サイバイブ・ザ・リアル:オーバルリンク公開セミナー

2007年03月21日 | 人生はマーケティングもある。


私たちがいま置かれている状況は、豊かさを目指してきたはずにもかかわらず、決して理想に近づいたものとは言えません。むしろ、多分に息苦しい、というのが本音かもしれません。

本来のあるべき姿を忘れて、ひたすらに手法と手段のスピードが増すことで明るいかのように見える未来は、必ずしもすべての人々にとっての「明るさ」ではないのです。

「フラット化した社会」とは、ある種のグローバルな合理性によって導かれる世界、とも言えます。それは、私たちのそれぞれの気持ちの在りようまでを保証するものではないのです。

スピードとフラットがもたらす競争戦略を背景にした「いまの社会」に、いくつもの本末転倒な事象が読み取れます。そして、その本末転倒に否応なく巻き込まれる私たちが存在します。

さらに加速するであろう社会全体の価値の変容に対し、私たちは、どう対峙していくべきなのでしょう? 

『サバイブ・ザ・リアル』とは、その社会で生きていくための一つの問いかけです。




情報のテクノロジーとメディアの変貌を追い続けるビジネス・コミュニティ・ネットワーク『オーバルリンク』が、セミナーとライブパフォーマンスを融合した新しいかたちの公開イベントを展開します。

セミナーと、ワインテイストとそして、ロックオペラ。(ナンじゃそりゃ?)

ネットでつながった、リアルな大人たちの、まじめな遊び方と学び方をぜひ体感して欲しい。

サブタイトルは~生きのびるためのメディアリテラシーを解く~

詳細はこちら→ orecon.JP

Second Life 対応PCグレードアップ作戦 その4/4:マウスルックモード

2007年03月18日 | 小説:人生はコーヒールンバだな
さて、グラフィックボートをつけたPCでのSecond Life は、どれほど動きが変わるのだろうか。

動画をこちらに上げたので、ダウンロードをして見ていただきたい。

ただし、今回のグラフィックカード増設で、Second Lifeの動画キャプチャーはできなくなり、ディスプレイをビデオカメラで直接撮っているので一部お見苦しい点はあるのはご容赦いただきたい。オブジェクトのレンダリングが遅いため(多分GPU等の能力不足と思われる)建物が順々に立ち上がっているように見えるものの、全体の動きそのものは実にスムーズになっている。

結果的には、普通に地面を歩くスピードなら、本当にリアルに街を歩いているのと同等の感覚を持つことができる。空を飛ぶのも、陸からの距離に気をつければ自由自在に飛び回ることができる。

ところで、Second Life の基本的な歩き方は下の通りである。

  • 前進 「↑」または「W」
  • 後退 「↓」または「S」
  • 左回転 「←」または「A」
  • 右回転 「→」または「D」
  • 左に平行移動 「Shift」+「←」または「A」
  • 右に平行移動 「Shift」+「→」または「D」

    ただし、ローマ字キーは、IMやチャット起動時はアルファベットキーは使えない。

    そして、画面表示モードにカメラモードとマウスルックモードの二つがある。この二つのモードと歩き方について、簡単に説明してみる。

    【カメラモード】

    このモードの場合、上記のキーボードによる移動方法をとる。また、メニューの[ビュー]→[移動制御]で「移動パレット」(tama命名)を表示させるとマウスだけで移動することができる。「移動パレット」の青い上向き矢印をマウスの左ボタンで押し続けて、マウスを左右に動かせば、アバターが右に左に方向を変えて、歩くことができる。「飛ぶ」モードの時も同じように動くことができる。



    【マウスルックモード】

    チャットを切っているときにはキーボードの[M]を押す、または、チャットモードの時にはマウスホイールで自分のアバターを最大表示からさらに大きくすると自分の姿が消えてマウスルックモードになる。
    このモードではマウスボタンを押さずに左右に動かすだけで視点を左右上下に変えることができる。
    ブラウザ画面センターの小さな四角いマーカーが視点の中心で、矢印キーやWSADキーを押せば歩くことができる。

