竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

所在なく家のひろびろ小晦

2014-12-31 | 新年
所在なく家のひろびろ小晦 たけし








子供たちが親離れしてワイフとの二人暮らし

年末のあの慌ただしさはずいぶんと減っていて

私もワイフもしんどいようなことはない



掃除やかたずけなども

手抜きが常態になっているので年々楽になる

子供らの使っていた部屋も

ほとんど納戸みたいな使い方をしているので構うこともない



歳晩 数え日 煤払い 気を急かせる言葉も縁遠くなっている

玄関を少し丁寧に掃除して正月の買い物をすれば 年用意は終了する



所在なくみまわす家は

なんともひろびろとがらんどうと感じられてならない
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黒い目の深い悲しみ雪だるま

2014-12-30 | 
黒い目の深い悲しみ雪だるま







雪だるまは幼年時代の楽しい懐かしい記憶

親兄弟遊び仲間の歓声のなっかで

笑い転げ駆け回った幸せな思い出だ



保育園などで雪だるまをみかけることはあるが

私らの記憶にあるものよりも極端に小さい

温暖化で都会地の降雪の少ないせいかもしれない

子供が昔のように喜ばないのかも知れぬ

喜ばせようとの汗を大人が惜しんでいるのもあるようだ



雪だるまの顔はひょうきんで

どうみても「おかしかった」が

今はその黒い目は悲しそうに見えてならない
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黒猫の余人を拒む冬日向

2014-12-29 | 
黒猫の余人を拒む冬日向 たけし








気温が一桁台の時でも風のない日の日向は暖かく

みな此処にあつまってくる

老いた人と猫は先をあらそう



真っ黒で大きな野良猫がいる

我が家を自分の休息ポイント

まやは別荘とでも思っているのか

朝夕毎日やってくる



一度餌をやって頭を撫でたのが失敗

完全に私は彼(?)に見下されてしまった



縁側の一等地は今日も彼が先客で

私を敵意にみちた目で威嚇して寄せ付けない
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紅唇の七役十役三ヶ日

2014-12-28 | 新年
紅唇の七役十役三ヶ日   たけし







ご婦人方に眉をひそめられそうだが

正月の三ヶ日はどこの家でもご婦人は忙しい



主婦 母親 祖母 の役回りをこなしながら

聞いたり話したり

食べたり 飲んだりも 忘れない



年始客にとっておきの愛想も大切だ

いつもより濃いめの口紅



七役十役は重要人物である証明でもある
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  川べりの「おでん」に昭和くぐりたり

2014-12-27 | 
  
川べりの「おでん」に昭和くぐりたり  たけし






博多の中州 横浜駅西口 など

川べりにたくさんの屋台が並ぶ



屋台にもその種類はさ、あざまだが

人気は「おでん」が一番のようだ



一人で立ち寄っても相客とはすぐになじんで酌み交わす

どっこい昭和は生きている



のれんを潜るのは昭和そのものかもしれない

ここには 人間の匂いがあるのだ
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寒鯉の触れ合わずして沈みおり

2014-12-26 | 
寒鯉の触れ合わずして沈みおり たけし






北海道洞爺湖の近くに住んでいたことがある

40年以上もの昔だが

冬になるとときおりその頃のことが蘇ってくる



庭に20m×10mほどの池があった

錦鯉の稚魚を200匹放流した

子供たちが小さいので何もない彼女たちへのプレゼントだった



3年もすると50匹ほどにその数を減らしたが

みな20㎝以上の立派な錦鯉になった

餌はなんでも良かったがドッグフードを喜んでいた



真冬 池の底に直径2mほどの瓶を低くして埋めておいたところ

ひしめき合ってその中で越冬していた

池の表面は完全に凍っていたのだから呼吸はどうしていたのだろう



みずゆるみ3月 みな元気に泳ぎ始めていた

その鯉はすべて有珠山の噴火による火山灰に埋まって犠牲になった
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柚子香のせ隣家に寄せし入浴車

2014-12-25 | 
柚子香のせ隣家に寄せし入浴車 たけし








介護を受ける老人世帯が増加している

浪々介護の悲劇が報道されたりするとわびしい気持ちになる

他人ごとではないと自覚するからであろう



90才の親を70才ちかい子供が

自分も病院通いしながらの介護をする

このかたちはごく普通になってしまいそうだ



隣家に要介護の89才の婦人が娘夫婦と生活している

定期的に入浴車がきて入浴をさせてくれるので

本人もその家族も大変に感謝しえいる



先日は冬至 柚子の香りを載せていた
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富士枯野人呼ぶ鹿のさらし首

