竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

下野の東西南北春田風 たけし

2022-03-15 | 今日の季語で一句


下野の東西南北春田風 たけし

春田】 はるた
◇「春の田」 ◇「春田道」 ◇「春田風」
前年の秋に稲を刈りとった跡、春までそのままにしてある田。緑肥として、一面に蒔いた美しいゲンゲ田はよく見かける。また鋤き起して、まだ苗を植えてない田や、植んばかりに水が張っている状態も見かける。

例句 作者

月出でゝ一枚の春田輝けり 前田普羅
減反は百も承知の春田打つ 大沢南渓
潮止めの水門閉づる春田かな 五十嵐唐辛子
みちのくの伊達の郡の春田かな 富安風生
水入れて春田となりてかゞやけり 長谷川かな女
よべ雨の諏訪のやしろの春田かな 野澤節子
野の虹と春田の虹と空に合ふ 水原秋櫻子
能登の海春田昃れば照りにけり 清崎敏郎
みちのくの春田みじかき汽車とほる 飴山 實
雪嶺の春やいづこの田も日射す 山口誓子

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きのうよりきょうの好日木の芽どき たけし

2022-03-14 | 今日の季語で一句


きのうよりきょうの好日木の芽どき たけし

この季節
日ごとに暖かくなり
空気もやわらかくおだやかである
人もみな機嫌よろしく和やかな好日だ
(たけし)


春(三春)・時候
【木の芽時】 このめどき
◇「芽立時」(めだちどき)
万樹ことごとく芽を出す春の季節。

例句 作者

木の芽どき横顔かくも照るものか 山崎為人
夜の色に暮れゆく海や木の芽時 原 石鼎
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ままならぬ動体視力つばめ来る たけし

2022-03-13 | 今日の季語で一句


ままならぬ動体視力つばめ来る たけし

今年も燕がやってきた
毎年やってくるようになって15年はゆうになる
燕の寿命は知らないが
何代にもわたって来ているのだろう
声を目でええ追うが動体視力がままならない
(たけし)


春(仲春)・動物
【燕】 つばめ
◇「つばくろ」 ◇「つばくら」 ◇「つばくらめ」 ◇「乙鳥」(つばめ) ◇「玄鳥」(つばめ) ◇「燕来る」 ◇「初燕」 ◇「飛燕」(ひえん) ◇「朝燕」 ◇「夕燕」
ツバメ科の鳥。いわゆる燕尾状の2つに割れた長い尾が特徴的である。飛行が早く、飛びながら口を大きく深く開けて、昆虫類を食べる。日本には春飛来し、人家に営巣して、秋、南方に去る。玄鳥。つばくら。つばくらめ。初燕。

例句 作者

燕の飛びとゞまりし白さかな 松本たかし
浮御堂浮いて燕を通しけり 石田勝彦
軒先の壺のいろいろ燕来る 児玉喜代
燕のゆるく飛び居る何の意ぞ 高浜虚子
来ることの嬉しき燕きたりけり 石田郷子
藍壺に泥落したる燕哉 正岡子規
夢殿に今年の燕来てゐたり 米澤吾亦紅
つばくろの反転信濃は青き国 木田千女
球場に万の空席初燕 今井 聖
山の端に乙鳥をかへす入日かな 其角

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闇はしる修二会僧の脚まぶし たけし

2022-03-12 | 今日の季語で一句


闇はしる修二会僧の脚まぶし たけし

漆黒の闇に修二会の行者の素足がまぶしい
(たけし)

春(仲春)・宗教
【修二会】 しゅにえ(・・ヱ)
◇「御松明」(おたいまつ)
3月1日から14日間(もと陰暦2月1日より)、奈良東大寺で行う国家鎮護の法会。二月堂の法会はお水取りの行事として有名。修二会は修二月会の略で2月に修する意。

例句 作者

修二会僧の佳き顔見ゆる又も見ゆ 山田みづえ
女身われ修二会の火の粉いただくや 斎藤芳枝
火が痩せて痩せて修二会の駆け廻る 山口誓子
修二会いま走りの行や床鳴らし 村沢夏風
修二会の奈良に夜来る水のごと 角川源義
つまづきて修二会の闇を手につかむ 橋本多佳子
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頬を打つ黒のネクタイ春寒し たけし

2022-03-11 | 今日の季語で一句


頬を打つ黒のネクタイ春寒し たけし

今年も早や黒ネクタイを三度も結んだ
斎場までの少しの道のりだが気は重い
明日は我が身との想いもある
頬を打つネクタイがやけに重たい
(たけし)


