今日は、整備作業時間が劇的に改善された、の１回目です。
整備料金の価格競争や入庫頻度の減少などで、整備売上と利益の前年比アップが厳しい昨今、今まで以上に整備売上向上対策に力を入れていかなければならないが、時間もかかるし費用もかかる。
さしたる費用をかけないでも、利益を向上させる方法がある。それは、「コストダウン」だ。出ていく経費を切り詰めるというのは、コストカットであって、コストダウンは、効率を上げることで、生産コストを下げることだ。
整備作業の場合のコストダウンは、整備作業時間の短縮が本命である。工場経費である工場消耗品の縮減などのコストカットは、当然行わなければならないが、それと同時、いやいやそれ以上にコストダウンである整備作業時間の短縮は、永遠の課題である。
トヨタの改善に、工場内の作業では「一歩一秒一円」、事務作業では「一歩二秒一円」と言われいる。これは、作業場で一歩歩くと一秒かかり一円のロスが出るという意味で、改善の原点になっていて、作業や業務の時間短縮に懸命に努力しているのだ。
貴方の整備工場で、今現在の車検整備作業時間やオイル交換作業時間が常識なっていないだろうか？その常識は、非常識になっているはずだ。
そこで、着目してほしいのが整備作業のムダだ。中でも「一歩のムダ」である作業歩行に着目してほしい。
現在の整備作業時間が、合理化の末に行きついた時間と言えるだろうか？メカニックに言わせれば、これ以上作業時間の短縮は出来ないと、答えるに違いないが、ムダ歩行はビックリするほどあるのだ。
下図を見ていただきたい。ある整備工場で私の指導のもと整備作業時間短縮の改善時に行った「車検作業動線」を記録したものだ。普段通りに行ったものをアナログチックに記録した生データである。
これでは、メカニックも週末になれば疲労が蓄積して、作業スピードは上がらない。健康のため、わざと歩行を増やしているのなら文句のつけようがないが、そんなことはまずないはずだ。
すべての歩行がムダではないが、図の歩行で、工具やテスター、部品の取り置きは、ムダの最たるものだ。あるいは、４輪に何度も行き来をしていて、ムダ歩行が目につく。こうしたムダ歩行を一歩でも縮減できれば、１円のコストダウンになる。
貴社の整備作業時の歩行はいかがだろうか？整備作業のコストダウンは、作業時間の短縮である以上、この歩行のムダを発見し、メスを入れなければならない。
そのためにも、自社の歩行のムダを「見える化」する「動線分析」を行ってほしい。これが作業時間短縮、つまり効率的な整備作業を行うスタートになるからだ。
動線分析を行うには、動線を記入する者と、歩数を記録する者の二人で行うとよい。一人しか記録者がいない場合は、作業者に「万歩計」を持ってもらって、歩数を計測する。
整備作業者は、普段通りの作業を行ってもらう。こういう断りが無くても、メカニックは、体に染みついた作業の手順や歩行を無意識に行うので、心配はないと思うが、一応念のために、作業者に伝えておくとよい。
上記の図を、メカニックに見せたら「こんなに歩いているんすかー。チョーヤバイッス」って本人もびっくりしていた。本人は、先輩の作業方法や工場の作業伝統を、自然と身につけ何も疑いもなく、作業を行っている。
ここに、大きな間違いがあるのだ。先輩の作業、工場の習慣という伝統としての作業方法は、効率的に必ずしもベストなやり方ではない。
したがって、動線分析を行い、今までの悪弊をメカニックに知らしめ、認知させて、意識を180度変える必要がる。
続く。
株式会社ティオ
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