竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

ひたひたと春の潮うつ鳥居かな 河東碧梧桐

2019-03-23 | 碧梧桐鑑賞


ひたひたと春の潮うつ鳥居かな 河東碧梧桐

壁悟桐にはめずらしいと思える句
有季定形の写生、客観的は俳句だ
「ひたひたと」も平易な措辞
安芸の宮島の大鳥居を連想したのは
私ばかりではあるまい(小林たけし)


【春の潮】 はるのしお(・・シホ)
◇「春潮」
春になると潮の色は藍色が淡くなり、明るく澄んでくる。干満の差が大きくなり、干潮時にはひろびろと干潟を残して落ちてゆく。

例句 作者
水哭くや弥生十日の大潮に 戸恒東人
春潮の底とどろきの淋しさよ 松本たかし
春潮を観る黒髪を身に絡み 石原八束
春潮に指をぬらして人弔う 橋本多佳子
春潮の入水に叶ふ色といふ 吉田汀史
春潮といへば必ず門司を思ふ 高浜虚子
春潮に飽かなく莨すひをはる 横山白虹
春潮の上に月光の量を増す 飯田龍太
累々と熔岩春潮のそこひまで 小川斉東語

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大仏の螺髪に川の虎が雨

2017-06-17 | 碧梧桐鑑賞
大仏の螺髪に川の虎が雨




鎌倉の大仏には雨がよく似合う
雨の日は観光客が少ないこともあって
大仏はあの男前の微笑みを静かに浮かべている

この季節の雨は「虎が雨」「曽我の雨」「虎が涙」とも
曽我兄弟への慟哭の涙と伝わっている


虎が雨とは
陰暦5月28日に降る雨。この日は曾我兄弟が討れた日で、それを悲しんだ大磯の遊女虎御前(兄十郎祐成の恋人)の流した涙が雨となったという言われに基づく言葉。


スィッチの多すぎないか扇風機



最近の電化製品は性能が多機能で
便利なのだろうが
風を送るだけで十分な扇風機にも
たくさんの機能がある
スイッチが多すぎて望む風にばかなかたどりつけない

日盛りの銀座氷像はヴィーナス



炎天の銀座である
北海道から雪を運んだりのイベントもあるが
大きな氷像が出現した
その氷像はあもヴィーナス
文字どおりに濡れた素肌は涼し気である
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一興の風鈴の舌考の技 流伴

2017-06-14 | 碧梧桐鑑賞
一興の風鈴の舌考の技





風鈴を鳴らすのにも工夫がいる
短冊(舌ぜつ)は重すぎても軽くても良くない
また埃や鳥の糞などがついては風情からは遠くなる
濡れ縁の軒に南部風鈴が吊るされているが
毎年父がその舌(ぜつ)を取り換えていたのを覚えている


無裡によもつひらさか何処までもほたる

蛍火は黄泉路への案内のようでもある
本来は種の保存の煌めきなのだが
その光には諸行の無常を感じさせる
夢の中で結界にあるという黄泉平坂のたくさんの蛍をみた



温もりのありし貧しさ麦こがし


戦中戦後に疎開先でいただいた麦粉菓子
上等なものではなかったが
貧しい中にも温もりが満ちていたように感じる
現在の世相は豊かでも冷たく居心地が悪い
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住職の遺墨に気合男梅雨 流伴

2017-06-06 | 碧梧桐鑑賞
住職の遺墨に気合男梅雨





菩提寺の住職が鬼籍に入って5年になる
彼岸や盆、歳末には寺を訪れる
本堂での礼拝の際に住職の遺した書を拝見する

今回は折からの激しい雨のせいもあってか
思い切りの気合を頂いた


父の日の妻のねまわし尻ぬける


父の日も子供が世帯を別になると
好物を覚えていてくれて送ってくれるのが
我家の普通になっている

子供が小さい頃は妻が先頭になって
食卓を飾ったり贈り物を渡すタイミングを計画していたものだった
私は知っていても知らないふりをする役目だった


甚平のいざ清貧のこころざし


甚平を着るとなんとも開放的な気分に満たされる
物欲はもちろんの事
五欲 すべてが消失するようである

清貧 なつかしい言葉が浮かんでくる
よし これからはいよいよこの境地を歩こうではないか
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青嵐とぎれとぎれのプロポーズ 丈士

2017-05-14 | 碧梧桐鑑賞
青嵐とぎれとぎれのプロポーズ





法話会あとの漫ろに夕牡丹

麦秋やたしかめながら下駄の音 
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春風の吹いて居るなり飴細工  碧梧桐

2017-04-25 | 碧梧桐鑑賞
河東碧梧桐鑑賞 春の句2

春風の吹いて居るなり飴細工




門を出て五六歩ありく春の風

赤い椿白い椿と落ちにけり

植木屋の海棠咲くや棕梠の中

境に入つて国の札とふ霞かな

春寒し水田の上の根さし雲

台町や鶯真砂町にとぶ

大仏を写真に取るや春の山

ひたひたと春の潮打つ鳥居哉

沫雪や日のてりがちに西の岡


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春風や道標元禄四年なり 碧梧桐 

2017-04-21 | 碧梧桐鑑賞

河東碧梧桐鑑賞 春の句1

春風や道標元禄四年なり







笠間の道標

お不動さんよりしばらく行くと笠間の六差路になり、歩道橋でまっすぐ向かい側に渡る、いたち川にかかる橋を渡るとすぐ右に道標(元禄四年銘)があり。その後ろには、延命地蔵堂があった。道標には左に「従是とつか道」右に「従是ぐみょうじ道」裏に「奉造立庚申供養 同行八人」とある。「旧鎌倉街道 検索の旅 中道編」では、西本郷小学校正門前に移されていたように記述されているが、元に戻されたみたい。右に折れてお地蔵さんの前を通って小道に入っていく。http://www.crystalwinds.net/白河や石きる家の梅の花

桃さくや湖水のへりの十箇村

上京や友禅洗ふ春の水

田螺鳴く二条御門の裏手かな

木屋町や裏を流るゝ春の水

苗代と共にそだつる蛍かな

ふたかゝえ三抱えの桜ばかりなり

菜の花に汐さし上る小川かな

三月を引くとも見えで波のうつ
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