竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

霧に白鳥白鳥に霧というべきか 兜太

2018-06-19 | 金子兜太鑑賞
 
霧に白鳥白鳥に霧というべきか 兜太





昭和52年、「旅次抄録」より

白鳥は冬の季語。
一昨年前「流氷ツアー」に出かけてサロマ湖の白鳥を見た。
そのとき、群れる白鳥を間近に見て、
意外と大きく皮膚感覚が伝わってくる、
穏やかでいて、生々しく、
結構賑やかな、鳥だなあって思ったのを思い出す。
句の景はひじょうに簡明、
霧と白鳥の白い世界に作者がいる。
霧の中に白鳥がいるというべきか、
白鳥のいるところに霧が立ち込めてきたというべきか、
と考えている兜太さん。
そこに、私には詩的叙景だけでなく、
しっとりとした抒情に酔っているというか、
とてもいい気分なのだろう、
白鳥が生々しさに、すこしテレもあるのかもしれないと思ったりもする。
兜太さんの50代前半の句なのだが、
兜太さんは枯れた静的なものに感応するのではない。
どこまでも、生きているものに感応する。そこが兜太さんらしい。


参照 http://www.shuu.org/newpage24.htm
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