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コストを左右する整備作業と工具

2009年09月30日 | 生産・作業全般

おはようございます。株式会社ティオ、motown21の山本です。
今回は、整備作業における工具の標準化である。

整備作業に工具はつきものである。工具を上手に使ってこそ、プロ整備士と云える。だからと言って、工具をキャディーに満載するほど沢山持つ必要はない。

作業する目的に合わせて、必要な工具をチョイスし、その工具を判りやすく、使いやすくキャディーにセットすることで、整備作業を早く確実の行うことがプロ整備士である。

ところが、私が数多くの整備工場で経験するのは、下の写真のように工具をキャディーの収納スペースだけで足りずに、工具箱まで使って数多く工具を持ち、無造作に工具を収納し生産性を無視して、平気で整備作業を行っているメカニックが圧倒的に多い。



工具を満載したキャディー例


なぜこうしたことが平気で済まされているかといえば、「コスト」の意識がカケラもないからである。1秒でも早く作業を行うという意識が全く働いていない。その責任は、工場長であり経営者にある。

つまり、工場長や経営者にコスト意識がないのだ。「経費を無駄に使うな」ということは、云っているようだが、整備の場合のコストは、経費以上に「時間コスト」が重要なのだ。

基本的に標準作業時間を元に工賃を請求する。であれば、標準作業時間以下で整備作業を行へばコストダウンになる。作業時間コストを悪くさせている原因が「探す」「取り出す」「仕舞う」の3悪行為である。

工具を沢山搭載し、無造作に収納した状態で作業を行えば、3悪行為が多くなりムダな作業時間が発生する。
必要最小限の工具にすれば、3悪は限りなく小さくなり、整備時間を短縮することが期待できる。

そこで、提案だ。キャディーは小さな作業台兼工具展開台車と位置付け、搭載する工具を社内で統一してはどうだろうか。メカニック全員が同じ工具に統一すれば、工具による時間差はなくなるし、メカニックの本当の技術力が見られる。

その例が下の写真だ。これは、ある整備工場の車検担当メカニックの「車検専用工具」である。実にすっきりしたキャディーで、工具を探したり、取り出したり、仕舞う手間が全くない。これにより、作業が早く確実になり、工具の紛失もなくなるし、見た目もすっきりしているため一石3鳥の効果が得られる。


   必要工具だけを整えたキャディー


価格競争が激しさを増し、台当たり工賃単価が下がる現在、それをカバーするのは作業時間短縮によるコストダウンなのだ。
だからこそ、メカニックのわがままで工具を沢山持つことを放置せずに、コスト優先で工具の保有等の常識を打破していただきたい。

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2 コメント

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現場ではそうはいかない (禅師)
2013-01-23 17:09:45
確かに下の写真のキャディーを見れば、工具の数が少なくすっきりして見えるかもしれないが、基本的な車検、点検、検査には対応できても、たくさんの工具を必要とするさまざまは一般整備には対応できません。
工具を社内で統一し、全員が同じ工具を使用すればというのも実際は不可能。同じ車種でもグレードによって必要な工具は違うし、ディーラーだからと言って自銘だけではなく他銘の整備もする。手の大きい人もいれば小さい人もいる。
あの時ちょうどいい工具がなくて苦労したなという思いから、それに備えて工具を買い足します。
それをすべてカバーできる工具を全員が持つことは不可能。
工具の量が多くても、引きだしの中などにきれいに整頓されていればすぐに取り出せます。
どこに何がしまってあるかは、そのメカニックがちゃんとわかっています。貸してと言われたときに何段目のどのあたり!と答えられるものですよ。
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禅師様のコメントについて (ティオ 山本)
2013-01-27 22:56:31
禅師様
こんばんは。返信遅れました。申し訳ございません。
記事に対して、真剣なコメントをいただきありがとうございます。記事を書いている者として感謝いたします。

頂いたコメントは、現場経験者の貴重なご意見として、大いに参考にさせていただきます。

さて、工具の保有についてですが、多くの場合、個人工具的なものは「個人負担」で揃えていますね。その意味で、全ての車種に対応するだけの工具を一メカニックが揃えるには、費用的、スペース的限界がありますね。アメリカのように歩合給で能力で報酬が決まるような制度においては、個人商店的メカニックは、工具だけではなく、高額なテスターまで個人で用意しています。しかし、日本の雇用制度においては、プロとはいえ、揃えには限界があります。
したがって、最小限保有する工具を統一し、それ以外の工具は会社持ちの「共用工具」とすることによって、同じ工具をいくつも持つことを減らし、個人負担を軽減することです。

次に、作業を効率的に行うには、キャディーを身軽しにして、連れて歩きながら作業すると、取り置きのつどの「歩行歩数」がかなり減らせて、作業時間を短縮することと、疲労を減らすことができます。共用工具置き場に取り置きするほうが歩行歩数が多くなると、思われそうですが、作業前に必要な共用工具を揃えることで、ムダな、歩数を減らせます。

確かによく使う工具であれば、どこに格納しているか記憶しているでしょうが、さほど使わない工具までの記憶はいかがでしょうか。禅師様のような方もいらっしゃiいますが、多くのメカニックの場合、工具を散らかして収納し、常に「探し」なが作業を行っています。この探すことがムダです。工具が少なく、置く場所を明確にしていれば、こうしたムダを減らす、無くすことができます。

以上、今までの指導経験から効果があった事実と、私の考えを述べさせていただきました。

今後ともよろしくご愛読のほどよろしくお願いいたします。寒さ厳しい折、ご自愛ください。
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