2014-12-24 | 
富士枯野人呼ぶ鹿のさらし首







富士の裾野を一周するツアー企画に参加して

12回一ヶ月で集会したことがある

春夏秋冬の富士山を間近にしてのウオーキングは楽しかった



山中湖の近くだったと記憶するが

昼食に鹿肉がでて舌づつみを打ったが

店の裏側になんと鹿野首が杭に吊るされて風にさらされていた

その数や20ほど

人寄せ客寄せか それとも別の理由だったか
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冬ざれや石にもどりし翁の碑

2014-12-23 | 

冬ざれや石にもどりし翁の碑







景勝地には芭蕉の足跡を鮮やかにみせる句碑が多い

その句碑を訪ねる古今の俳人も多い



季節をとわず訪われるが

この冬ざれの時期はその数もまばらで

海風 山風の吹き荒んだりする日には



句碑は本来の石そのものに戻っていて

その姿はまた良いものである
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コラーゲン鯛の煮凝り白寿膳   たけし

2014-12-22 | 

コラーゲン鯛の煮凝り白寿膳   たけし






「第16回竹とんぼ句会たより」vol.7
最終報告はブログ管理人のたけしです
ここのところ句友の作品がみな眩しくてスランプ気味だが
句会では何食わぬ顔しているが厳しい選句眼におどおどでありました

表題句は白寿になる知人の鉱物が鯛の目玉と聞いて
「鯛の目の真白く煮えて白寿膳」の書案を詠んだが
季語がないとの指摘にたじろいだもの
推敲添削しての1句であります



雪兎いま欲しいものサングラス


雪兎は雪で作って楽しむのものらしいが
作者の脳裏にある雪兎は本物の兎
北海道での冬の暮らしを経験している
月の中を真っ直ぐに突進するような元気な兎をたくさん見た


冬桜ひと花空にそっと置く


冬桜は春の桜のように華やかではない
知らないうちに咲いて知らないうちに散っている
一枝にひとつふたつの花
見上げた空にそっと置かれるようだ


晩学や勤しみに和気去年今年


俳句に親しんで3回目の年の暮れ
友人たちに恵まれての晩学
進歩は遅々たるものだが学びくさり
ながらの和気藹藹 来年も継続できそうだ
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危うきの矜持くさめの飛ばしけり 

2014-12-13 | 

危うきの矜持くさめの飛ばしけり 





老いてくると社会からのアクセスがどんどんと減少して

身にまとっていた社会的立場は氷塊して

家庭においても老人1人以外のなにものでもなくなってくる



その速度は加速度的で昨日の矜持は今日はもう失せている

本人にはまだ少し残っているつもりの「誇と尊厳」



鼻水を飛ばすおおきなくしゃみ

あとかたもなく消えてまたひとつ粗大ゴミじみたような
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冬座敷来客すぐに家人顔

2014-12-12 | 
冬座敷来客すぐに家人顔






寒い中訪ねてくる人は少なくなったが

電話などの通信手段が乏しかったころは

訪ねたり尋ねられたリガ多かった



寒日などは部屋に招いて温まってもらう

炬燵などに足を延ばせばみなくつろいで

いつしか来客は家族のような顔になっていた
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冬銀河ロシア民謡のつれだち

2014-12-11 | 
冬銀河ロシア民謡のつれ   だち たけし







寒空に輝く星は夏の数倍も美しい

透き通った空はどこまでも遠い

その底からの星は神秘に光る



冬の銀河は地球のふるさと

じっと見ていて涙ぐむのは自然なのかもしれない



青い時代の甘い切ない暗い熱い 爆発の記憶

「ロシア民謡」を連れ立って一晩中歌っていた
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悴みも知らぬ子供の無表情

2014-12-10 | 

悴みも知らぬ子供の無表情 たけし






悴んだ手を音をたてて燃える焚火にかざして

周囲の人たちがみんな家族のように思えた時代があった



悴んでひとんど感覚のない手を包んで息を吹きかけてくれた母がいた

辛かったが幸せだった



今の子供たちにはこんな日常の記憶はない

これからも体験することはあるまい



文明はどしどしと人間を無機質な生き物に作り替えているようだ
ほとんど無表情である

「悴む」いずれ死語になるのだろうか
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有明の飛沫氷や北の湖

2014-12-09 | 
有明の飛沫氷や北の湖




北海道洞爺湖の近く一時期住んでいた

道南ということで北海道では温暖といわれる地域だが

積雪は2m 気温は-10°になることも珍しくない



早朝の有明のころ

湖畔を仕事で歩いたことが一度だけあったが

夜半の風におそわれて波立つ飛沫が

木の枝に触れて凍りつくそこにまた飛沫が

この重なりを見たことがあった

あまりの美しさに寒さを忘れるほどであった



これを「飛沫氷」と呼ぶのは最近になって知った
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