道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

初夏の草二題

2018年05月22日 | 飼育・栽培
「ヘビイチゴ」が駐車場の隅で実を着けていた。黄緑色の複葉と匍匐茎の存在を知らずにいたのだが、転々と赤い実が太陽の光を受け光っているのを見て、ヘビイチゴと気づいた。
 
植物の和名には、その植物に失礼な名前がある。
その筆頭が「ヘビイチゴ」。ヘビから連想して毒もないのに「毒イチゴ」と嫌われている。「触ってはいけません!」と云われて育った人は多いだろう。食べても不味いらしいが、花も実も可愛いのに不当に嫌われてしまっている。
 
続いて「オオイヌノフグリ」。帰化植物で、英名に「バードアイ」という佳い名があるにも拘らず、日本に来たら、植物分類学の大先生に変な名前をつけられてしまった。
 
「ヘクソカズラ」はたしかに悪臭がある植物だが、ここまで執拗に名を貶めなくてもよいと思う。万葉の頃は「クソカズラ」と呼んでいたらしい。
窓越しに見る段子川の土手には「チガヤ」(万葉の頃はツバナと呼んだという)の穂が並び、風に靡いている。
 
「春過ぎて夏来にけらし・・・」と詠んだ古の歌人の心境を、「白妙」ならぬ「チガヤ」に触発されるのは、日常的に目にする風物すなわち生活環境の大きな隔たりによる。万葉貴族の見暮らした景観は、もはや想像するしかない。

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