リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

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リハ早期退院支援パス

2006年06月27日 | Weblog
  クリニカルパスというのをご存知でしょうか?たとえばこんなページで勉強してもらえばよいと思いますが、疾患ごと、目的ごとに必要な治療・検査やケアなどをタテ軸に、時間軸(日付)をヨコ軸に取って作った、診療スケジュール表で一連の流れを見える化したマネジメントツールのことです。医療の標準化、チーム医療推進、患者の治療への参加、等さまざまな効果があります。道路で言えば、下道を試行錯誤しながら行くのではなく、いわば高速道路に乗ったようなものです。疾患ごとに共通な部分は楽にそして確実に行ない、それ以外の部分(患者さんへのケアや精神面への配慮など)にもエネルギーを投入できます。また患者も、次にどのようなことをするか、どうなるのかの見通しが立ちますので不安がだいぶ軽減されます。期待したようにすすめば、パスにのったまま退院までいきますし、アクシデントが起こったり、予想外の経過となればバリアンスといって普通の方法にもどります。(一般道に下りるようなものです。)当院のパス利用率は38%とまだまだです。(松本のA病院は60%)検査や手術などは逐次パス化されるようになりましたが、コモンディジーズの脳卒中などがパス化されていないのもその理由のひとつでしょうしIT利用が遅れていることもその理由のひとつでしょう。

 いま、私たちは、このパスをつくっています。身体機能が低下し、支援が必要な状態で退院する人を対象としたパス(リハ早期退院支援パス(仮称)、Early Supported Discharge Path)です。おもに脳卒中発症後2週間以降の回復期の患者さん、あるいは高齢者術後等のディコンディショニングの患者用のものを想定しています。本日、リハビリテーション科、医療相談室、地域医療連繋室、地域ケア科、病棟のパス係、パス専任師長が集まって、初めての会議がありました。退院支援看護計画、リハのカンファレンスのあり方や、記録の方法についてもさまざまな意見が飛び交いました。リハの視点も入れて、ゴールやニーズの設定、予後予測、退院後の連携やサービスなども盛り込んだものができればと思います。現状ではリハやMSWの記載は別になっており、カンファレンスくらいでしか情報が共有されないという問題点があり、同じカルテでも別の部分に書かれたものはなかなか読まれない、また各職種がつくっているサマリー、プロフィールなどがほとんど同じ内容でお互いに写しあっている現状があり、これらの書式を一元化し共有化、整理するだけでも、みんなの仕事がだいぶ楽になるし、情報共有も進みます。またパスをつくり使うことで各職種の仕事の内容が理解され、チーム医療が推進されます。当院は在宅部門や老健などの福祉部門もあり、他施設との連携や、地域での生活を見据えたパスができればいいものができ、患者さんによい医療が提供できそうなそうな予感がします。パスだけでも便利ですが、パスは電子カルテと相性がいいものですから、できたらシステム科のスタッフにも一緒に参加してもらってよいものをつくりたいところです。