本当の鱧:和歌山県海南市:芳月のはも その2

2008年06月28日 | 人生は食である。
さて、前回の続きであります。

和歌山県は海南市下津町戸坂(とさか)にございます、料理店「芳月(よしづき)」でいただいた”本当の鱧”レポート第2弾です。

「美味しい料理」に絶対的に必要なのは、「美味しい酒」ですね。
ここ、和歌山県海南市で代表的な地酒ブランドは、「黒牛」と「長久」です。


芳月さんでは、どちらも冷酒にてご提供いただけます。
黒牛は名手酒造さん、長久は中野BCさんが造られています。

黒牛はどちらかというとまったりとして包み込むようなお味。長久はスキッっとしたお味であります。
料理の味をお酒で洗うといった飲み方をするのであれば、長久の方がいいかも知れません。逆に料理に"当てて"お酒と料理を口の中で戦わせてそれを楽しむという楽しみ方なら黒牛のほうがいいかもしれません。って、両方ともいただいたということですが。

あ、酒素人の私の舌の感想ですから、ほんとは違うのかも。



さて、続いて出てまいりましたのは お吸い物 です。

はい、鱧のお吸い物です。湯引きにされた身と、素麺にした身。こちらも鱧の二面性を味わう一品であります。



つづいて出てまいりましたのが照り焼きでございます。



鱧といえば照り焼きですね。これぞ定番。どこでも食えるじゃん。と思ったそこのあなた!

「まだまだ若いな」

ふかふかの鱧の照り焼きって、私は始めて食べましたね。
炭焼きで焼いたカリッとしたこげの香ばしさにつづく歯ざわりが、とってもふかふかで口の中で溶けてしまうようです。
どのような処理をしたのかよくわかりませんが、多分骨きりを丁寧にすることによってこんな舌触りができるのではないかと推測します。



つづいて天ぷらです。ここで、再びふっかふっかな鱧を味わうことができます。
そうかそうか、、こんなにやわらかい鱧が食べられるんだ、と照り焼きとは別の視点から味わうことができます。



さて、料理も後半に入ってまいりまして、さっぱりと酢の物が出てまいりました。

鱧の刺身のタタいたのが、出汁の効いた酢のなかに静かにたたずんでいます。

ま、魚はすべて刺身で喰うべし、とは言わないですが、生で食するのはとりあえずその魚そのものを味わえます。そして、火を通して食すると料理人の手腕とともに魚のコクというものを味わうことができますね。

で、刺身の酢の物は、最小限の加工を施している、生でもなく、火を入れるでもなしの料理なのです。いわば素材の美味しさと、板前さんの技術を極めて高いレベルで純粋に味わうことができるのです。

今回いただいたコースはどれもこれも、びっくりの美味しい一品ばかりなのですが、実はこの酢の物がその中で最高のものだと私は感じました。
絶品中の絶品とでもいえましょうか。



さて、コースの山場を華やかに演出しますのが、鱧しゃぶ。

薄作りの身を"しゃぶっ"とやって味わい、グラスの冷酒をチョロっと口に含んで楽しむ。鱧しゃぶこそ酒飲みにはたまらない、至極の時間であります。

しかし、ここでも芳月の主人は「おどろき」を見せてくれます。

鍋の写真をごらんいただくと、まず見えますのが、豆腐ですね。しいたけも見えます。で、骨のようなものも見て取れると思います。

これがなんと、鱧のアラでございます。

仲居さん(実はこのおばさんが実に鱧に似た方なのですが)が「頭の後ろ辺りで実は鱧のなかでは一番美味しところなんですね。」と、さらっとおっしゃります。

今日このお店に来てから、旨い旨いといただいてきた鱧は本当の鱧ではなかった!

それは、ちょっと大げさですが、骨のままにすすると、ほどよくアブラが乗った身とコラーゲン質の舌触り。確かに味わったことの無い鱧をいただくことができるのです。

さーて、先ほどの鱧仲居さんが「ご飯の用意させていただいてよいですか?」
と聞いてきました。
私は「もうおなか一杯ですから、ご飯は無しでいいですか?」と答えます。
しかし、「少しだけですから、どうぞおあがりください。」
とおっしゃるのでいただくことにしました。



鱧茶漬け

お茶と、ご飯と、鱧のてりやき。 もう口の中がメリーゴーラウンドです。

ごめんなさい、ご飯いらないなんていって。このコースでこの鱧茶漬けで〆ないとそれは、罰当たりというものです。






さて、書いてまいりましたとおり、こちら 芳月 さんは本当の鱧をいただくことができます。

それは、単に美味しく料理された新鮮な鱧をいただけるというだけでなく、一皿一皿を通じて、「本当の鱧ってこんなに美味しいんですよ」という、店主からのあふれるメッセージを楽しめるということでもあります。

人生はメッセージを通じたインタラクションがその質を決めていく、とすれば、こちら芳月さんでいただいた料理は、間違いなく私の人生を高めてくれたのだと、ありがたく感じています。

本当の鱧 食べにいらっしゃいませんか?


