竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

果てたるも折れるをしらず曼珠沙華 流伴

2017-09-30 | 
果てたるも折れるをしらず曼珠沙華



曼殊沙華は毎年同じ場所に同じ形で咲いている
その季節から彼岸花とも呼ばれている

葉をつけず細い茎をスックと伸ばし
大きく花弁を開いて
空に何かを訴えているような形だ

雨に打たれて果てることも多いが
その茎の折れるのを見ることは少ない

望み半ばの無念を訴えているようだ
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鰐口のはきだしている秋気かな  流伴

2017-09-29 | 
鰐口のはきだしている秋気かな



朝のウオーキングのコースに
小さな神社がある
朝露を踏みながら短い参道を進んで
参拝をする
秋の爽やかさが満ちていて
思わず深呼吸してしまう
鰐口を鳴らすとその音も軽やかで気持ちが良い
鰐口が秋気を吐き出しているようだ

原句
爽涼に鰐口三度響かせる

鰐口の措辞の理由がない
掲句には鰐口でなければならない景があると思われるのだが
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精霊飛蝗億年経たる進化形 流伴

2017-09-28 | 
精霊飛蝗億年経たる進化形



蝗をとる姿をひおんど見かけない
転居間もない頃はご近所からおすそ分けをよく頂いた
最近はスーパーで珍味として販売されているものを求めたりしている
郷愁を交えた味わいは
この季節には捨てがたい

飛蝗の起源は古い
人を生物の究極の進化とみるのが多数派だが
どっこい飛蝗のたくさんの能力は
人を遥かに凌駕している

原句
群れ鰯この究極の進化形
精霊飛蝗擬態や動作はあらゆる敵を欺いて鋭い
生命の長いことが優れた物差しでないとすれば
飛蝗は進化の究極容と思えてくる
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残り蚊に存分の血を吸わせをり

2017-09-27 | 
残る蚊に存分の血を吸わせをり



あの忌まわしい蚊も
秋も袴ると哀れである
羽音も弱く、飛び方もゆるやかで
肌に止まるというよりは落ちる感じだ

この蚊の最後の晩餐だ
吸えるだけ吸ってくれ


原句
残る蚊に今生限りの血を与ふ

今生限りが説明になっている
同じ句意だが情景が映るか
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求むるは折れない心木守柿

2017-09-26 | 
求むるは折れない心木守柿




70年の来し方には
山谷、風雪、出会い、別離
歓喜、絶望
たくさんの事柄があった

自然が季節を移ろうように
人生もまた春夏秋冬
そして生老病死のことわりでなりたっている

心さへ折れなければ必ず新しい芽吹きがある
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能舞台色なき風の舞いにけり

2017-09-25 | 鬼城鑑賞
能舞台色なき風の舞いにけり





足利のある割烹料理店には
古びた石段を上ると能舞台がある
句会で利用したおりに
笹の葉の戦ぎの音に
突然と現れて息を呑むほどに驚いた

原句
一笙の秋の初風いざなえる
無人の能舞台
笙の音が聞こえる風情だったのだが
ちょっと無理だった
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日だまりに来し方の染み柿落葉  流伴

2017-09-24 | 
日だまりに来し方あらわ柿落葉



落葉は樹種によって序列のあるように規則正しい
桜に始まり銀杏、柿などは最後になる
落葉は冬の季語だが
桜落葉は晩秋の季語のように扱われる

柿落葉の染みは裏にも表にもあって無傷なものをみることはない
人の一生のように生き抜いた風雪を物語っている
人もまた皺や染みを顔や肌にあらわしている

陽だまりに落ちる落葉は老人の好きな日だまりだろうか


原句
生きざまの隠すことなし柿落葉
生きざまは生々しすぎる
隠すことなし も直接的表現すぎる
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七七日忌明けのもやに竜の玉  流伴

2017-09-23 | 
七七日忌明けのもやに竜の玉



妻が弟の四十九日に実家へ行った
朝の日差しにけぶる
庭先には竜の玉

明けたるは朝と忌明けを通じさせるしかけだが


原句
暁闇やたしかに吐息濃竜胆
四十九日の具体的な設定をした
竜胆は竜の玉に変わるのは必然だった
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駒下駄の音軽やかに秋簾 流伴

2017-09-22 | 
駒下駄の音軽やかに秋簾




暑い日差しを防いでいた簾も
この季節になるとまた別の趣がある

簾越しに映る景は澄んでいて爽やかだ
仰げば高い空はあくまでも青い

簾ごしに
ときおり聞こえる昼の虫も良い

京の小路には素足に駒下駄の芸妓が
小気味よい音を響かせる
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師をおくるバリトンサックス月の雨 流伴

2017-09-21 | 
師をおくるバリトンサックス月の雨




俳句の手ほどきをしてくださったTT師がなくなって、おう3年
先日の偲ぶ会では
俳友の一人がバリトンサックスの演奏をした
彼の演奏会には師は必ず顔を覗かせていたという

おりからあいにくの雨だったが
月がおぼろにけぶっていて
素敵な会だった
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もの欲しき人にまつわる秋思うかな  流伴

2017-09-20 | 
もの欲しき人にまつわる秋思うかな



いつまでも煩悩に囚われていると
愁思は離れない

煩悩の凡そは五欲が起因している

老いてくると五欲が薄れてくる
仏の導きかもしれない


五欲とは
仏教用語。5つの感覚器官に対する5つの対象,
すなわち形体のある物質 (色) ,
音声 (声) ,
香り (香) ,
味,
触れてわかるもの (触) をいう。
これらは,欲望を引起す原因となるので五欲という。
また,財欲,色欲,食欲,名誉欲,睡眠欲を五欲という場合もある。
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長屋門風になびかぬ猫じゃらし 流伴

2017-09-19 | 
長屋門風になびかぬ猫じゃらし





朝散歩は気分屋転校によって道筋を変える
今朝は久方ぶりに刈田になった畦道を抜けて北へ向かった
難題もつづく大きな農家がある
立派な長屋門が健在だ
この門の開放されたのを見たことは無い
長屋門の脇に小さな扉から家人は出入りするのだろう

長屋門の前には猫じゃらしが密生していた
頑固に父祖伝来の農家を死守している主を想像する

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さかずきに女の揺るる今年酒 流伴

2017-09-18 | 
さかずきの女の揺るる今年酒




新酒は今年酒とも言って
新米を醸造したものだったが
現在はほとんどが寒造りのようだ

新酒には格別の味わいで
一人良し、また友良しである
遊び心を囃すような杯もご愛敬だ


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末枯れや尖ったままでは生きられぬ 流伴

2017-09-17 | 
末枯れや尖ったままでは生きられぬ



旺盛な生命力を誇示していた夏草も
晩秋になると冬支度の様相をみせる
彼て尖った刃先のような葉も萎えて色を変える
決して果てるのではなく冬の用意なのだ

尖るのも丸くなるのも生きる術と知る
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晩節の始めは知れず桐一葉 流伴

2017-09-16 | 
晩節の始めは知れず桐一葉




晩節は人生の終わりのころ、晩年を総称するものだが
その始点は定かではない
老年がそのまま晩年でもない
寿命も長くなってくると晩節は途方もなく長いものになる
私の晩節はいつから始まったのだろう
そしていつまで続くのだろう
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