竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

おぼろ夜の鬼ともなれずやぶれ壺 加藤楸邨

2020-04-12 | 今日の季語


おぼろ夜の鬼ともなれずやぶれ壺 加藤楸邨

「やぶれ壺」が分からないとどうのも困る
私は由来も時代考察も不明の古壺として鑑賞した
そこはかとない物憂い春の宵
部屋の隅(床の間でもよい)にこの壺がある
何か言いたげに思えてきた
この壺は骨壺だったのかもしれない
まだ往生していないのだ
(小林たけし)



【朧】 おぼろ
◇「朧夜」(おぼろよ) ◇「草朧」 ◇「鐘朧」 ◇「影朧」 ◇「家朧」 ◇「谷朧」 ◇「橋朧」 ◇「庭朧」 ◇「灯朧」(ひおぼろ) ◇「朧めく」
春は大気中に水分が多いので、物の姿が朦朧とかすんで見える。朧は霞の夜の現象である。ほのかなさま。薄く曇るさま。

例句 作者

おぼろ夜のかたまりとしてものおもふ 加藤楸邨
おぼろ夜の潮騒つくるものぞこれ 水原秋櫻子
おぼろ夜の霊のごとくに薄着して 能村登四郎

おぼろ夜や旅先ではく男下駄 あざ蓉子
朧夜のどの椅子からも子が消える 松下けん
朧夜のむんずと高む翌檜 飯田龍太
朧夜の船団北を指して消ゆ 飯田龍太
朧夜や久女を読みて目を病みぬ 久保田慶子
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