竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
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廃墟という空き地に出ればみな和らぐ 兜太

2018-06-27 | 金子兜太鑑賞
廃墟という空き地に出ればみな和らぐ 兜太



昭和52年、「旅次抄録」より。

ニューヨークのテロ、9.11で起きた廃墟を思って、
この句を取り上げてみた。
その一区画は大きな空き地になっているようだ。
さて、掲句では、「みな和らぐ」とある、
これはどういうことであろうか???

ニューヨークの廃墟はまだ生々しい空き地のようだが、
そうした、廃墟の跡に立った時、
人間は何を考えるのであろうか。
ニューヨークの崩壊はテロのよってなされたので、
許すまじテロの声が湧き上がったようだけれど、
それだけだろうか?

ちょっと冷静になった時に、
この廃墟へ突っ走ったその衝動というか時代の流れから、
少し身を逸らして原点と言うか、
古き良きものを思うのではないだろうか。
いま、アメリカでもそんな動きがあると「新日曜美術館」で、
古きよき時代のアメリカの日常生活を絵にした、
ノーマン・ロックウェル展がとても人気だと、
静かなブームになっている、と報じていた。
ブッシュ大統領のアフガン報復戦争は
多くのアメリカ人の声ではないのではないだろうか。
多くのアメリカ人はちょっと古い、
素朴な生活を思い出して、
ある一面は和らいでいるのではないだろうか。
第二次世界大戦のあと、
日本でも、国中、廃墟の空き地になったわけだけれど、
みんなある面、和らいだのではないか。
軍事社会の抑圧から放たれてやっと自由になったと、
ほっとしたのではないだろうか。
「みな和らぐ」に一瞬戸惑ってしまったが、
こうして考えてみると、なるほ
どと納得します。

参照 http://www.shuu.org/newpage24.htm
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