春(初春)・時候
【春寒】 はるさむ
◇「春寒し」 ◇「寒き春」 ◇「春寒」(しゅんかん) ◇「料峭」(りょうしょう)
春になっても残る寒さ。「余寒」と同じであるが、「春寒」には「余寒」ほどの寒さの余韻はない。「料峭」は春の風(東風)により肌寒い様子をいう。

例句 作者

料峭や括り直して野菜売る 原 光栄
春寒し頷きあえる仏どち 磯 直道
春寒し水田の上の根なし雲 河東碧梧桐
廊下よく拭かれし春の寒さかな 赤尾冨美子
春寒にゐるや少女の膝ゑくぼ 加藤楸邨
橋一つ越す間を春の寒さかな 成美
春寒し一朶の海苔は流れ行く 前田普羅
料峭や手燭のゆらぐ躙口 谷口みちる
さびしさと春の寒さとあるばかり 上村占魚
料峭や風の行方の信濃川 遠藤政児
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陽炎に子のはしゃぐ声忠魂碑

2022-03-10 | 今日の季語で一句


陽炎に子のはしゃぐ声忠魂碑  たけし

2/15/2013作

戦没者を祀る忠魂碑が春日を浴びて立っている
その小高い築山を子供らがはしゃいでいる声がする
姿は陽炎えいぇいて見えない
忠魂碑と子供 過去と未来 希望と慚愧だ
(たけし)



春(三春)・天文
【陽炎】 かげろう(・・ロフ)
◇「陽炎燃ゆる」 ◇「糸遊」(いとゆう) ◇「遊糸」(ゆうし) ◇「野馬」(やば) ◇「陽焔」(ようえん) ◇「かぎろい」 ◇「かげろい」
春のうららかな日に、日射のために熱くなった空気で光が不規則に屈折されて物の形がゆらいで見える現象。糸遊。

例句 作者

なりふりをかまわずにみなかげろえり 中里麦外
陽炎の草に移りし夕べかな 臼田亜浪
かげろふやほろほろ落つる岸の砂 土芳
万歩計つけて陽炎濃きところ 中村菊一郎
先頭は陽炎連れてゆくごとし 鈴木とめ子
犬放つうしろ姿や野かぎろひ 及川 貞
海女あがり来るかげろふがとびつけり 橋本多佳子
花街に黄檗の寺陽炎へり 福島壺春
原爆地子がかげろふに消えゆけり 石原八束
かげろふの我肩にたつ紙子かな 芭蕉
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とめどなく邪念耳下に鳴く田螺 たけし

2022-03-09 | 今日の季語で一句


とめどなく邪念耳下に鳴く田螺 たけし

なかなか寝付けない夜がある
気づけばもう午前2時
どうでもよいどうにもならない邪念がおしよせる
鳴くはず田螺の鳴きつづけている
(たけし)


春(三春)・動物
【田螺】 たにし
◇「田螺取」 ◇「田螺鳴く」
タニシ科の淡水産巻貝。貝殻は卵円錐形で暗褐色、殻口は広く角質の蓋がある。卵胎生で6、7月頃子貝を生む。水田・池沼に産し、食用。古い時代の農村の動物性蛋白質の供給源として貴重な食品であった。

例句 作者

籠をもる小さき田螺や水に落つ 高浜虚子
蓋とぢし田螺の暗さはかられず 加藤かけい
月の出のおそきをなげく田螺かな 久保田万太郎
田螺見えて風腥し水のうへ 太祇
白凰の塔の真下の田螺かな 宮岡計次
静さに堪えて水澄む田にしかな 蕪村
水入れて近江も田螺鳴くころぞ 森 澄雄
拾ひのこす田螺に月の夕べかな 蕪村
民宿の椀の重さよ田螺汁 小路紫狹
大田螺種田山頭火と似たり 大串 章
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春眠の海にジュゴンとたわむれる たけし

2022-03-08 | 今日の季語で一句


春眠の海にジュゴンとたわむれる  たけし


春の朝寝をむさぼっている感じが出ていればとの句
2014年作の原句は<春眠や>だった
(たけし)




春(三春)・生活・行事
【春眠】 しゅんみん
◇「春睡」(しゅんすい) ◇「春の眠り」 ◇「春眠し」
春の夜や曙の眠り心地のよさは格別のものである。唐の孟浩然の詩に「春眠暁を覚えず、処々啼鳥を聴く、夜来風雨の声、花落つること知んぬ多少ぞ」とあり。