    ビデオカードを増設して、格段に描画速度が速くなった環境下では、カメラモードでは動きのコントロールが難しくいわゆる「3D酔い」が起こる。これは、マウスまたはキー操作という「片手」だけで、アバターと視野の二つの関係を常に調整しなければならにことから起こるのではないかと推察する。
    マウスルックモードだと、視点を右手(マウス)、動きを左手(キー)に振り分けて行うことになり、さらにその対象が視野だけになるので、気分的には楽になる。1で2をコントロールするより、2で1をコントロールする方が楽なのではないか、少なくとも私はそう感じている。

    ヘッドマウンテドディスプレイとヘドホンをつかって、Second Lifeに入っていったら、今のPC環境でも相当な没入感があると思う。ちょっとやってみたいかも

    現在のSecond Lifeは、残念ながら、他人とのコミュニケーションはキーボードを通じてのチャットしかないので、リアル世界とはかなり遠いものになっているが、音声チャットができる環境ができると、かなりリアルに近い感覚になるのではないだろうか。残るは触感だけど、コントローラーから触感を感じられるPS3のHomeの世界はそのあたりがどうなっているのか興味がある。

    Second Lifeの次は、すでのすぐそこに来ていると感じられた今回の体験であった。

  • Second Life 対応PCグレードアップ作戦 その3/4:Video Card:メモリ

    2007年03月11日 | 小説:人生はコーヒールンバだな
    なお、お話は小説風にしているが、ここで行われているパソコンのアップグレードは現実に存在するものの話である。


    兵庫県警特殊科学捜査部附属分析推進室研究室の内線電話がプルプルと鳴る。

    電話に出たのはこの部屋の主、鳴門佐助だ。今日も糊の効いた白衣を着ている。この兵庫県警でもこれほどに白衣の似合う男はいない。

    電話の主は にむだ
    「もしもし、ナルさん、すみません。今先日教えていただいた部品が届きました。で、どうやったらいいものかとお聞きしたいんで、電話しました。お忙しいところ恐縮であります。」
    電話口で敬礼をしても相手には見えない。

    鳴門は少しゆっくり目の語調で答える。

    「メモリは箱をあけて空いているスロットに挿すだけです。今どきはそんなに苦労しないはずです。メモリボードを挿すところの切れ目の位置にご注意してください。マザーボードに同じ形のメモリー基盤が刺さっていますからその横の開いたスロットですよ。」

    「ビデオカードは3本のPCIのどこに挿してもよいですが、放熱とケーブル接続を考えて上の方がいいでしょう。これは、本体裏面そばの基盤にスロットがあるはずです。」

    「メモリはとくに操作をする必要なく認識され自動的に動くはずです。ビデオも気にしなければOSまで起動してから操作をしてよいのですが、BIOSでビデオカードの優先をPCIに変更する必要がある場合もあります。これはBIOSの作りによるのでJ3022の説明書に記載があればそれに従ってください。普通は内蔵とビデオカードの両方を動かすこともできるのでモニタをビデオカード側につないで電源オンで画面はでるはずです。起動後は解像度が最低かXGAくらいになっているので、ビデオドライバをダウンロードして再起動してからディスプレイに合せて解像度の設定をしてください。
    XPの場合はモニタの自動検出でアジャストされる場合もあります。」

    「ビデオカードは、開発会社のサイトにいってダウンロードするようです。どちらも枯れたドライバが公開されているでしょう。 え、なに?ATI社のドライバCDが同梱されてるって?じゃあ、とりあえずそのドライバをインストールしてみてください。」

    にむは、すこし興奮したように答える。

    「はっ!了解しました。私、今日まで色々本を読み漁りましたので、それらを参考にやってみます。」

    --------作業の概要--------
    それぞれの作業で、本体サイドパネルをはずすときは必ず、電源コードを本体から抜いて、電源から完全にはずすことが大切である。

    [メモリの増設]
    eMchineの本体サイドパネルを取り外すと正面奥にマザーボードが見える。
    マザーボードの上の方に見える大きなファンの右奥に、メモリースロットがあるので、少し差し込みにくいが、メモリーボードの上下をよく確認して、カチッと差し込む。

