冴返る湖東の雲が鬼の面 星野光二
情景は明瞭だ
どの読者にも似たような記憶が脳裏に刻まれている
共鳴する句材
、その斡旋をどのような措辞で表現するかが技なのだと知らされる
雲が「鬼の面」に見える おにのつら と読みたい
一気に読み落とせるリズムも秀逸
こんな句を詠みたいものだ
(小林たけし)
【冴返る】 さえかえる(・・カヘル)
◇「凍返る」(いてかえる) ◇「しみ返る」 ◇「寒返る」 ◇「寒戻る」 ◇「寒戻り」
余寒がきびしいさま。春になって、いったんゆるんだ寒気が、寒波の影響でまたぶりかえすこと。
例句 作者
あざけりを浴びるごと昼冴返る 成田千空
三月十日デジタル画面冴返る 糸山謙治
冴えかへるもののひとつに夜の鼻 加藤楸邨
冴え返る古刹に残る手斧あと 原口英二
冴え返る彫像あまねく裸婦多き 澤田吐詩男
冴え返る浚えたはずの悲しみが 宮里晄
冴え返る眦よ棕櫚のそよぐよ 大上恒子
冴え返る葬祭場のセールスマン 上松泰
冴え返る運河の町の石だたみ 村上容子
冴返りだまされる人だます人 渡辺正芳
冴返るとは取り落とすものの音 石田勝彦
冴返る一刀彫の鷹の爪 石井香
冴返る墓淡路女の恒(つね)端座 文挾夫佐恵
冴返る立ち止まれない時もある 村上洋子
三月十日デジタル画面冴返る 糸山謙治
冴えかへるもののひとつに夜の鼻 加藤楸邨
冴え返る古刹に残る手斧あと 原口英二
冴え返る彫像あまねく裸婦多き 澤田吐詩男
冴え返る浚えたはずの悲しみが 宮里晄
冴え返る眦よ棕櫚のそよぐよ 大上恒子
冴え返る葬祭場のセールスマン 上松泰
冴え返る運河の町の石だたみ 村上容子
冴返りだまされる人だます人 渡辺正芳
冴返るとは取り落とすものの音 石田勝彦
冴返る一刀彫の鷹の爪 石井香
冴返る墓淡路女の恒(つね)端座 文挾夫佐恵
冴返る立ち止まれない時もある 村上洋子