自動車整備業&車両販売業のCS経営をコンサルタントする TIO21ブログ

自動車整備業、車両販売業のCS経営のためのコンサルティング、現場改善指導、制度設計、社員教育、各種セミナー・講演

整備業の賃金制度のあるべき姿-3.職務給は業界にフィットするか

2011年11月02日 | 人事・労務全般



おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、整備業の賃金制度のあるべき姿ー3.職務給は業界にフィットするか、です。

バブル以降に注目されているのが「職務給=役割給」である。
職務給とは、担当する業務内容で処遇を決める制度で、人(能力)ではなく「仕事で金額が決まる」賃金制度である。

詳しくは、従業員それぞれが担当する「仕事の価値」を、そのポジションの重要度や仕事の難易度、
仕事の量や大きさなどをポイントで評価、あるいは等級に分類序列化して、
その仕事の賃金を決めるものだ。


単純に仕事ベースなので、勤続年数や過去の経歴、年齢、性別はほとんど関係ない。

例えば、メカニックの車検担当は〇〇万円、高難度整備担当は〇〇万円、フロントは〇〇万円などと
担当する仕事の内容によって賃金が決まる。

給与を決定する要素を、評価しにくい能力から、より評価しやすい「成果(アウトプット)」に
置き換えようというのが、成果賃金だ。

職務給は、担当する職務を通じた具体的な成果に基づき、給与を決定する制度であり、
成果賃金そのもと言える。

職務給は、仕事(役割)が変わらない限り賃金は上がらないし、下がらない。
習熟という考え方は基本的に馴染まないので、定期昇給は原則としてなし。

したがって、人件費が一定で、誰が見てもわかる賃金となる。とはいえ、仕事の出来・不出来があるので、
人事考課(査定)による格差を設ける事ができるが、原則単年度クリアーで積み上げはない。

職務給の弊害として、個人の職務成果にこだわるあまり、チームワークや後輩の育成が疎かになったり、
新しい仕事の開拓よりも、目先の成果の追求が重視されすぎるなどが指摘されている。

その他に、以下のデメリットも見受けられるようだ。
・職務評価が先行して賃金の大部分が決まり、個人の意欲や業績を賃金に反映しにくい
・賃金が変わらないために、仕事の改善や変化を嫌うようになる
・仕事が変わると賃金が変わるため、柔軟な人事配置を阻害するようになる
・仕事の縄張り意識を助長し、他の仕事と強調・連携しなくなる傾向がある
・定義してある職務以上の仕事をすることに対して後ろ向きになる

さて、職務給が整備業にフィットするかだが、マニュアルの不備やサービス業と言うことから
職能給、つまり年功を加味した職務給に変化させた制度が相応しいと考える。

整備技術は、経験がモノをいうケースも多々ある。また、接客においても積み重ねたお持て成し
技能は一夜にして習得できない。整備業には、職務給一本の賃金制度は、馴染まないと考える。

したがって、基本は職務給とし、持っている能力(技能)を評価の対象に加えた「職務能力給」を
検討することが必要だ。


株式会社ティオ
お問い合わせ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする