「善徳女王」第25話で自決を図ろうとするアルチョンをトンマンが止める場面があるが、「なぜアルチョンが自決しなければならなかったのか」という疑問を持った人が(もしかしたら)いるかもしれない。まあ、「善徳女王」を第1話から観ている人にとってはすごく自然な流れであるわけなのだが。
化粧を施したアルチョンが郎徒(ナンド)たちを引き連れて宮殿に入り、真平王に直訴する場面がある。これはつまりナンジャンキョリ(郎粧決意)ということだ。詳しくは第1話からマヤ夫人の説明を引用しておこう。
お前はナンジャン(郎粧)を知らぬのか
ファラン(花郎)が顔に化粧をすることをナンジャンと言う
ナンジャンキョリ(郎粧決意)を知らぬか
死を覚悟するという意味だ
戦に出る前日や大義のため戦うとき
ファランたちは化粧をする
戦って死ぬ決意だ
己の最後の姿を美しく残すために・・・
本来、ファランの一人に過ぎないアルチョンが王に直訴するなどということは許されざることなわけである。 しかし、唯一それを可能にする方法がナンジャンキョリ(郎粧決意)なのだ。死を覚悟するのと引き換えに、アルチョンはチョンミョン王女の死をキチンと調べてくれと真平王に訴えたわけだ。命懸けの行動だったのである。
しかし、結局それは受け入れられなかった。となればアルチョンは死ぬしかないわけである。そうでなくとも、もともと規律に厳格なアルチョンのことだ。ナンジャンキョリ(郎粧決意)が受け入れられないまま生きていくことは恥さらし意外の何ものでもない。
それでも耐えろと、トンマンは諭したわけだ。
というのは、この物語が参考にしたという歴史書『花郎世紀』ですが、
http://japanese.joins.com/article/article.html?aid=116603&servcode=100§code=120
>1989年、日本宮内省の図書館に保管されていた『花郎世記』の原文を筆写したという資料が登場した。
なんとどう考えても偽書です。
それとドラマの中で、ミシルがグラスをたたいているシーンがありますが、あのグラス、あの時代にあったのでしょうか。
衣装、室内装飾、鎧、全てがおかしい気がします。
現代人の目で、「こんなんだったらいいな」というように時代を作り変えたような。
女性のドレス、天蓋レースつきのベッド。華奢な家具。
まるで、ロココ時代のフランスのような。
そしてそれに比べて実際のものである「天文台」の無骨で素朴なこと。
全てが嘘くさいので、純粋にドラマとして楽しむだけです。