竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

寒肥を足さねばならぬ吾の俳句 たけし

2021-11-20 | 今日の季語で一句


寒肥を足さねばならぬ吾の俳句 たけし

珍しい季語に遭遇
自宅の窓から毎日眺める冬田がある
冬の農作業をときおりみかける
この季語で1句をつくってみたのだが・・・・・・
(小林たけし)


【寒肥】 かんごえ
◇「寒肥」(かんぴ) ◇「寒ごやし」
寒中、樹木や田畑に肥料を施すこと。土に養分を与え、次の収穫に備えるためのもの。

例句 作者

つきまとう死者の一言寒肥す 鈴木六林男
寒肥を撒きて百姓光りけり 伊丹三樹彦
寒肥舟あまた葛飾の野にのぼる 山口青邨
寒肥を地にすりかつぐ老の意地 杉しげる
風の中寒肥を撒く小走りに 松本たかし
寒肥や花の少き枇杷の木に 高野素十
音一つなくて兄をり寒肥撒く 神蔵 器
寒肥をまくといふよりたたきつけ 今瀬剛一

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地霊みな狼(ヌクテ)の貌をして伏せる 橋本喜夫

2021-11-12 | 今日の季語


喜夫地霊みな狼(ヌクテ)の貌をして伏せる 橋本喜夫

不用意に踏んでいる地表だが
地霊は厳然としてそこに在る
厳かでいて不気味
(小林たけし)



【狼】 おおかみ(オホ・・)
◇「山犬」
食肉目イヌ科イヌ属。まさにイヌの祖先。ニホンオオカミはすでに明治38年に絶滅したとされる。家畜を襲うことから害獣とされたり、毛皮が高値で取引されたこともその一因であろう。しかし一方でオオカミを神の眷属として祀る神社もある。人間との深い関わりを示す例であろう。

例句 作者

大神と触れ狼を売りにゆく 宇多喜代子
狼が出そうに鏡研き上げ 松井国央
狼の残響のごと釣瓶落し 白石司子
狼の目に中世の風ありぬ 月野ぽぽな
狼は亡び木霊は存ふる 三村純也
管くぐる狼しろがねに濡れて 岡田一実
絶滅のかの狼を連れあるく 三橋敏雄
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炬燵から行方不明となりにけり 岩淵喜代子

2021-11-11 | 今日の季語


炬燵から行方不明となりにけり 岩淵喜代子

炬燵にうずくまると
そこは別天地
全てを放棄して時間を忘れる
家人が呼んでも返事も億劫になる
そんな気分がよく表現されている
(小林たけし)


炬燵】 こたつ
◇「切炬燵」 ◇「置炬燵」 ◇「炬燵切る」 ◇「炬燵櫓」(こたつやぐら) ◇「堀炬燵」
家庭で長年使われている暖房家具。もともとは囲炉裏を切った上に櫓をのせ蒲団を掛けたのがはじまり。現代では電気炬燵がほとんど。冬の一家団欒の場として日本人の生活にとけこんでいる。

例句 作者

あでやかな炬燵蒲団につまずきぬ 市川恵子
なんとなく入りし炬燵の花模様 吉田成子
一人用炬燵に痒いメロスの足 大畑等
休日の炬燵の中に討ち死にす 吉原波路
句を玉と暖めてをる炬燵かな 高浜虚子
炬燵に穴のこして海を見にゆけり 大石雄鬼
炬燵に顎のせ友恋か山恋か 矢島渚男
炬燵ぬくし奇なる話を交しいて 真木早苗
炬燵の間鯨のような父がいる 高橋富久江
炬燵出て歩いてゆけば嵐山 波多野爽波

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齢のみ自己新記録冬に入る 三橋敏雄

2021-11-10 | 今日の季語


齢のみ自己新記録冬に入る 三橋敏雄

措辞は平明でなめらかだが
その意味は深く身に染みる
新記録 になんとも切ない哀れがある
季語は動かない
(小林たけし)


【立冬】 りっとう
◇「冬立つ」 ◇「冬に入る」 ◇「冬来る」 ◇「今朝の冬」
二十四節気の一つ。陽暦では11月8日頃で、この日から冬に入るとされる。日差が弱くなり、日暮も早い。特に立冬の日の朝は冷気を体感することも多く「今朝の冬」などと言われる。

例句 作者

冬に入る農婦いんぎん禍福なく 飯田蛇笏
凪ぎわたる地はうす眼して冬に入る 飯田蛇笏
墨を磨る心しづかに冬に入る 桂信子
水中に滝深く落ち冬に入る 桂信子
水甕の水に浮く塵冬に入る 桂信子
羽ばたきの音をかさねて冬に入る 桂信子


