竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

大空は微笑みてあり草矢放つ 波多野爽波

2019-06-13 | 今日の季語




大空は微笑みてあり草矢放つ 波多野爽波

大胆な擬人法である。「大空は微笑みてあり」だから、晴れ渡った空だったのだろう。あと、草矢遊びに興じている子供の心情まで、喩えているように思う。「草矢」は芒や葦などの葉を縦に裂き、指に挟んで、飛ばすこと。高さや飛んだ距離を競ったりする。この句、下五の部分が、「クサヤハナツ」と一音字余りになっている。その一音の時間の流れが、飛んでいく草矢の時間を彷彿させる。『鋪道の花』(昭和31年)所収。(中岡毅雄)

【草矢】 くさや


野趣に富んだ子供の遊び。菅や茅の細い管状の葉を矢の形に割き、指に挟んで大空へ飛ばし、その高さや距離、時間の長さを競ったりする。

例句  作者

背を向けし間に草矢打たれけり 高倉和子
水辺の子橋の子草矢打ち合いぬ 加藤三七子
草矢うつ正倉院の巡査かな 鳥居ひろし 
ひとすぢの草矢は石に当たりけり 木内 徹
不器用に生きて草矢のよく飛べる 山本静桜
行きずりの子にも教へて草鉄砲 岡本信子
コメント