竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

師の言は辛味に酸味ところてん 丈子

2023-07-31 | 第一句集「裂帛」自選


師の言葉はどれも辛辣だったが
この辛味と酸味が効いてありがたい

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心音のように滴り大谷窟 丈子

2023-07-30 | 第一句集「裂帛」自選
大谷石採掘痕

大谷石の採掘痕は不思議な空間だ
悠久の地球の歴史、億年の鼓動を感じさせる
壁面から沁みだす滴りは心音のようだ

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今日もまた五時五十分かたつむり 丈子

2023-07-29 | 第一句集「裂帛」自選


蝸牛を所在なくみていて浮かんだ一句
所収のなかでも評価値の高かった

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青あらし肩甲骨がむずかゆい 丈子

2023-07-28 | 第一句集「裂帛」自選
 始祖鳥

夏の嵐は風青しとも
こんなとき何故か肩甲骨がおちつかない
始祖鳥の昔がまだ残っているらしい

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風知草いつも無口な薬指 丈子

2023-07-27 | 第一句集「裂帛」自選


風に揺れる白い風知草の涼しげなたたずまい
ふと寡黙な薬指を連想した

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月涼し従心もまた一里塚 丈子

2023-07-26 | 第一句集「裂帛」自選


従心は60才の心構え、気の持ち方
自身で思う事をそのまま行動しても
道に外れず道理に叶うということ

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新聞の薄さが微妙金魚玉 丈子

2023-07-25 | 第一句集「裂帛」自選


朝刊の薄さが妙に気になる
大事件の予兆のようだ
軒下の金魚玉が微妙に揺れている

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アリバイの崩れる予感夏怒涛 丈子

2023-07-24 | 第一句集「裂帛」自選


夏の大波を観ている
言訳じみたアリバイが崩れる
そんな贖罪感が涌いて来る

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善人になった気になる茅の輪かな 丈子

2023-07-23 | 第一句集「裂帛」自選

夏払いの茅の輪潜り
作法通りに潜ると全てが許されて
善人になったような気がしてくる

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蟻の列じつは先頭迷ってる 丈子

2023-07-22 | 第一句集「裂帛」自選


蟻の列は時に蛇行する
ひょとして人間世界と同じで
先頭は分かったふりを
しながら困っているのかも


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敢然とジュラ紀のポーズ青蜥蜴 丈子

2023-07-21 | 第一句集「裂帛」自選


可愛い小さな青とかげが
ときにみせるポーズは
ジュラ紀の恐竜に同じ

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献杯はヒップフラスコ五月富士 丈子

2023-07-20 | 第一句集「裂帛」自選


ジーンズの尻ポケットにヒップフラスコ
ウィスキーの好きだった
山友達に献杯する
眼前に夏の富士山

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余花の雨白寿の母のまた詫びる 丈子

2023-07-19 | 第一句集「裂帛」自選


夏になっても咲き残っている桜が余花
白寿の母の口癖は「謝り言葉」
逞しかった母と余花の雨の取合せ

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あの日から歪んだまんま蠅叩 丈子

2023-07-18 | 第一句集「裂帛」自選


あの時は読者それぞれに委ねた
戦争・癇癪・打ち損ね
蠅叩きはひとつでは足りなかった

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野あじさい噂話に百の耳 丈子

2023-07-17 | 第一句集「裂帛」自選

鎌倉には明月院、長谷寺など
紫陽花で有名な観光地が多い                                        
花びらのひとつひとつが耳の形に思えて
ふと口元を抑えてあたりを見回した

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