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ホリデイ現役添乗員日記

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存亡の危機で見せた古代ギリシャの先見性

2011-05-21 10:10:46 | ホリちゃんその他
ホリちゃんです。 ゼロどころかマイナスからのスタートとなった東日本大震災そして原発事故後の日本です。今の日本は復興へ向けて国民が一つにまとまる良い機会です。すでに、自分にできることは何かを問い、続々行動に出ている民間人に比べて、この国の政治家の惨状は目を覆いたくなるものがあります。歴史は危機管理の宝庫ですから、我々は古代ギリシャ人からも、国家存亡の危機にどう立ち向かったか、どう乗り越えたかを学ぶことができるのです。

   

アテネの北にマラトンという古戦場があります。当時の戦死者を祀る塚があります。古代ギリシャの前に最大の仇敵として立ちはだかったのは東方の大国ペルシャです。「マラトンの戦い」でペルシャに勝利したとき、フェイディッピデースという俊足の伝令が、アテネまで42.195キロを走り通して大勝利を伝え、絶命したといういう記録があり、この美談がもとで、オリンピックのマラソン競技ができたのです。「マラソン」は、「マラトン」に由来します。

   

   

2004年アテネオリンピックのマラソン競技のスタートポイントはここでした。

さて、問題はその後です。ペルシャでは偉大なダリウス大王の跡継ぎである、息子のクセルクセスが王位を継いで、海陸双方の大軍を整え、満を持して再度攻め込むのは確実でした。そうなると、数の問題で圧倒的な戦力差があり、祖国ギリシャは再び、存亡の危機です。そうした非常事態には、その時代を乗り越える英雄が良く出ます。幕末・明治維新の日本に明日の日本を切り開く英雄が輩出したように。天才的戦略家のテミストクレスがアテネの指導者についたとき、ライバルで、覇権争いの相手だったスパルタはじめ、幾つもの周辺ポリス(都市国家)に団結を呼びかけ、対ペルシャ大同盟を完成させます。その上で、戦略要地としてピレウス港を開き、豊富な銀山からの利益を軍船建造にあてて、
「海戦に生きる道あり」の先見性に基づく政策を次々実行しました。テミストクレスの指導力と先見性は見事でしたが、それには源泉があったのです。

   

アテネの北方200Kmくらいに、デルフィがあります。ギリシャ神話のアポロンの聖地で有名です。多神教のギリシャでは、全能の神ゼウスをはじめ、数多くの神々が登場します。アポロンはとても守備範囲が広く、音楽や詩作などの文芸や医術の神という面もありましたが、何といってもアポロンの知名度を高めていたものは、未来への予知能力と予言そのものでした。

   

アポロン神殿で神官が仕切り、巫女を通じて得られるアポロンの神託を多くの国家や個人が生き方のよりどころとし、いやが上にもデルフィの名声は高まったのです。ヘロドトスやツキディデスといった有名な同時代の歴史家が著した著作でも明らかです。

   

アポロンの聖域(遺跡)は今、観光客で溢れていますが、昔は神秘的な聖地でした。

   

   

   

   

遺跡見学は登り坂を登りながら、アポロン神殿のある高台に近づいていきます。

   

実際に訪れてみると当時の神秘性を感じさせる独特の静けさがあります。

   

   

   

アポロンの神殿は、遺跡として柱と土台しか残っていませんが、「大地のへそ」とよばれる石の上で信託が行われていた現場です。

   

神殿の回りには、野外劇場があり、その上方にはスタディオン(競技場)があります。
テミストクレスが偉大とされるのは、「木の城によって闘え」というデルフィの神託を受けて、「軍船によって闘え」と解釈したのは卓越した先見性と情報分析力を備えていた彼だからこそできたことでしょう。結果は、議論百出して、収集つかなかったアテネの議員をまとめあげ、アポロンの神託を機に国の一致団結を実現させ、見事、サラミスの海戦に勝利して、ペルシャの大軍を追い払いギリシャを救ったのです。

   

遺跡の宝庫「デルフィ博物館」に行ってみると、アルカイック期の作品とされる「大地のへそ」の展示があります。

   

戦車競技の御者のブロンズ像などの傑作も見学できます。

   

デルフィも素晴らしいですが、デルフィ近郊に世界遺産の修道院があります。オシオス・ルカス修道院です。現存するビザンティン様式の建築として代表的なもので、11世紀の聖堂モザイクやイコンが残っていて貴重です。

   

   

ホリデイツアーでは、世界遺産を重視し、こうした人里離れた修道院も忘れずに訪れま。今も衰えることのない古代ギリシャの魅力に惹かれ、欧米人は大勢見学に行っています。日本人の皆さんも、西洋の源流を知る意味で、もっとギリシャに出かけて下さい。

   

   

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