憂国のZ旗

日本の優れた事を様々話したい。

「60年安保」夢見た秘密保護反対  防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 

2013-12-11 20:03:55 | 時評

【正論】
「60年安保」夢見た秘密保護反対 
防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 

2013.12.11 03:16 [正論]産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131211/plc13121103170003-n1.htm
 特定秘密保護法をめぐっては与野党間でも、政府・与党と言論機関の間でも複雑な攻防戦が展開された。「複雑な」という意味は、そのいずれでも明快な正面激突戦が見られなかった点にある。民主党の戦法は衆院と参院で違った。ブレなかったのは共産党と社民党ぐらいのもので、他の野党はふらついていた。共、社以外の諸野党には新法を全面否定することへの躊躇(ちゅうちょ)が働いていたからだろう。

否定派の横綱は朝日と毎日

 政府・与党と言論機関の攻防戦が複雑だったのはいささか意味が異なる。本稿はその面を扱う。

 主要言論機関たる新聞の場合、新法に対しては大別して肯定派と否定派がある。前者は産経と読売に代表される。が、両紙とも全面的賛成論ではなく8割肯定、2割留保といったところか。他方、否定派の横綱は朝日、毎日の両紙であり、その論調には迷いがない。全面的断罪派と呼ぶべきか。政府立法の発想そのものを正面から危険視する社説を何本も掲げた。両紙が新法案への全面的な反対姿勢を打ち出すや、すぐに私は半世紀以上も昔の60年安保騒動を思い出した。昔の夢よ、もう一度?

往時、岸信介首相がアイゼンハワー米政権と現行の日米安保条約を結ぶと、主要各紙の評価は一枚岩ではなかった。が、国会周辺での激しい抗議行動中に女子東大生の死亡事件が起きると、在京7紙(挙名順に産経、毎日、東京、読売、東京タイムズ、朝日、日経)が1960年6月17日、前代未聞の共同宣言「暴力を排し議会主義を守れ」を1面に同時掲載した。

 60年安保騒動は日米間条約が原因だったから、今回の国内立法と同列には論じられない。が、肝は国民の意識覚醒だ。ならば、往時並みの活発なプレスキャンペーンをやろう-。朝、毎の気負いを私はそういうものと読んだ。

激情に基づく判断は持続せず

 両紙は連日、有名人や識者を登場させて秘密保護法案反対を語らせた。朝日は11月30日付夕刊の大型連載企画「昭和史再訪」で53年前の「日米安保条約改定」を扱った。その書き出し。〈「秘密保護法、反対」と声を上げ、行進する人々。先日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂での特定秘密保護法案の反対集会後、約1万人が国会などへデモをした〉。この記事に添えられた大きな写真も53年前のものではない。なんと、「STOP! 秘密保護法」の写真だ。これでどうして53年前の回顧記事だといえるのか。

朝日や毎日に訊(たず)ねる。60年安保騒動の大衆エネルギーに今日、再びあやかりたいとの心情は分かるが、そのエネルギーが10年後、20年後にどうなったかを復習したことがあるのか。安保条約の一応の期限は70年であったが、期待(?)に反して反対運動は盛り上がらず、条約は自動延長された。

 以降、条約規定では締約国の一方が解消通告すれば1年後に条約は終了する。だが、誰が一体、そんな道を選ぶか。国民の圧倒的多数は今日、日米安保条約は無期限有効と思い込んではいまいか。

 激情に基づく判断は時の経過とともに変化する。私は日米安保反対だったことは全くないが、私より才能のある友人知人の中には反安保の闘士がわんさといて、国会前のデモを指導した。全員、激情の持ち主だった。そして数年にして「転向」した。苦しかっただろう。が、例外なく誠実だった。彼らは長文でも難解でもない安保条約を読まなかったと告白。巣鴨帰りの岸が憎くて反安保を叫んだと認めた。これは何を教えるか。

