果物料理と果物食品加工

ビタミン・ミネラルに果物の仄かな香りに目覚める フルーツソムリエ

生かせ いのち

2011-05-16 17:03:26 | 高野山
 

Shinpo04

  曼荼羅の教え

 今、家庭内暴力や子供への虐待、殺人、いじめ、そして自殺というような悲惨なニュースが報道されています。家庭が悪い、学校が悪い、教育が悪いなどと各界の人たちがコメントをしておられますが、果たして原因はどこにあるのでしょうか。これらの問題を解決し、なくすことはとても難しいことです。

 私たちは一人ひとり性格や個性、考え方が違うし、容姿や体力も違います。同じ行動をしたなら、粉れもなく優劣が発生し、疎外の無視、いわゆるいじめが起きます。それは学校だけの問題ではなく、社会生活でも多々あることです。

 しかし、いくら難しくても解決するための努力が必要です。世界の悲惨な出来事を解決するのは無理かもしれませんが、家庭でなら出来るはずです。

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河合 了宣 住職

家族がそれぞれの個性や性格を分り合い、みんなで長所を伸ばし欠点を補い合う、そしてすべてを愛情で包み込む真言密教の曼陀羅の教えを行うことによって解決できるのです。曼陀羅の教えとは、仏を中心として人々が尊敬し合い、助け合い、感謝し合う、その行いが毎日続くという教えなのです。

 お彼岸に、壇信徒さんにお勤めに行きました。お仏壇にはきれいな花やお菓子、果物などが供えてあり、ろうそくはすでに火が灯されてありました。そのろうそくは大本山永平寺と大きく印刷されてあり、「永平寺にお参りに行かれたのすか」と訪ねました。奥さまは「いいえ、大学生の孫娘が福井に遊びに行ったお土産を私に買ってきてくれ、『おばあちゃん、仏さまにお土産買ってきたからね』と言って、このろうそくを渡してくれたのです」と、うれしそうに話してくれました。

 高野山でも、参詣の方がお仏壇やお墓にお供えするために高野槇を買い求められる光景はよく見られます。しかし、旅行に行って、仏さまへのお土産を買うことに気が付く大学生がどれだけいるでしょうか。

 彼女が幼い時から、おじいさんやおばあさんが仏さまやご先祖さまを常に大切にしている姿を見ていたら、素直な気持ちで仏さまへのお土産を買ってこられたのでしょう。彼女のお父さんもお土産を買ってきたとき。は、「お土産を仏さまにお供えしてあるから、あとからいただいてください」と言われるそうです。

 仏を中心とし、先祖を供養し、家族みんながお互いに感謝し合い助け合い心で生活すれば、必ず優しく楽しい家庭をがつくられ、そこにはまさに小さな曼陀羅世界ができるのです。そのような家族が一つひとつ増えていけば、それは大きな曼陀羅世界となるに違いありません。幸せな家庭を築くことは、家庭のみならず、すべての人たちが慈悲によって包み込む仏の世界、曼陀羅の教えを実践することなのです。そして素晴らしい人間になっていただくことがお大師さまの願いなのです。

 家に仏がない方は、あなたの心の中に仏を宿してください。そして、あなたを中心に曼陀羅の教えを家族で話し合い、助け合い、楽しい日々の生活を行ってください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー筆者は岐阜県岐阜市円明院住職です。

           参与770001-4228(本多碩峯)