芳月 (魚介料理・海鮮料理 / 加茂郷)★★★★★ 5.0


テロ:G8外相会合

2008年06月27日 | 人生はメンタルだよな
いつのまにか、テロという言葉が普通に使われるようになったこの日本。

写真は、昨日今日と京都市で行われたG8主要国外相会談に連動して、封印された京阪電車淀屋橋のゴミ箱です。

なんか、不毛に感じるのは私だけでしょうか?

テロの定義はいろいろあるようですが、wikipediaによれば

「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で多数の人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊する行為」

といった意味づけがあるようです。

ま、一つのエクスキューズ(テロ活動に対して注意していますから、皆さんも注意しましょう)ではあると思うのですが、どうにも、そらぞらしいものを見てしまったと、ちょっと暗くなった週末でありました。

涼しめの今年の梅雨ですが、ご健康に気をつけてお過ごしください。

【緊急告知】OVALLINK.tv「第1弾 「何故 パーソナルメディアか?」

2008年06月26日 | 人生はマーケティングもある。
■放談クノコス星人

第1弾 「何故 パーソナルメディアか?」

みんなの机の上にパソコンを…という見はてぬ夢は、ラップトップさらにはモバイルギアへと次々に塗り替えられ、もはや迷走状態となる。

それゆえ指針を失い増殖進化するコンピューティングの環境が、広告も出るという触媒を得て、人をメディア的な世界へと連れ出すのだ。逆にそれは、閉塞した状況を切り開く道具となり得るのか あるいは、いたずらに混迷を増幅する単なる発信器なのか?

by クノキ+koss+バンドル星人

(くぅのミニコーナーもあるよ)


2008年6月26日(木)
20:30~21:30
http://www.ovallink.jp/tv/

本当の鱧:和歌山県海南市:芳月のはも

2008年06月22日 | 人生は食である。
関西は鱧(はも)の季節を迎えています。

でも、本当の鱧を食べたことはありますか?
このたびご紹介します和歌山県は海南市下津町戸坂(とさか)にございます、料理店「芳月(よしづき)」で本当のはもをいただきました。

お店の情報については、食べログをご覧ください。webサイトから、店主の言葉をいくつか紹介いたしたいのですが、「芳月のページに掲載しているすべての写真と文章の転用を禁止いたします。」と宣言されていますので、遠慮させていただきます。

さて、いただいたお料理をすべて写真に撮ってきましたので、私の感想とともに上げます。



まず出てまいりましたのが、鱧の子でございます。お箸の取って舌に乗せますとパラパラと口いっぱいに広がります。
でも、この小鉢の楽しみ方は添えられた、右上の茶色と物体と、左上の半透明の物体であります。
茶色の物体は鱧の肝、そして、左上の物体はな~~~んと”鱧の浮き袋”です。

「魚の浮き袋」食べたことある人、手を上げて!

これがまた、プリっとした食感で、鱧づくしコースのオープニングを飾るにはぴったりの”おどろき”の一品でございます。



つづいて、出てまいりましたのが、定番の”湯引き”と、こちらも珍しい”刺身”でございます。

鱧の湯引きはもう、ちょっとした和食店なら、この時代どこに行っても食べられるようになっています。これをユビキタス、というのですが、コホン・・・それはそれ。

右にある刺身は、そんじょそこらで食べられるものではありませんね。芳月さんではたたきで出てまいりました。ほんのりとピンク色が色っぽく、ガラスのお皿にこんもりと盛られています。

↓拡大!


こちらの写真を見て、”ん?”と思われた方。そうです! イカです。まさに、旬のアオリイカの刺身が添えられています。イカの こりこり した歯ざわりと、ねっとりとした鱧のたたき、もうお口の中はどっぷりと 鱧ワールド 炸裂なのです。



料理店で美味しい料理をいただくのは、単に新鮮なもの、とか、絶妙の味付けに感動する、といっただけではありませんね。芳月の店主は刺身のおろしわさびの台に人参を切った鯛を用意してくれていました。「舌と目で味わう」それこそが食の楽しみであります。



ここで、会席料理の定番の寿司がさらっと出てきます。しかし、ここにも店主の”仕込み”があります。手前にありますのが、先ほどのたたきを使ったにぎり寿司です。
「なるほどねぇ、にぎり寿司はやっぱ生だよねえ、これも珍しいなあ」と既に生鱧に慣れ始めている私の感性に刺激を与えたのが、奥にあります正統派の鱧の箱寿司です。

よく食べている味と、めったに食べられない味を一皿に載せることで、さらに珍味が際立って、つぎに出てくる皿への期待が高まるのです。

以上、四皿の報告です。まだまだ続く鱧コースワンダーランド。本日はこれにて。

その2につづく