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くらがりへ人の消えゆく冬隣 角川源義

2021-11-06 | 今日の季語


くらがりへ人の消えゆく冬隣 角川源義

読者によって上五の「くらがり」は自由な解釈を赦されそうだ
私は黄泉につづく暗がりのように思えた
消える これは客観的凝視に感じる
冬隣は自分自身の自覚のようだ
(小林たけし)


【冬隣】 ふゆどなり
◇「冬近し」 ◇「冬を待つ」
冬が間近に迫った暮秋の気配を指す。厳しく長い冬を前にしたはかなさと、年末を控え何かあわただしさもある語。

例句 作者

蓼科は被く雲かも冬隣 石田波郷
昼めしの精進揚や冬隣 川上梨屋
押入の奥にさす日や冬隣 草間時彦
冬近き日のあたりけり鳶の腹 白雄
交番の似顔絵手配冬隣 関 利治
隠岐の山皆冬近き姿かな 敗天公
灯を消してかんばせに冬近づきぬ 森 澄雄
七色に繰り出す投網冬隣 岡田史乃
赤松の高きに日差冬隣 藤田あけ烏
炒り塩のそこらに跳ねて冬隣 近恵
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ヤングケアラーちいちゃんは汗っかき たけし

2021-11-03 | 入選句


ヤングケアラーちいちゃんは汗っかき たけし



第11回とちぎ蔵の街俳句大会にて

桑原まさ子先生の選をいただきました



両親や祖父母を介護している子供たちがいる

ちいちゃんの汗はたくさんのことを語っている



時事俳句にとらえていただけtれば本意なのだが



地元ということもあって送付いただいた作品集には

句会で交流の方々のお名前が多数見受けられました




俳句が地元に根づいていることを実感します
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地下街に鮮魚鮮菜文化の日 鷹羽狩行

2021-11-03 | 今日の季語


地下街に鮮魚鮮菜文化の日 鷹羽狩行

地下街そのものが文明文化の象徴のようだが
そこで鮮魚鮮菜を販売している景
自然とは大きく乖離した場所でという不思議
作者の痛烈な風刺画をみるようだ
(小林たけし)


【文化の日】 ぶんかのひ(・・クワ・・)
◇「文化祭」 ◇「明治節」(めいじせつ)
11月3日。国民の祝日。戦前は明治節とされたが、戦後、自由と平和を愛し、文化を進める日とされた。学校ではこの日を中心に文化祭行事がある。「明治節」は明治天皇の誕生日で昭和23年に文化の日となったが、戦前の人々にとっては特別に懐かしい日である。

例句 作者

つつがなく目鼻耳口文化の日 隈元拓夫
イグアナの散歩をさせる文化の日 本杉康寿
ゴム毬に昔へそあり文化の日 横坂けんじ
サンバに乳ゆれて難波(なんば)や文化の日 竹岡一郎
一条を一茶と読めり文化の日 金子野生
兄弟の理系文系文化の日 石田香枝子
児童画に元気を貰う文化の日 安澤節子
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一本のくさりに縋る紅葉山 中村克子

2021-11-02 | 今日の季語


一本のくさりに縋る紅葉山 中村克子


作者は見事な紅葉にさそわれて
気づけば山中深くに迷い込んでいる
一本の鎖にすがっているのは作者か
はたまた紅葉の樹木そのものか
(小林たけし)


【紅葉】 もみじ(・・ヂ)
◇「紅葉」(こうよう) ◇「夕紅葉」 ◇「もみづる」 ◇「色葉」(いろは) ◇「村紅葉」 ◇「谷紅葉」 ◇「紅葉山」 ◇「紅葉川」 ◇「雑木紅葉」(ぞうきもみじ)
秋半ばより木の葉が赤や黄色に色づくこと。楓、蔦、漆、櫨などの紅葉が美しい。霜が降りると紅葉は一段と美しさを増す。色がほんのり薄く染まりはじめたころのものを「薄紅葉」という。まだらの色づきが趣深い。また楢、櫟、欅などの雑木が色づくことを「雑木紅葉」という。手近な紅葉を示す語。


例句 作者

三度まで許す積りや蔦紅葉 仰木節子
不知火の海見えわたる紅葉かな 八重津沙汰王
人の世から諸鳥の世へ紅葉する 中井不二男
人はみな紅葉の中人の中 平出雅春
修善寺の風のかそけき紅葉かな 本間愛子
全山の紅葉冷えくるくすり指 福井有樹男
北方に紅葉新たな森現ず 目迫秩父
口遊む紅葉のなかの孤独かな 原田麦吹
吐息もてくさもみじ消しきりしたん 小川双々子
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