竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

竹落葉わが手をいつも倖せ逃げ 吉田未灰

2020-04-28 | 今日の季語


竹落葉わが手をいつも倖せ逃げ 吉田未灰

幸せ、倖せはめぐりあわせの事だと辞書にある
おちてくる竹の葉を受けようと
手を広げて待っている
掌に近づくとすっと逃げるように
向きを変えて地に落ちる
竹林にいて何度も何度も同じ動作をしている自分

ふと身の上を思ってみる
何度もつかみ損ねた倖せだがこうしてしっかりと生きている
そんな作者の強い意志を感じる
(小林たけし)


【竹落葉】 たけおちば
◇「竹の葉散る」 ◇「笹散る」
竹は古くから人々の生活と深く関わり合って来たが、風光の上でも欠かせない植物である。初夏に新葉が出ると古い葉が枯れ落ち、秋にはみずみずしい姿となる。

例句 作者

垣結ふや竹の落葉を払ひつゝ 尾崎紅葉
後より人の気配や竹落葉 豊田ふじを
竹落葉きりりきりりと一行詩 柴田いさを
しんかんと山閃々と竹落葉 広瀬直人
人の顔みたくなき日の竹落葉 橋 閒石
そこだけは踏ませたくない竹落葉 小林和枝(麦・華)
ひらひらと水の奈落へ竹落葉 小川湖月
竹落葉人を拒みて降るは何時 飯田蒼水
竹落葉猫の素足のうつくしく 関戸美智子
竹落葉踏む音だけの古墳みち 田村みや子
竹落葉速さのちがふ浦の舟 森野稔
雲の上歩くここちの竹落葉 田上多喜子
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