例句 作者

春眠の覚めつつありて雨の音 星野立子
春眠の覚めてさだかに遠き人 中村汀女
春眠といふ晩年の玉手箱 岡田京花
春眠の出口で人にはぐれけり 大畑真喜
春眠をぬけてま白き昼に出し 上田五千石
金の輪の春の眠りにはひりけり 高浜虚子
春眠のわが身をくぐる浪の音 山口誓子
春眠や自飯器すでに保温中 桑谷友峰
春眠の中をふはりと出てゆきぬ 平井照敏
腕白う伸べて春眠覚めやらぬ 日野草城
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早まるな遅れはならず筆の花 たけしう

2022-03-07 | 今日の季語で一句


早まるな遅れはならず筆の花 たけしう

何事も早すぎても遅すぐても良くない
春を告げる土筆も同様だ
早すぎれば小さなうちに摘まれて捨てられる
遅ければ見向きもされない
つくつくしが原句だったが分かりすぎるので筆の花に改作した
(たけし)


春(仲春)・植物
【土筆】 つくし
◇「つくづくし」 ◇「つくしんぼ」 ◇「筆の花」 ◇「土筆野」 ◇「土筆摘む」 ◇「土筆和」
杉菜の胞子茎で、つくづくし・つくしんぼ・筆の花ともいう。早春の堤や野原、畦の雑草の間に生え、群がっている。柔らかく濃厚な甘味があり、早春摘んで、土筆和えにしたり、佃煮・酢の物などにして食べる。土筆野。土筆摘む。筆の花。つくづくし。

例句 作者

むきむきにつくし摘みゐてさみしけれ 木下夕爾
土筆野やよろこぶ母につみあます 長谷川かな女
土筆煮て飯くふ夜の台所 正岡子規
土筆なつかし一銭玉の生きゐし日 加藤楸邨
摘んで煮てああ一口のつくしんぼ 岡部六弥太
補助輪のとれて土筆野ひた走る 高野愛子
鉄塔の影ある土筆つみにけり 佐々木 咲
妹よ来よここの土筆は摘まで置く 高浜虚子
つくし摘みそのあとのこと考えず 宇咲冬男
土筆伸ぶ白亳寺道は遠けれど 水原秋櫻子
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切株に小さき胴吹きあたたかし たけし

2022-03-06 | 今日の季語で一句


切株に小さき胴吹きあたたかし たけし

朝詣を兼ねての散歩の途路
春日を浴びながら切株に座す
その切株に小さな花がまさに咲かんとの気配
生きた春を感じた
(たけし)

春(三春)・時候
【暖か】 あたたか
◇「春暖」(しゅんだん) ◇「あたたけし」 ◇「ぬくし」
暑すぎもせず、寒くもなく、程良い気温。春の快い温度。

例句 作者

暖かや飴の中から桃太郎 川端茅舎
磯に出て今日の孤りは暖かき 北 登猛
あたたかや子無き夫婦の箸づかひ 神﨑 忠
あたたかし脚組み替へて待つことも 草間時彦
あたたかく乳児の歯にぞ噛まれゐる 神田綾美
肩に手をかけて話せば暖かし 大場白水郎
昨夜の雨溜めて仏足石ぬくし 竹内牧火
暖かといふそれだけで足ひをり 能村登四郎
一夜寝て暖か佐渡の置畳 石川桂郎
暖かし赤子は泣いて世に生る 保坂リエ
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啓蟄や万年床を裏返す たけし

2022-03-05 | 今日の季語で一句


啓蟄や万年床を裏返す たけし
2019/3/9 作

この季語はなじみやすいので例句も多い
類句類想に陥りやすいので注意が必要だ
掲句っはは3年前のもの
古稀こえの老年には啓蟄も日常だ
(たけし)




春(仲春)・時候
【啓蟄】 けいちつ
二十四節気の一つ。陰暦で2月の節。陽暦で3月6日ごろ。蟄虫(冬眠の虫)が戸を啓いて穴から出る意。春めいてくる頃である。

例句 作者

啓蟄の雲にしたがふ一日かな 加藤楸邨
啓蟄のこゑ夢の世は夢のなか 阿部誠文
啓蟄や水槽の藻が泡を生み 池田啓三
啓蟄の煙が松の幹のぼる 桂 信子
啓蟄や翅あるものも地を歩き 檜 紀代
啓蟄や失せ物出ぬと占ひ師 堀田幸子
啓蟄や日はふりそゝぐ矢の如く 高浜虚子
紅いセーター着て啓蟄の詩ごころ 小松崎爽青
水あふれゐて啓蟄の最上川 森 澄雄
啓蟄や生きとし生けるものに影 斎藤空華

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ちいちゃんはヤングケアラー桃の花 たけし

2022-03-04 | 今日の季語で一句


ちいちゃんはヤングケアラー桃の花 たけし


季語「桃の花」の解説をもてふと浮かんだ1句
桃の花が邪気を払う ここからの発想
(たけし)


