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誰が日本の広告を変えていくのか?【Yahoo!:ネット広告再考】

2008年05月10日 | 誰が日本の広告を変えていくのか
ネット広告って、基本的に、"希少性で価格維持をする"ビジネスモデルでは無いのはご存知の通り。
ネット広告は、必ず在庫を維持しながらでないと商売にならないというのは、明日も今日と同じPVが稼げるという保証が無いというwebサイトの特性から来るというのも、皆様ご存知の通りですね。
でもって、見通しの甘いサイトに引っかかった日にゃ"なんで想定PVの半分?"なんてトラブルに巻き込まれてしまいます。
逆に、旧来メディアから参入したどこかみたいに、値引き販売に走るとあっという間に在庫切れで、在庫は無いは予算にはいかない、と苦しんでいるのも私達は見ています。

新聞・ラジオ・テレビといった、広告スペースが有限なメディアの場合は、余ったら安くして叩き売る、といった "夕方の八百屋"的ビジネスモデルが成り立ちますが、上記のようにもともと"余った状態"で商売するのが当たり前ですから、"売れ残りを安く売る"という概念が希薄なように思います。件のメディアは旧メディアの広告販売モデルから抜け出てないという意味で特殊な例だと思います。
IT系の専門webメディアはとうに、値上げに走ってるし。Yahoo!も同様に徐々に値上げ方向に持っていってますね。

一方で、受けて側の状況をチェックしてみます。総務省の平成19年通信利用動向調査による、18年から19年にかけて、日本のインターネット利用者動向は
http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/...

国民全体でインターネット利用した事のある人は
8,754万人⇒ 57万人増⇒8,811万人 (0.65%増だっせ)

個人がインターネットを利用する際に使用する端末について
・携帯電話
7,086万人⇒207万人増⇒7,287万人 (2.9%増)

・PC
8,055万人⇒242万人減⇒7,813万人 (3.0%減でっせ)

と・・。PCやめて携帯でインターネット接続、、って人が増えてるじゃないか、と思えるようなデータが出ています。(ま、インターネット=メール という人も多いでしょうが。 )

で・・・

ああ、それみろ

VR-webreportでYahoo.co.jpのアクセス状況を調べました。
2007年3月と2008年3月の推定視聴ページ比較はなんと 108%(少なっ!)
で、目標売上って、聞くところによると、110%を下ることはない、ということですね。値下げなんかやってる余裕はないね。

そんなこんなで、Yahoo!JAPANは、単価値上げとネットワーク化ということで総売上を上げていこうという方向なのではないかと推測します。

ただし、今までの考察はバナー広告などのいわゆる"ディスプレー広告"の場合。
リスティング広告のこれからについては、まったく別の議論になるのだろうと思います。リスティング広告における広告の価格は市場の動向によって決定されることが基本ですからもとから定価というものが無いので、広告流通側(Adwords、Overture側)に価格統制力はほとんど無い(まったく無いとはいえませんが。)

希少性もなく、かといって既存メディアのビジネスモデルを基本としているディスプレイ広告の今後の動向も、これからの日本の広告が変わっていくときの大きなポイントになってくるように感じます。

中途半端な考察で失礼しました。

誰が日本の広告を変えていくのか?【家電販売店とアクトビラ】

2008年04月06日 | 誰が日本の広告を変えていくのか
インターネットにつながったテレビを利用してネットサービスを行う「アクトビラ」。

パソコンを使うのと同じように、さまざまな情報や動画をテレビで入手することができ、放送でのコマーシャルだけでなく、新たな広告配信メディアがテレビ受像機を通じて誕生する期待が高まっています。

そこでの前提となるのは、言うまでも無くテレビがインターネットにつながっていることです。

では、誰がテレビをインターネットにつなげるのでしょうか?