    メモリを増設したら、認識されているかPCを起動して、コントロールパネル>システム>全般 でメモリー要領を確認する。496MB RAMと表示されている。


    [video cardの取り付け]
    PCIスロットのカバーの手前のネジをねじ回しで緩めて取る。video cardをスロットに差込み、先ほどはずしたネジでボード全体を固定する。

    Video Card を差し込んだところ

    ディスプレイを本体のソケットに挿したままパソコンを立ち上げる。
    いつものようにデスクトップが表示されたら、アイコンのないところでマウス右クリック>画面のプロパティ>設定 でディスプレイの絵が二つ表示されているのを確認。薄く表示されているディスプレイ[2]をクリックして、下に表示されている「Windowsデスクトップをこのモニタ上で移動できるようにする(E)」の左にあるチェックボックスにチェックを入れるとvideo cardから映像信号が出るようになる。

    パソコンを立ち上げたまま、ディスプレイコネクタをvideo cardのソケットに差し替えて、表示が出ていることを確認。とりあえず、Video Board が動いていることが確認できる。

    ただ、表示が出るだけで、スタートボタンとか、ゴミ箱なんかは表示されていない、マウスポインタすら表示されない。

    ディスプレイを本体側ソケットに挿しなおして、再起動。最初の画面が黒いときにすばやくBIOS Settingのために F2キーを押す。

    Adviced>Cideo Configrationでリターン Primary Video Adapterでリターン上下キーで現在AGP になっているのを PCIに変更してリターン。そのままパソコンを起動する。

    さて、これで、ディスプレイはVideo Board経由に変更された。
    --------作業の概要終り--------

    やれやれ、と小躍りする気持ちでにむはSecond Lifeのソフトを立ち上げてみた。

    しか~しひがし、下のような表示が出て、ソフトは立ち上がらない。

    にむは、中国語は流暢だが、英語は不得意である。また、鳴門に電話する。

    「あ、それは、ビデオドライバが入っていないからでしょうね。さっき電話でおっしゃってたCDからビデオドライバをインストールしてみてください。」
    とあっさりと答えられたので、再びにむはパソコンに向かう。


    [ビデオドライバのインストール]
    これは、簡単だ。Video Board に付いてきたATIのドライバCDをドライブに入れて、ソフトを起動するだけで、ドライバはインストールされる。ただし、途中でインターネット接続をするので、回線は維持したまま作業をする。
    ドライバをインストールして再びパソコンを再起動。


    どきどきしながら、Second Lifeを立ち上げる・・・果たして表示スピードは上がるのだろうか?
    にむはどうなる・・。

    さいごにつづく。


    今回購入したVideo Cardの主な仕様
    玄人志向 RD925-LP128C RADEON9250
  • ATI製RADEON 9250搭載
  • コアクロック:240MHz/メモリクロック:400MHz
  • DirectX 8.1、およびOpenGLをサポート
  • 128MB DDRのビデオメモリ搭載(バス幅64bit)
  • RGB出力、DVI出力、TV-OUT出力機能付
  • LowProfile PCIおよび標準PCI対応
    玄人志向サイトの商品ページ
    http://kuroutoshikou.com/modules/display/?iid=21

  • Second Life 対応PCグレードアップ作戦 その2/4:Video Card:メモリ

    2007年03月11日 | 小説:人生はコーヒールンバだな
    さて、物語は兵庫県警特殊科学捜査部附属分析推進室で続いている。ここの室長は、鳴戸佐助という徳島生まれの秀才である。徳島にある国立大学の医学部で脳神経内の信号伝達機構を研究し、コンピュータメーカにおいて、相互探索自己増殖型ネットワークの研究を進める。脳神経情報工学博士。


