竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

冴返る湖東の雲が鬼の面 星野光二

2020-04-02 | 今日の季語


冴返る湖東の雲が鬼の面 星野光二


情景は明瞭だ
どの読者にも似たような記憶が脳裏に刻まれている
共鳴する句材
、その斡旋をどのような措辞で表現するかが技なのだと知らされる
雲が「鬼の面」に見える おにのつら と読みたい
一気に読み落とせるリズムも秀逸
こんな句を詠みたいものだ
(小林たけし)


【冴返る】 さえかえる(・・カヘル)
◇「凍返る」(いてかえる) ◇「しみ返る」 ◇「寒返る」 ◇「寒戻る」 ◇「寒戻り」
余寒がきびしいさま。春になって、いったんゆるんだ寒気が、寒波の影響でまたぶりかえすこと。

例句 作者

あざけりを浴びるごと昼冴返る 成田千空
三月十日デジタル画面冴返る 糸山謙治
冴えかへるもののひとつに夜の鼻 加藤楸邨
冴え返る古刹に残る手斧あと 原口英二
冴え返る彫像あまねく裸婦多き 澤田吐詩男
冴え返る浚えたはずの悲しみが 宮里晄
冴え返る眦よ棕櫚のそよぐよ 大上恒子
冴え返る葬祭場のセールスマン 上松泰
冴え返る運河の町の石だたみ 村上容子
冴返りだまされる人だます人 渡辺正芳
冴返るとは取り落とすものの音 石田勝彦
冴返る一刀彫の鷹の爪 石井香
冴返る墓淡路女の恒(つね)端座 文挾夫佐恵
冴返る立ち止まれない時もある 村上洋子
コメント