普通、テレビを購入したときには、その販売店がテレビの設置やアンテナの設置や接続をし、さらにテレビ側のチャンネル設定をして、リモコンの電源とチャンネルボタンを押せばテレビ放送を見れるようにしてくれます。通販とかディスカウントショップで買った場合標準でそのようなサービスをしてくれないこともあるかもしれませんが、その場合も有料でしてくれるのが一般的ですね。

そこで、いくつかの量販店のテレビ設置についてのページを調べてみました。

ジャパネットたかた「テレビの設置について」
http://www.japanet.co.jp/shopping/internet/inte04-10-recycle.html

ヨドバシカメラ「テレビのご注文から設置まで」
http://www.yodobashi.com/enjoy/more/customer/55595535.html

上新電機「アンテナ工事について」
http://joshinweb.jp/av/antenna.html

どちらのページを見ても、テレビとインターネットを接続する件についての記述が見当たりません。

そこで、メーカーのサイトを調べてみました。
Panasonicのお客様サポートのページ。
http://panasonic.jp/support/actvila/index.html
アクトビラを閲覧するためのサポート情報が載っています。

対応環境についてのページはこちらです。
http://panasonic.jp/support/actvila/infra/index.html

しかし、、

これらの情報を読み込んで、テレビをインターネットに接続する人ってどれほどいるのか、私にははなはだ疑問であります。

「そもそも、アクトビラって、家庭にブロードバンド環境がある人なんだから、一度はパソコンとインターネットをつなぐ経験があるはずだから、テレビをつなぐのもできるでしょう」

という発言もなかなか説得力があります。

でもしかし、

2011年に向けてのあと3年の間に3,000万台を越えるテレビ購入者がすべて当たり前のように、自分の力でテレビとインターネットをつなぐことをするとは到底考えられないのですが・・。

やっぱり、家電販売店が力をつけていくしかないように感じます。

家電販売店も日本の広告を変えていく1プレーヤーであると言えます。

誰が日本の広告を変えていくのか?【電子新聞がもたらすもの】

2008年03月23日 | 誰が日本の広告を変えていくのか
電子新聞は、日本における商用インターネット開始のころ1995年前後に大きく話題になり、また多くのメディアで実験をされていたものです。

その昔、ニューメディアなんて言葉があった時代に、Fax革命なんて言って、新聞が各家のFaxを通じて送られるなどという、夢が語られたこともありました。

今、Faxがある家庭は別に珍しくも無いのですが、新聞は相変わらず毎朝律儀に各家のポストに入れられています。それはそれで、ありがたいことです。

新聞の宅配は、早くから新聞業界では大きな課題になっていたらしく、電子新聞も新聞宅配に変わる配信方法として検討されていたことだと記憶しています。

このあたりのことは、naoto_minamoto氏のblog「電子新聞」に簡潔にかつ十分にまとめられています

最近になって、電子ペーパーが技術的な実用領域に近づいてきているようで、新聞で記事を読むようになって来ました。電子ペーパーは電子新聞を実現するのに適した形の一つだと思われます。究極は網膜に直接イメージを送り届けるHMDのようなものでしょうが

一方で、pdfとかeBookといった、既存の技術を使って、パソコンディスプレーや、大型テレビなどに、新聞のようなイメージを表示するという方法も現実的な電子新聞の実現方法だと思います。

表示するツール、いわゆるウィンドウの種類はどうあれ、現代に電子新聞を実現するとすれば、既存の紙による新聞と大きく変わる領域は広告だと思います。

ネットワーク経由で広告を配信することによって、可能になる広告手法はすでに、webサイトメディアでも可能になっている手法です。

年齢、性別、職業を対象にする「デモグラフィックターゲティング」
住居、職場、現在地を対象にする「ジオターゲティング」
メディア内のコンテンツ接触履歴を対象にする「行動ターゲティング」

そして、今開発されている、受けての社会的位置づけを対象にした「ソーシャルターゲティング」であります。

さて、あたらしい広告技法を実装した"電子新聞"が実現されたときに、新聞社の各部署"編集""販売""広告"にどのような変化が生じるのかをお金の流れをベースに考察してみました。