    なお、お話は小説風にしているが、ここで行われているパソコンのアップグレードは現実にやってみた話である。

    「さて、今使っているパソコンのスペックについてお聞きしましょう。」
    鳴門佐助は、にむに質問する。

    にむは答える
    「はい、今使っているマシンがeMachines社のJ3022というもので、CPUがセレロンD 3.20G、ディスプレイアダプタにIntel82865Gというのが入っています。メモリは買ってきたときの256MBのまま使っています。OSはWindows-XP SR2で本体価格が税込みで49,800円でした。西宮の上新電機で買ってきたんですわ。これ、ポイント5%ついて、実際は4万8000円しないんです。もちろんポイントカードは私個人のもので、ちょっとお徳。」

    「おい、おまえ署の備品買うのいつも上新電機やと思ってたら、自分のカードにポイントためてるんか。それ、業務上横領ちゃうか?」
    とゾルが突っ込む。

    「ま、それは、また別の話っちゅうことで・・。」にむは話をそらす。

    鳴門佐助は、パソコンを開いてTSUKUMO電機のwebサイトを開ける。

    「あ、これですね。J3022、買ってきたままつかってるんですか、では、今回のグレードにかかわる部分だけ書き出すと、こんなとこですね。」



    イーマシーンズ J3022 基本スペック

    OS ※1

    Windows(R) XP Home Edition Service Pack 2 セキュリティ強化機能搭載

    CPU

    Intel(R) Celeron(R) D プロセッサ 350 (動作周波数 3.20GHz)

    2次キャッシュ

    256KB (CPU内蔵)

    チップセット

    Intel(R) 865GV チップセット

    メインメモリ

    PC2700 DDR-SDRAM 256MB (最大2GB) メモリスロット×2 (空き×1) ※2

    グラフィックシステム

    Intel(R) エクストリームグラフィックス2 (Intel(R) 865GV内蔵)

    ビデオメモリ

    最大64MB (メインメモリと共用) ※3

    ネットワーク

    RJ-45コネクタ×1 (Intel PRO 10/100 LAN)

    インターフェース

    USB2.0ポート×7 (前面×2、背面×4、メディアリーダー×1)

    シリアルポート×1、パラレルポート×1、PS/2ポート×2 (キーボード×1、マウス×1)、 モデムコネクタ (RJ-11)×1、ディスプレイ出力×1、 オーディオ入出力 (前面:マイク入力×1、ヘッドホン出力×1、 背面:マイク入力×1、スピーカー (ヘッドホン)出力×1、ライン入力×1)

    拡張スロット

    PCIスロット×3 (空き×2)

    イーマシーンズ J3022基本スペック



    「さてと、では、Second Lifeへ行ってみましょう。システム用件は、ここですね。ビデオカードがnVidia GeForce2(32M)以上、ATI Radeon 8500(32M)以上とあります。グラフィックスボードで販売されているものとしては、最新バリバリでもないですね、2~3世代前のグラフィックス環境です。OSはXP Homeでも大丈夫でしょうが、メモリとグラフィックボードの追加が必要なようですね。」

    「ただ、にむさんの使ってるパソコンの、内蔵チップセットのビデオはシステム用件にあるビデオカードに比べれば、性能が1/5程度で、さらにメモリはメインメモリとシェアしているため性能がでません。3D画像のようなのでSecond Lifeにはちょっと辛いようです。」

    「J3022はCPUは問題ないし、OSも大丈夫。LANなど基本部分は問題ないと思いますのでやはり、メモリの増設(せめて512MBに)、そして、ビデオカード増設が対策です。まず、メモリスロットが1つ残っていますので、旧式になりますが、PC2700 DDR-SDRAM 256MBを1本増設するといいでしょう。ツクモのネット通販で調べると5,000円ですね。」

    「ツクモのホームからPCパーツ>メモリ>Windowsデスクトップ>DDRDIMMと入って商品表示をさせてeMachines Gateway デスクトップPC用増設メモリ 256MBというものをクリック。対応機種にJ3022が入っていますのでクロックはさらに早いPC3200ですが動くはずです。TSUKUMOはeMchineの正規ディーラーですから、この辺は安心です。」

    「さて、次に、ビデオカードの方ですがJ3022は内蔵インタフェースがPCIのみなので、カードの選択肢は絞られます。
    といってもまだ売っていますし、旧式のカードでも十分効果がでるはずです。」