【桃の花】 もものはな
◇「白桃」 ◇「緋桃」(ひもも)
バラ科の落葉小高木。中国原産。4月頃、葉に先立って淡紅色または白色の五弁の、蘂が長く鄙びた愛らしい花を開く。桜や梅にくらべて花が大きい。果実は大形球形で美味。古くから日本に栽培、邪気を払う力があるとされた。雛祭には欠かせない花である。

例句 作者

ゆるぎなく妻は肥りぬ桃の下 石田波郷
葛飾や桃の籬も水田べり 水原秋櫻子
桃花園へ降るふらんねるの太陽 伊藤敬子
傷舐めて母は全能桃の花 茨木和生
百姓に今夜も桃の花盛り 永田耕衣
鶏鳴も花桃ねむき彼方より 飯田龍太
桃咲いて隣りに赤子生まれさう 山本洋子
野に出れば人みなやさし桃の花 高野素十
イヴ居ずや砂地に桃の咲き満てり 大高弘達
にはとりが鳴き牛が鳴き桃の村 杉 良介

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ひとり子のおはなしじようず紙雛

2022-03-03 | 今日の季語で一句


ひとり子のおはなしじようず紙雛

2018/2/7作
雛の俳句はいくつも作ったが
これを超える作品はなかなか出来ない
娘は二人いるが
俳句ではひとり子にして成功と自賛している
(たけし)




春(仲春)・生活・行事
【雛祭】 ひなまつり
◇「雛」 ◇「雛遊」 ◇「ひいな」 ◇「初雛」 ◇「内裏雛」(だいりびな) ◇「土雛」 ◇「紙雛」 ◇「雛飾る」 ◇「雛菓子」 ◇「雛の灯」 ◇「雛の客」 ◇「雛の宴」 ◇「雛の宿」
3月3日、桃の節句。女児のある家で幸福・成長を祈って雛壇を設けて雛人形を飾り、調度品を具え、菱餅・白酒・桃の花などを供える祭。雛遊び。雛人形。雛の燈。ひひな。

例句 作者

厨房に貝があるくよ雛まつり 秋元不死男
航海を終へ来し父も雛の座に 大郷耕花
雛の日の鳥越といふ一軒家 齊藤美規
嫁せし子の雛が眠れる天袋 小岩井清三
雛の灯を消せば近づく雪嶺かな 本宮哲郎
ばうとある平安の眉立ち雛 高橋桂子
誰をおもひかくもやさしき雛の眉 加藤三七子
雛の間をかくれんばうの鬼覗く 行方克己
蝋燭のにほふ雛の雨夜かな 加舎白雄
かにかくに飲食雛の夜となりぬ 河合未光

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三月を吐き出すやうに堰の音 たけし

2022-03-02 | 今日の季語で一句


三月を吐き出すやうに堰の音 たけし

三月の声をきいたとたんい冬の名残は全く消えた
光りも風も香も春である
田畑をうるおす用水路の水の流れも速い
堰を切るの文字通りの勢いだ
三月をこれでもかといわんばかりに吐き出している
(たけし)


春(仲春)・時候
【三月】 さんがつ(・・グワツ)
寒さは峠を越し気温は次第に上がって行く。日いちにちと確実に春の到来のを感じる。3月はまた卒業,別れの季節でもある。

例句 作者

三月の甘納豆のうふふふふ 坪内稔典
三月や寝足りてけぶる楢林 宮田正和
三月の光の中の盲導犬 花島陽子
三月やモナリザを売る石畳 秋元不死男
いきいきと三月生る雲の奥 飯田龍太
三月や魚ゐるらしき瀬のひかり 木附沢麦青
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鳥交る病院ばかりの予定表 たけし

2022-03-01 | 今日の季語で一句


鳥交る病院ばかりの予定表 たけし

どうということもない日
今日は予定が何もない日
あったとしても定期診療の病院ぐらいのものだが
春日にさそわれて庭へでてみた
野鳥の囀りが喧しいほどだ
(たけし)


春(晩春)・動物
【鳥交る】 とりさかる
◇「鳥つるむ」 ◇「鳥の恋」
野鳥の繁殖期は春から初夏にかけてで、この期間に雌雄が求愛行動をし交尾する。

例句 作者

国引の山に雲捲く鳥の恋 角川源義
鳥交る日に一便の滑走路 山川安人
鳥交る荒々しきは美しき 今井杏太郎
一人居のおそき朝餉や鳥交る 谷島 菊
茶を点てて遊べば軒の恋雀 草間時彦
美しき切手の便り鳥交る 仙入麻紀江
鳥交る大河の空の白ぐもり 高橋悦男
独り居て鳥交る日の口渇く 小谷伸子

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