リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

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北欧式トランスファーテクニックセミナー

2006年06月24日 | Weblog
 デンマークから小島ブンゴード孝子氏と、マリアンネ氏を招いて北欧式トランスファーテクニックの講習会が行われた。昨年の小海での講習会につづき今回は2回目。小海の老健では1年間の取り組みで積極的に利用されているようで今回はそれを全病院的にひろめる試み。各病棟や病院関係の施設からスタッフが集まった。
 デンマークでは労働衛生の問題から、15kg以上のものを持ち上げてはいけないそうで、介助の際に絶対に垂直移動は行わないのが原則。ちょっとした道具と頭を使った方法は利用者にも介助者にも楽であり、また自力、自助を促すのでトレーニング(リハビリ)にもなる。 
 まず頭を使い、利用者の障害と、利用できる能力を考慮してどこをどのように動かのが自然な動きか、どこを援助すればよいのかを考える。ここまでは普通の動作分析だが、使えるものは何でも使うのが北欧式。
 北欧でも、ここ15年くらいで急速に普及した方法で北欧のケアスタッフは皆、摩擦をとるシートと滑り止め、タオルなどを携帯しているそうな。ポジティブな摩擦は滑り止めマットを利用し、ネガティブな摩擦はらくらくシート(ヨット帆の生地を利用したツルツルスベスベの薄いシート)を体の下に差し込んでなくす。そして自然な動作を促す形で水平移動、電動ベッドも活用して重力も味方につける。また利用者自身の動きをうながすさまざまなテクニック。ちょっと傾けたり、触れられるだけでおもわず動いてしまう。どのようにするのかベストかを考えるのはまるでパズルや詰め将棋みたいで、スイスイ動かす様はまるで武道かダンスをみているよう、魔法のようですらあった。また少々時間はかかるが、リフターなどのマシーンも積極的に利用する。
 デンマークのケア施設では広く普及しているトランスァーや介助のテクニックだが、日本での普及はいまひとつ。それは道具を使わないやり方と比べるとお金と時間がかかってしまうということもあるようだ。らくらくシートは1枚4500円とやや高いのが難だが、労働災害で腰痛になるよりマシ。(同じような効果で安くできる方法はないか探し中。滑り止めはホームセンターの滑り止めシートでOK)また道具を使わないやり方と比べ14秒時間が多くかかかってしまうが、メリットを考えるとそのくらいの余裕はあってもいいのではないかと思った。(しかし、忙しい現場では、やはりエイヤっとやってしまいがちなのですね。これが。)
 もっと上手に、もっと楽にと、工夫しながら毎日使ってはじめてうまくいく方法で、やってみないとわからない楽しさ、快適さ。病院もマットを100枚購入し、各病棟に配布するなどやる気みたい。(それでもドクターヘリ約1回分、リフター買ってもドクターヘリ約1回分、セミナー依頼してもドクターヘリ約1回分)労働環境改善、意識改革のためならば惜しくはない。各職場にもどって伝達が期待されるこの方法、うちの病院、地域ではどのくらい普及するか楽しみです。っていうか普及させよう。

どうする診療録!

2006年06月24日 | Weblog
 当院では、経過の長い患者さんの外来の診療録に閉じこむ伝票類や、レポート、診断書等さまざまな書類のコピーが多く、とくにさまざまな処置や検査に同意書や問診表をとるようになってからは紙書類は増える一方で現場では整理に混乱を極めています。外来カルテも一患者一カルテにはなっているのですが、受診科ごとにカルテの記載の場所が別だったり、医師記録以外の書類は後ろに閉じこむことになっていたりで最新の情報、必要な情報がどこにあるのかがわかりません。(大学病院では各科ごとでカルテも診察券も別だったのでそれよりはマシですが。)カルテの整理や伝票張りも大変な手間です。すべての診療科の医師記録や検査結果を時系列にとじこんでいくことはできないものでしょうか?
 また入院カルテも、医師記録と指示、看護記録、その他のスタッフのカルテの記載部分が分かれているので使いづらいく他職種の記録を参照しづらいです。(大学病院ではカルテ自体もわかれていたのでそれよりはマシですが。)最近になって、科や疾患によってはクリニカルパスがつかわれるようになって情報共有がはかられるようにはなってきました。それを発展させてプログレスノートでは、1日1ページなどにして、全職種が書くような仕組みにはできないでしょうか?そのようにしている病院はあるのでしょうか?
 3年前にオーダリングシステムが導入されましたが、中途半端な電子化のためオーダ入力に加えカルテへの指示記載(あるいはシール張り、伝票張り)のため医師や看護師の業務量は確実に増えました。朝夕などは、ひとつしかないカルテの取り合いです。メッセンジャーがフィルム類や、伝票類、カルテをもって病院内を動き回っており、記載も遅れますし、必要なときに必要な情報が無く限られた情報で判断をせまられ危険です。カルテの所在を確認する電話や、情報共有が不十分なため些細なことの確認のために院内電話やPHSが常に鳴り響いています。
 シークエンシャルとランダムアクセス、他の職種の記載を診たいという欲求と自分でカルテを持っていたいという欲求。(情報共有)医療行為後すぐに記載したいという欲求などを同時にかなえるためにはは電子カルテの上手な利用しかないのでしょうが 既存の電子カルテソフトの多くはオーダリングやレセプトから発達したもので、情報共有や業務標準化、アウトカム評価のためのデーターベースとして利用するいう目的に使うには不安がのこります。RSSなどのWEB技術を利用した電子カルテシステムはできないものでしょうか?
 これらのことについて訴えていきたいのですが、院内には外来業務委員会、カルテ記載委員会、診療録管理委員会、クリニカルパス委員会、電子カルテ委員会などさまざまな委員会があるも、ルール作りのルールや、病院に組織としての意思決定のルール(これらはいわば憲法、議会のようなもの)が明確ではしていないために、どこにどのように訴えていけばいいのかわからず困っています。再構築(リストラクション)をすすめ、病院が組織として成熟していく必要をつねづね感じます。なんだか愚痴ばかりになってしまいましたが、すこしづつでも良い方向へ前進していかなくては。