編集局

電子新聞になっても、そこに流れるコンテンツにかかるコストは変わるものではない。そもそも、新聞記事の元になる一次情報そのものには、コストはない(人殺しという情報そのものにはコストがあるわけでなく、それを取材し、文字化し、編集するプロセスに金銭的価値が発生する)。すでにコンピュータ技術によって、文書化、編集作業は過去にくらべて、遥かに効率化されているので、これからの電子新聞化によって、そのコストが変わるわけではない。


販売局

電子新聞化は新聞紙という物を移動させるという物流を変革する、というか無くす。新聞輸送業と販売店にとっては死活問題であるが、新聞社そのものにとっては、コスト減の方向に働く。また、物流は新聞社そのものが持っているわけではないので、コスト減は購読料減(読者)にすべて回しても問題がない。(印刷装置がなくなることで、いくらかの労務問題が起ころうが、はCTS化時に解決ずみ。)


広告局

広告配信の電子化によって、広告主にとって伝えたい人に伝えたい情報を届け、読者にとっても欲しい情報が手に入るという高効率な広告手法が実現できる。効率の良い広告ができることで、無駄なコストの削減が期待される。が、この削減されたコストは、そもそも広告主のものである(広告料は広告主がすべて負担している)。したがって、広告コスト減は広告主へ還元される。


ここでの考察のように、新聞というメディアが電子化することで広告そのもが必然的に変わっていくことが予想されます。はたして、新聞社が新聞紙を完全にすてて、電子的な機器をつかって新聞(のようなもの)を配信していくようになるかどうかはまったくわかりませんが、その一部でも変わることは、日本の広告を変えていく一つの要因になると思います。

同じように、テレビ局が家庭にあるテレビ受像機以外のツール、(代表的なものは携帯電話ですが)に配信先を変えていくことで、日本の広告が大きく変わっていくと考えられます。

雑誌については、すでに変わり始めていますので、日常的に見て行けばわかると思います。

すでに、新聞を読む人が減っている現状において、以上の議論も無意味なのかもしれませんけど・・・

誰が日本の広告を変えていくのか?【タカヒロ様コメントありがとうございます。】

2008年03月12日 | 誰が日本の広告を変えていくのか
"
コメントをいただいて
おいて、お返事が遅れました。

「企業と生活者のいい関係作り」との定義、なかなか重いですね。ネットメディアを中心に広告の発信元が自らメディアを持つことになり、広告を媒介する媒体社なり、広告流通をお手伝いする広告会社はますます変化を求められていくのでしょう。

「株価が広告ビジネスだ」などと、タカヒロ様がお思いとは決して思っておりません。

ただ、"ビジネス"の価値が、株価だけで評価されるという世界もあるわけで、(特にアメリカの時価総額主義には、辟易しますが。)株価と企業の発展期待値が密接に連動することは、改めて書くほどの事ではないと思います。

googleが株価に振られて、業務を変えていくような(やわな)会社ではないと思います。そして、次のビジネスの展開によっては、今のビジネスモデルへの評価軸ではない、別の評価軸で価値を認められていくのではないかと考えています。

広告の価値そのものも、変わっていくのだろうなぁ。

誰が日本の広告を変えていくのか?【広告の本質:広告の希少性】

2008年03月02日 | 誰が日本の広告を変えていくのか
写真はNationalブランドのコンセント


2008/02/25にCnetJAPANで株式会社オプト 代表取締役CEO 海老根智仁氏が「Googleの危うさと広告の本質」と題してオピニオンを発表した

それに対して、業界人間ベム氏(この方は某インターネットメディアレップの創始者の一人であり、現在某大手代理店系インタラクティブエージェンシーの社長である)と、medialogicタカヒロノリヒコ氏が噛み付いた。というのは不適切な言い方かもしれないが、私にはそう感じました。

海老根氏の文章はgoogleのビジネスを題材に広告の本質を述べられていますし、幾つかの話題が含まれるので、色々と議論があるだろうけど、私はベム氏の論点と同じ視線を持ちました。