新法は一部留保付きで合格点

 新法の内容にいくばくかの留保を持つ私の判断を書く。〈この道はいつか来た道。おおそうだよ、戦前の治安維持法へ戻る道〉と言わんばかりの朝日や毎日は「事前決定論」に立つ。前途には戦前の治安維持法下そっくりの日本が待ち受けるとの診断だ。5年後、10年後、30年後に診断書を開けてみて大丈夫か。53年前に日米安保体制の不吉な将来を描いた論説の類(たぐい)を再読、再学習する必要はないが、今日の激情が持続するのか。

特定秘密保護法下のわが国が無病息災で暮らし続けるかどうかは分からない。長い歳月には多分、風邪や下痢を経験することもあろう。過般の国会審議で野党側から指摘されたように、国民の「知る権利」と法規定との間に避け難い軋轢(あつれき)が生まれ、法律違反を問われる国民や公務員が出る事態はゼロとはいえまい。新法下、美しい予定調和を望むべきではない。が、おおむね良好な健康状態が保たれるだろう。それが鍵だ。

 政治の世界、わけても他国との関係が絡む国際政治の世界では一点凝視に耽(ふけ)るのは危険だ。「知る権利」は優れて国内的価値だが、新法は軍事、外交、テロ、スパイ関連の情報など国境を越える領域での秘密保護という国際的価値に関わる。複数の価値間のバランスを図りつつ最適解を求めることが肝要だ。最適解とはある意味、職人芸みたいなもので、誤解を恐れずに言うと以心伝心的な性格がある。それを法制化するのは難事だが、新法はほぼ合格点である。(させ まさもり)



最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
心配なのは反対派のこと (ベッラ)
2013-12-12 12:33:50
内戦に近いような必死さを感じます。
マスコミも国会前の大騒音デモも。
中核派・革マル派など話してもわからない連中がいて、
国会議員を国会に入れないようにする、西田議員など
「身の危険を感じた」と言っています。
何度か見た風景です。長野の聖火リレーで「フリーチベット」と言ったら日本人が取り締まりを受けて警察は日本人を護らず。
また在特会には厳しいがテロ集団も入っている
「シバキ隊」のことはマスコミも含めて言わず、
似たパターンです。
今回は説明が不足していたといいますが、あの「暴動」のような集団を取り締まらなかった警察に疑問を持ちます。「集団ヒステリー」と石原慎太郎さんは言っていましたがピッタリです。
返信する
メデイアの動向 (憂国のZ旗)
2013-12-13 05:39:02
ベッラさん ようこそ

朝日新聞、毎日新聞を突き動かす衝動には反対です。
ネット諸氏の殆どは、中共の圧迫による状態を危機と感じている。

今回の反日メデイアの興味深いことは、後の祭りに精魂込める事です。
まるで、犯人は俺だとでも言うように。残照とでも言うのでしょうか。

既成メデイアが停滞し、その信奉者は団塊の世代が主部だと感じます。
新聞の購読層が同じ傾向を示します。

韓国が馬鹿だと言われた事で、週刊文春を最大の敵と認めています。
では、朝日、毎日は征服されたのでしょうか、それとも、ジャ-ナリズムとは
認められないのか。
時期を同じくして、殆どの週刊誌、月刊誌は韓国批判の大特集に励む。
TBSが韓国批判をした事は、放送事故とネットで揶揄されている。

返信する
次のステップ、実効性ある安全保障の確立 (憂国のZ旗)
2013-12-13 05:39:58
長野の聖火警備リレーは、支那人の行動を現実化した。
警察にも、外務省にも日本人の主権を守る官僚と無視する官僚とが
存在する事を意識する。

防空識別圏はアメリカ国務省と国防総省との違いを鮮明にする。
安倍晋三首相が東南アジアに訪問したことは大きな意味を持つ。

特定秘密保護法案は始まりです。
この大きな事象は次のステップを踏むと考えられます。
外務省は次の動画を発表しました。防衛省は装甲輸送車の増加。
総務省は通名禁止の通知を外国人住民基本台帳室長名で出した。
http://www.j-cast.com/2013/12/10191363.html

国の独立を守ることは、正義であり、国民意志の反映です。
瀕死に喘ぐメデイアには、一顧の余地も与えない。

防衛大綱と中期防衛計画の内容に関心が移る。
ここには、国の防衛の基本政策が記述される。

返信する

コメントを投稿