竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

歩き足りない青梅雨の石畳

2016-06-30 | 入選句
歩き足りない青梅雨の石畳



石畳の道はほとんどが旧くて趣がそれぞれに異なっている

長崎、神戸。横浜など異国情緒のある坂道によく似合う

スペインやローマでは1000年も前の道路を

手入れしているところを見たことがある

石畳には薄っぺらな現代の世相のとうてい及ばない先人の新年を感じる



そんな道に青梅雨がそろえばいくら歩いても飽きるはずはない


入選 2016/6/27 下野新聞 中田亮選
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夏怒涛少年の目になっている

2016-06-29 | 
夏怒涛少年の目になっている



男はどんなに年を重ねても
夏の怒涛をめにすると体中の血が活性する
少年の時代のたくさんの体験が生き返る
その目はいつだって少年のかがやきを失わない
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祭足袋蹠はみせず阿呆連

2016-06-24 | 
祭足袋蹠はみせず阿呆連




誘われて徳島の阿波尾踊りを堪能したのは15年もの以前だ

連衆がつぎからつぎへと切れ間なくつづく

通りの両脇には何弾もに設えた見物席

男連も女連も恍惚として踊り舞う

真っ白な足袋

足裏をみせるような下手はひとりもいなかった
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身のたけの自足のしるし秋簾

2016-06-23 | 

身のたけの自足のしるし秋簾



晩節の日常は季節に追われる

季節ごとのしつらえもある

夏の簾を終い忘れるのは毎年のことだ

何年かに一度買い替えるが

今年はがまんして節約しよう

身の丈にあった暮らし向きが続く

過不足のないこれが自足かも知れぬ
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訪客は塒迷いか青大将

2016-06-22 | 

訪客は塒迷いか青大将



40年まえから住んでいる自宅だが
毎年蛇に遭遇する
春先には「蛇の衣」も見かけることも珍しくない
玄関の日陰になっているタイルに大きな青大将が
長く横たわっていた
この暑さで体を冷やしていたのか
それとも老齢で塒に迷ったか
しばらくして除くとその姿は消えていた
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ひとしきりさくら紅葉に風おどる

2016-06-21 | 
ひとしきりさくら紅葉に風おどる




晩夏には早いが我が家のさくらは紅葉気味である

紅葉にはさくらがどの樹木よりも早い

春先の威勢の良い咲きぶり そして散りっぷり

せっかちに季節を追いかける

やはり「さくらは漢」だな
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腕組んで動かぬ庭師雲の峰

2016-06-20 | 
腕組んで動かぬ庭師雲の峰



炎天下の庭師は大変な仕事だ
脚立や梯子に上る前に
段取りをして道具を用意する
腕組みをして植木を眺めていると
せっせと仕事してもらいたいと思ったりもするが
腕組みも仕事の時間なのだと怒られそうだ
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心太貧しかりきの透きとおる

2016-06-19 | 
心太貧しかりきの透きとおる




心太をデパートの甘味店など楽しむ
周囲には若い娘さんの甲高い声が行き交う
それぞれが思い思いに期限がよろしい
みている私も楽しくなってくる

心太をいただいた記憶は少年時代
日本中が戦後の混乱期で貧しかった
だが記憶の中には惨めさや飢餓感は微塵もない
時間の経過はすべてを癒す
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蓮一花乾いたおとに鯉沈む

2016-06-18 | 
蓮一花乾いたおとに鯉沈む



蓮の花の開く音はいつも乾いて聞こえる
ひとつ鳴ると彼方此方で音がする
驚いた鯉があわてるように水に沈む


不忍池で時間を忘れて眺めていた記憶はいつだったか
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あとさきの分別なくて凌霄花

2016-06-17 | 
あとさきの分別なくて凌霄花



凌霄花の花言葉は
「栄光」「名声」「名誉」「光栄」「華のある人生」「豊富な愛情」
「名誉な女性」「愛らしい」「女性らしい」

思い切り咲いて散ったあとの散らかりようは目をみはる
花言葉は見事に咲いた絶頂への賛美だが
あとさきを考えない分別のない身勝手さを感じてならない

人も絶頂期には足下は見えないものろ教わる
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風を着て風を迎へに宿浴衣

2016-06-16 | 
風を着て風を迎へに宿浴衣



宿の浴衣はみな少し短めだ

普段では許せないしつらえも温泉地では人格が変わる

所作振る舞いは年齢を平らにしてみんな風のように自由になる

風を着てもっと刺激的な風を迎えに歩き出す
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ほうたるのゐのちをつくす一夜かな

2016-06-13 | 
ほうたるのゐのちをつくす一夜かな



知人にほたるの卵を採取して
自宅で越冬させ孵化させて川に返す人がいる
毎日何度か様子を見に行って家人に報告
水底の幼虫が小さな光をみせたりするという
これを「水ほたる」というらしい
その蛍が見事に光を放つのは一夜限りだそうだ
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月光に芯まであらわ朴の花

2016-06-12 | 
月光に芯まであらわ朴の花




朴の花と泰山木の区別がいまひとつ納得できていない

真っ白な大きな花が毎年咲くのだが

山法師と同様に高いところに空を向いているので

正面から眺める機会はなかなか無い

月光にさらされて

おしげもなくその見事な花芯を開いていることだろう
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つぎつぎに風とあらはる舟料理

2016-06-11 | 
つぎつぎに風とあらはる舟料理






最近は隅田川での納涼船はたいそうな賑わいだそうだ

横浜港のナイトクルーズも人気がある




江戸時代から日本人は舟で涼気を味わうことに親しんでいた

風がお料理を運んでくる

風流とはこうしたものだろう
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薄紙に包まれし枇杷貴種となるり

2016-06-10 | 
薄紙に包まれし枇杷貴種となり




枇杷の実はどこの家の庭にも珍しいものではなく

成長が早くて油断するとすぐに虫が喰う

大きな種でみてくれの立派さに失望するほど食べられ倍

最近は薄紙に包まれて育てられ

貴種の扱いとなっている

手をかけて大切に育てられても枇杷の木は迷惑そうだ


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