    「同じくツクモのネット通販で見ると、ホーム>PCパーツ>ボード類>ビデオカード>PCIで見ると結構あります。価格の欄をクリックして安い順に見ていくと、バルク品になりますが、
  • 玄人志向 RD925-LP128C RADEON9250 6980円。
  • 玄人志向 GFX5200-P128C GeForseFX5200 7800円
    などがありますね。」

    「私は、どちらも一度使ったような気がします。インストールは添付の、質素な箱にあるドライバか、玄人志向のサイトからのダウンロードすればよいと思いますが。ちなみに、"玄人志向"って、バッファローの、玄人向けブランドなんですね、ここだけの話。ま、wikipediaにも載ってるから秘密でもないですが。はは・・。」

    「そうそう、Yahoo!オークションでちょっと調べてみましょう。」

    鳴門佐助はブックマークからYahoo!オークションに接続。なれた手つきでメモリとビデオカードの現在相場を調べる。

    「ビデオカードを5000円前後で、メモリを4000円前後で、探せそうです。ビデオカードさっきTSUKUMOで調べた型番で検索。メモリの方は、PC2700とかDDR333とかで検索。512MBで保証のないものが4000円ちょっとくらいでみつかりますね。あくまでも保証なし、でも動かないってことはないと思いますが、少し安くするのはこの辺りの方法で。にむさんは、Yahoo!IDもってらっしゃいますか?」

    「いえ、私はそのようなものは持ち合わせていません。っつ~か、オークションってやったことないんですよねえ。

    鳴門佐助は答える

    「あぁ、そうですか。じゃあTSUKUMOの通販で買ったらいいですね、予算内でいけそうだし。第一オークションじゃあ経費処理できませんし、TSUKUもなら領収書出るんでいいですね。」

    「問題は効果ですが、メモリ増設は何にしても効果がでます。XPは一応、512Mが基本環境、1Gが快適環境なので、今のままでは、厳しい状態です。ビデオカードも今のメモリ量をシェアして内蔵チップセットで動かしているのに比べれば体感的に2倍は速く見えると思いますよ。 」

    にむは立ち上がり、

    「わかりました、では、早速部署にもどって、購入の手続きを取ります。本日はありがとうございました。」

    鳴門佐助は、Yahoo!オークションの画面を見たまま答える。

    「到着して、やってみてうまくいかないときはまたご連絡ください。」


    またつづく

  • Second Life 対応PCグレードアップ作戦 その1/4:Video Card:メモリ

    2007年03月10日 | 小説:人生はコーヒールンバだな
    ここは、兵庫県警察本部の高層ビル7階の捜査3部第2課。

    「にむ」こと本名振旗忍三郎と「鷹の目のゾル」こと本名素留木四郎(ぞる きしろう)警部補の働く事務所である。(この二人については人生はコーヒールンバだな Ⅴをご参照いただきたい。)

    にむは机の上に置いたデスクトップパソコンのディスプレイに向かって、さきほどからなにやらマウスをクリクリしている。

    「おまえ、またエロサイト見とるんやろ。どれ、わしにも見せんかい。」
    外回りから帰ってきたゾル警部補が声をかける。

    「だいたいお前、捜査の一環やとかいいながら、まっ昼間からmixiの書き込みしたり、DXなんちゃらいうアダルトチャットのねぇちゃんの股開きなんか見ててええんかいな。たまには Nikkei Netくらい見んかい。」

    「えぇ~、今日はまじめなもん見てますよぉ。」

    と にむが応える。

    「これね、Second Lifeといいますねん。いや、セカンドライフ言うても、団塊世代向けの定年後情報サイトではありません。Second Life(セカンドライフ)って、米・サンフランシスコに本社を置く、 リンデンラボ( Linden Lab )社が運営するバーチャル世界のことです。ユーザーがアバターと呼ばれる自分の分身を、ネットワーク上に構成された3D CGの中に参加させて、リアルとは別の人生がおくれるから第二の人生、セカンドライフ、っちゅうわけですわ。」

