竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

小鳥来る今年限りの一両車

2015-10-31 | 
小鳥来る今年限りの一両車





ローカル線のひとり旅が好きである
旅程などはくまないで行き当たりばったりの偶然が面白いのだ
単線、無人駅は必須鵜条件に近い
ひなびた小さな立ち寄り湯でもあれば申し分ない
乗る電車はペイキの剥げ落ちた一両車
今年限りで運行停止だとか
なぜか小鳥たちが群れ集まってくる
コメント

包む日を溢さぬやうに袋掛

2015-10-30 | 
包む日を溢さぬやうに袋掛





秋はナリモノの季節だ

ナリモノは果物と同意だろうと思う

日をたくさんほしいのだが強すぎてもいけない

虫や鳥たちにも遠慮していただきたい

理由はシュシュ多様だ

清算農家は袋掛に多忙である
コメント

椋鳥の朝餉に割って柿を捥ぐ

2015-10-29 | 
椋鳥の朝餉に割って柿を捥ぐ




最近は柿を子供も孫も喜ばない

鴉もあまり寄ってこない

木守柿というにはおびただしい 量の実がいつまでも鈴なりだ

脚立を持ち出して少し捥いだのだが

今朝は椋鳥が朝餉であった
コメント

竹の春歩数のびたる朝参り

2015-10-28 | 
竹の春歩数のびたる朝参り





竹の春
朝のウオーキングで紅葉し始めた樹木の背景に
青々とした竹林をみた
納得である
いつもより歩数を伸ばして神社に立ち寄った

《若竹が生長し、新葉の盛りになるところから》陰暦8月の異称。
竹春 (ちくしゅん) 。《季 秋》

「おのが葉に月おぼろなり―/蕪村」
コメント

生身魂せつなきときは早く寝る

2015-10-27 | 入選句
生身魂せつなきときは早く寝る



いつかしらず、自分が生身魂になっている
無欲無為 
せつないときは心が弱い時
話してはいけない
もっとせつなくなるからだ

先達の句を紹介する

生身魂酒のさがらぬ祖父かな 其角 「華摘」
生身魂畳の上に杖つかん 亀洞 「嚝野」
憂き我に誰々祭る生魂ぞ 白雄 「白雄句集」
くづをれぬ老に仕えて生身魂 松瀬青々 「倦鳥」
生身魂七十と申し達者也 正岡子規 「子規句集」


入選 2015/10/26 朝日俳壇 大串章選

コメント

秋風に尻まるごとの逆上がり

2015-10-26 | 
秋風に尻まるごとの逆上がり



人影まばらな公園
少女が一人懸命に逆上がり
いまひとつの勢いがほしいところで失敗を繰り返す
何度も何度も繰り返す
お尻を秋風があらっている
コメント

枯蓮ひとの容に長考す

2015-10-25 | 
枯蓮ひとの容に長考す



蓮池の四季の移ろいは鮮やかである
春の池面の緑の葉
その葉を割って見事な大輪を咲かせる夏
次々に咲き変わる秋の風情
そして晩秋から冬
花はあとかたもなく朽ちてその茎もしおれてくる
1年は人の一生のようだ

晩秋の夕暮れ池面に映る黒い影は
痩身長躯の鉄人の長考の姿勢にみえる
コメント

満月の終電あとの貨車長き

2015-10-24 | 
満月の終電あとの貨車長き




今年はアウーパームーンとかで素晴らしい満月をみた
何年も前のことだが
家族旅行で奥那須温泉に行ったことがある
満月を宿からみたが空気が澄んでいて冷たい
旅館が高台にあるので東北本線のp駅がいくつも見渡せた
そこに長い長い貨物列車が北へ進んでいた
コメント

木守柿戦友のやうな妻佇てり

2015-10-23 | 
木守柿戦友のやうな妻佇てり





現在の家に住みついて凡そ25年になる

横浜/熱海/新宿/渋谷/麻布/相模原/洞爺村/そして栃木

世帯をもってから妻とは50年の歴史がある



柿の実を毎年眺めるようになっておちついた老年夫婦になっている

子供や孫も近くに住んでいる

柿の木の下で柿を見上げている妻

まぶしい戦友の顔だ
コメント

としごとに苦味増すなり菊の酒

2015-10-22 | 入選句
としごとに苦味増すなり菊の酒




旧暦9月9日(今年は10月11日)は、重陽節だ。
古人は9を「陽数」(陽の数字=奇数)として、陽の重なる9月9日のことを「重陽」と呼んだ。
空が高く澄みわたり、すがすがしい季節のころだ。

長寿を願ったり祝ったりの酒は九九の酒
言わy側から祝われる側へ
酒の苦みはとしごとに増すようである


入選 2015/11/22 下野新聞 速水峰邨選
コメント

煌めくは終あればこそ冬銀河

2015-10-21 | 
煌めくは終あればこそ冬銀河




秋も終章の季節となった

秋空はなんとも澄み切って美しいが

冬の空は夜が素晴らしい

その煌めきに息をにむばかり

地球に届いている光は何年も以前に消失している星たちもあるそうだ

だからこそ美しく寂しい
コメント

老男の口一文字秋の暮

2015-10-20 | 
 
 老男の口一文字秋の暮 たけし





秋の暮 暮の秋 この季語の使い分けが面白い

今ひとつ 理解していないのだが魅力的な季語である

朝のウオーキングで行き交う馴染みの人々の面もちが季節で変化する

最近は「口を真一文字」の人が多い

何ということは無い、自分も同じだ
コメント

水澄むは蒼天映す身ごしらえ

2015-10-19 | 
水澄むは蒼天映す身ごしらえ たけし


朝の40分ほどのウオーキングに
季節のうつろいは鮮やかだ
今日も秋晴れで気持ちははずんだ
池の水は澄みきっていてなんとも静かだ
青い空をしっかりと受け止めている
秋の空の色をそっくり映すためには
水は澄んでなければならない
コメント

桐の実の音に急かれし終始末

2015-10-18 | 
桐の実の音に急かれし終始末



桐の実が風にのってその割れる音をとどける

晩秋の寂しげな感じに相応しい

高いところで乾いた音がすることだろう

桐の葉の大きな葉がゆっくりと揺らぎながら落ちるのも風情がある

秋もそろそろ終わりに近い

なんとなく身の回りを急かれるように片づけたくなってくる
コメント

難病をかたりし友と温め酒

2015-10-17 | 
難病をかたりし友と温め酒

癌告知をうけたと友が語る
治療の事、家族の事、来し方の自省など
低い言葉でゆっくりと話す
慰めにもならない無責任な言葉を
ときおりはさみながら聞いている
ぬるめの癇酒を酌み交わすのが精いっぱい
コメント