海老根氏はオピニオンで下のように書かれてます。

「元来、広告というものは有限であり希少性があるからこそユーザーにとって価値があるのです。」

この一文における"ユーザー"が誰を指すのか、広告系bloggerの一人としての私は、かなり理解に苦しむところなのですが、ここでは、ベム氏の理解(広告の受け手)をとることとします。

ベム氏はこの文に対して下のように書かれています
「広告に希少価値があるからユーザーにとって価値があるのではなく、広告がユーザーにとって有益な情報になっているから価値があるのである。」

そして、タカヒロ氏はこのように(過激に?)書かれています
「過去に作られてきた「本質」だけにとらわれるなんてまったくもってインサイト無し。」

私も広告の希少性についてこちらの駄blogにエントリーがあります。
広告のクラッタリング、ないし広告クラッター

「少なくともテレビ放送においては、10%ルールがあり、それが実効性があるのかどうかは別にしても、少なくとも広告チャンスの希少性をベースに広告料金を維持するというビジネスモデルが成り立っています。」

ここで、広告の希少価値について改めて考えると、"希少"なのは、"広告そのもの"ではなく"広告を流す媒体(メディア)"のことです。
広告の受け手は、(あたりまえだけど)だれも広告を探しているわけでなく、ましてや"希少な広告"を見つけて喜んだりする人はほとんどいない。(除くネット広告業界で、広告掲載確認をしている人)。

タカヒロ氏が指摘している『過去に作られてきた「本質」』はまさにここにいう【広告メディアの希少性】という本質だと言えます。ただしこの希少性という"本質"も、実はテレビ媒体が広告業界に圧倒的な力を持ってからたかだか50年ほどの"過去"のものであるということであり、それはメディア爆発の現代においてほとんど幻になりつつあるのだという認識をタカヒロ氏は指摘しているのだと理解します。

したがって、希少性を価値ありと考えるユーザーは広告主であっても、受け手でないことは間違いないことです。ですから、海老根氏のおっしゃることは、私には理解できないことであります。

しか~~~~し、ヒガシ。

だからといってタカヒロ氏のように"インサイト無し"と言い切っても良いものでしょうか?

ここにきてgoogleの株価が冴えない。

japan.internet.com の記事によりますと
「オンライン調査会社 comScore が発表した最新の市場分析結果によれば、Google が掲載したクリック課金 (PPC) 型広告が、1月に米国内で得たクリック回数は5億3200万回で、前年同期と比べて0.3%減少したという。」
そして、このニュースの影響でgoogleの株価が下落しているといいます。

クリック数の増減が(googleが望むと望まざるとによらず)業績評価の指標になっている google が安定的に事業を伸ばしていく(株価を上昇していく)ためには、googleがクリック課金モデルから脱却して、次のモデルにならないといけないと思います。

では、クリックの先、すなわちコンバージョン課金モデルになるというのでしょうか?
それは、広告を通じて広告主の商品売り上げにコミットすることであり、ひいては、その企業の業績そのもの、ビジネスモデルの成否に対してコミットしていく(左右される)ということでもあります。

それができないのであれば、

クリック課金モデルから、単に、表示課金(CPM)モデルになることしか取るべき道は無く(他にあるのかもしれませんが)、事実googleは"サイトターゲット(CPMモデル)"に力を入れているふしがあります。
サイトターゲットは広告媒体向けには"アドマーケットプレイス"と表記している通り、単に広告スペースの流通業でしかなくなる、ということです。

それこそは、極めてレガシーな広告モデルである"希少性"をベースとした広告事業になる危険性をはらんでいます。なぜなら、多くのメディアは希少性広告モデルを基本としたレガシーメディアであり、それは早々変わらないからです。

希少性をベースにしない広告モデルを作り上げた企業が次の広告業界を作り上げていくのだろうな、と思います。

そう考えると近田智昌氏のblogエントリーにある。

「そもそも広告の本質って、「広く伝える」ことだという認識です。」

という言葉を、広告業界にいる者は心を白くして、傾聴すべきだと思いますが、、、、いかがでしょうか?