    「なんや、オンラインゲームかいな。そんなん、警察の仕事と関係ないやないか。どっちかというとJASRACあたりのマターやな。そんなことせんと、もっとこう、役立つことをでけへんか?」

    というゾルの言葉を にむはきっぱりとさえぎる。

    「甘い!コスモポリタンのチョコより甘い!あ、そういえばコスモポリタンって、去年廃業してたんですねえ。バレンタインデーのチョコプレゼント発祥の店だったのに、残念やなぁ・・」

    「あ、話がそれました。甘いチョコレートの話でなく、ゾルさんの認識の甘さの話でした。この、セカンドライフのすごいところは、ここで使われるリンデンドルという通貨とアメリカの本当のドルが双方向に兌換だということなんです。セカンドライフのwebサイトにほれ、ここにこう書かれています。

  • リンデン ドルの収入を現実の現金に、またその逆に現金からリンデン ドルに交換する
  • 稼いだお金をインワールド プロジェクト、あるいは現実世界の非営利団体や組織に寄付する
  • Second Life であげた成果で、すべてまたは部分的な現実世界の生計を立てる

    「リアルマネーとバーチャルマネーの兌換はマネーロンダリングの温床になるんじゃないかと、本官は踏んでおります。したがって、こうやってセカンドライフの研究をしているわけですねん。」

    「ほお、なんか面白そうやんか。」とめずらしくゾルは身を乗り出してディスプレイを覗き込む。

    「しかしですねえ、どうもうまくないんです。うまいこと歩けないですわ。」
    とにむ

    「ほんまやなぁ、なんか動きがぎこちないなあ。あ、どないなったん?動かんようになったし」

    「あっ。またフリーズしてもた。しゃあないなあ、また再起動や。今日は朝からもう10回目でっせ。」

    ゾルはタバコに火をつけて、にむを見下す。
    「おまえ、ほんまに仕事してないな・・。たく。」

    にむは、ポンとひざを叩く

    「そやそや、こんなときこそナルさんに助けてもらおう。」

    にむがナルさんと読んだのは、元兵庫県警特殊科学捜査部附属分析センターのセンター長、現在は兵庫県警特殊科学捜査部附属分析推進室室長の鳴戸佐助氏のことである。この件は人生はコーヒールンバだな 12をご参照いただきたい。

    さっそくにむは鳴門佐助氏の事務所を訪ねる。

    「こんちわぁ。ナルさんお久しぶりです、最近どんな研究されてますノン?」

    今日も自分の所属するネットコミュニティーの掲示板に書き込みをしていた彼は、ちょっとドキッとしながらも平静を装い応える。

    「あ、にむさん、部屋に入るときはノックしてくださいよ。そうですねえ、最近 私は仮想化について研究してます。え、いや金を貸そうかとか、そういう意味でなく、犯罪の仮想化といったことですね。いま携帯電話に限らずいろんなものがデジタル化されてネットにつながっている。ま、人生がデジタル空間で仮想化されているとも言えますね。当然犯罪も仮想化されてくるというわけで、そんなところを研究しています。で、今日は何の用事ですか」

    にむは姿勢を正して話す。

    「はい、パソコンのことです。最近Second Lifeっていう、いわゆるなんちゅうんですか、三次元空間ソフトをつかってるんですが、これが、うまく動かないんです。いろいろ本なんか読んで研究したんですが、メモリを増やすのと、グラフィックボードを追加するのがよさそうなんですが、そんなん買ったことないしどうしたらいいものやらと相談に来たわけですよ。」

    「あぁ、セカンドライフですね。私は見たことないけど、三次元空間を歩き回るやつですね。基本的にオンラインゲームと一緒でしょう。たぶん にむさんの考えてることは正しいと思います。」

    「はっ!そうですか、じゃあどんなものを買ったらいいのでしょうか?ちなみに、予算は1万5千円までです。年度末で経費がほとんど残っていません。」

    ナルは苦笑しながら答える。

    「そうですか、、じゃあ今使っているパソコンからお聞きしましょう」

    こうして、にむのSecond Life対応作戦は始まったのである。 つづく。