の両方を誘い込むのに成功したのは、中国の野心と、フランスの外交の巧みさと言わなければならないだろう。

 状況は英国も似ている。昨年2013年12月、原発に関する合意の後にキャメロン英首相は訪中した。中国への輸出を増やそうと、売り込みのために100人超の英企業幹部と同行したという。ファイナンシャル・タイムズ紙は首相に対し「これ以上ないほどに低姿勢で、英国人にとっては恥ずかしいほどだった」「ひどいこびへつらいだった」と酷評した。

 そして、当然英国のメディアは、自国の原発に中国資本が傘下することに不安をあらわにしている。ただ、自由市場を旗印とする金融大国だけあって「企業の透明性に不安がある」という言い方ではある。シティのど真ん中には中国銀行があり、真っ赤で大きな国旗が道沿いにひるがえっている。外国企業があまたある国際性に富んだシティの中で、このように国旗をかかげる所は他に見当たらない。存在を誇示しているかのようである。

 続く(2)推進派と反対派の戦い。そして英の奇妙な戦略
https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20190118-00111545/

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 引用以上

 2011年福島第一原発事故を見て、世界の原子力産業は原発に未来が存在しないことを思い知らされた。
 そして、英国などの原発事業から次々に撤退を始めた。それなのに、その事業継続権利を大喜びで買い占めたのが日立グループだったのだ。
 日本の原子力産業は、自民党政権の核武装への執念が支えてきたのだが、欧米は必ずしもそうではない。はるかに実利的に情勢を分析して未来を計算する。

 フクイチ事故のせいで、原発の安全コストは三倍に膨れ上がったといわれる。世界中の原発産業は、「1000万年に一度しかメルトダウン事故が起きない」というホラ話に対し、スリーマイル・チェルノブイリ・フクイチと、実は10年に一度メルトダウン事故が起きる現実を冷静に見つめた。
 だが、中西宏明ら日立首脳陣は、原発推進のための与太話を信じたまま、現実を直視することができなかった。
 まだまだ、原発で途方もない金儲けができるという妄想から抜け出せなかったのだ。

 かくして、日立は愚かで軽薄な経営判断、見通しによって、表向き3000億円、実質1兆円を超えるほどの巨大損失を被った。原発が斜陽産業であることさえ理解できないほど、稚拙で無能な経営陣が、自分たちの退職金のため、次々に会社資産を売り飛ばしてゆく。
https://shikiho.jp/news/0/424895

私は、東芝・三菱・日立という、いわば日本の代表的ブランドであり、産業のランドマーク、ビッグネームが次々に自滅崩壊してゆく姿をみて、この原因は何だろうと考えると、結局、軽薄な学歴競争が人を劣化させたことと、人間の最終価値が金儲けであると決めつけた竹中平蔵=新自由主義による、「利他主義を見失った人々」が目先だけの金儲けに囚われて、遠く子供たちの未来のために何をしたらいいのかという視点を見失ったことが原因にちがいないと思う。

 彼らは、日立金属の持つ世界史的な価値さえ理解できないのだ。